この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
遺言(ゆいごん、いごん、いげん)とは、日常用語としては形式や内容にかかわらず広く故人が自らの死後のために遺した言葉や文章をいう。日常用語としてはゆいごんと読まれることが多い。このうち民法上の法制度における遺言は、被相続人となりうる人が自らの死後の相続(法律)関係を定めるための最終意思の表示をいい、法律上の効力を生じせしめるためには、民法に定める方式に従わなければならないとされている(民法960条
)。法律用語としてはいごんと読まれることが多い。この記事では、日本の現行民法における遺言の制度を解説する。条名は、特に断りない限り民法のものである。遺言の最も重要な機能は、遺産の処分について、被相続人の意思を反映させることにある。被相続人の意思である遺言を尊重するため、相続規定には任意規定が多く(ただし遺留分規定等強行規定も少なくない)、遺言がない場合は、民法の規定に従って相続が行われる(これを法定相続という)。これに対し、遺言を作成しておくと、遺産の全体または個々の遺産を誰が受け継ぐかについて自らの意思を反映させることができる。遺贈の方法により、相続人以外の者に遺産を与えることも可能である。 民法上規定されている遺言事項について、それぞれ規定のある条名とともに示すと以下のとおりである。
民法上の遺言事項
相続人の廃除と廃除取消(893条
その他、一般財団法人の設立(一般社団・財団法人法第152条2項)、信託の設定(信託法第3条2号)もすることができるほか、保険法44条1項によれば生命保険の保険金受取人の変更も可能とされている(これらは遺言によらず生前に行うことが一般的であろう)。遺言の撤回は遺言の方式のみによって可能である(1022条)。 判例により、特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言は、遺産分割方法の指定と解する[2]とされ、当該遺産が不動産である場合、当該相続人が単独で登記手続をすることができるとされていることから、利用価値が高い(2003年度(平成15年度)税制改正以前は登記に関して必要となる登録免許税が遺贈の場合に比べて低額であるというメリットもあった)。 さらに、「相続させる」遺言によって不動産を取得した相続人は、登記なくしてその権利を第三者に対抗することができるとの判例[3]が出たことから、他の相続人の債権者による相続財産の差押えを未然に防ぐことができるというメリットも生まれた。 遺言の方式には普通方式遺言と特別方式遺言がある。 自筆証書遺言は遺言者による自筆が絶対条件となっている[4]。
「相続させる」旨の遺言
遺言の方式
普通方式遺言
自筆証書遺言
遺言書の全文が遺言者の自筆で記述(代筆やワープロ打ちは不可)[5]
日付と氏名の自署[5]
押印してあること(実印である必要はない)[5]
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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