避状(さりじょう・去状)とは、平安時代から江戸時代にかけてみられた文書。自己の権利もしくはその主張を放棄する時などに作成された。避文/去文(さりぶみ)とも。 自己に属するもの(所領・所職・下人など)に関する権利、あるいはその権利が自己に属するとする主張を放棄し、以後そのものに関する権利を主張・要求しないことを保証した文書である。
概要
避状には通常、放棄の対象となるもの、放棄をする主体(通常は文書の作成者もしくは差出人)、放棄後の帰属先(通常は文書の受取人)、そして放棄の意思表示から構成され、書出は「避与/去与(さりあたう)」「避渡/去渡(さりわたす)」「避進/去進(さりすすむ)」、文末を「避進之状如件(さりすすむのじょうくだんのごとし)」「避文如件(さりぶみくだんのごとし)」などで締める場合が多い。
なお、後白河院政期には強制調停の手段として避状を書かせる方法が採用され、後の和与の司法手続の成立にも影響を与えた。
江戸時代に入ると、離縁状の意味で用いられるようになった。
参考文献
平山行三「避文」『国史大辞典 6』吉川弘文館 1985年 ISBN 978-4-642-00505-0
高橋正彦「避文」『日本史大事典 3』平凡社 1993年 ISBN 978-4-582-13103-1
鈴木哲雄「去状」『日本歴史大事典 2』小学館 2000年 ISBN 978-4-095-23002-3