遷御
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遷御(せんぎょ)

神霊神社を他の所へ移すこと[1]

特に伊勢神宮において、新しい社殿神体を移すこと。本項で詳述する。


天皇などが居所を移すこと[1]。遷幸とも称する[1]
旧殿(画像下側)と新殿(画像上側)が並び建つ様子
第59回(1953年)内宮式年遷宮

遷御(せんぎょ)または遷御の儀(せんぎょのぎ)は、神宮式年遷宮を構成する祭事の1つ。旧殿から新殿へ神体を移し奉る神事であり、式年遷宮において最も重要な祭典である[2][3]。俗に式年遷宮のクライマックスと称される[4][5]

伊勢神宮における祭儀は、「外宮先祭」として皇大神宮(内宮)より豊受大神宮(外宮)で先に行うが、式年遷宮に関しては内宮を先とする習わしであるため、内宮の遷御が先に行われる[6]
目次

1 日時

2 前祭

3 本祭(遷御)

3.1 遷御の奉拝


4 後祭

5 別宮以下の遷御

6 メディアによる報道

7 脚注

8 参考文献

9 関連項目

10 外部リンク

日時

延暦23年(804年)の『皇太神宮儀式帳』および『止由気宮儀式帳』によると、当時の遷御は旧暦の9月17日に行うことに決まっていた[7]。これは神嘗祭を基準に定められた日程である[7]。すなわち、古代の遷御は「20年に1度の大神嘗祭」としての性格を有していたのであり、遷御のある年は神嘗祭が催行されなかった[6]

近代以降は、遷御の日時を天皇が定めることになった[8]。天皇が日時を定めることを「御治定」(ごじじょう)と言う[4]。慣例では、内宮の遷御は10月2日、外宮の遷御は10月5日にいずれも午後8時より斎行、と天皇が定めている[8]。第62回式年遷宮では、2013年(平成25年)2月25日に神宮司庁が会見を開き、御治定があったことを大宮司鷹司尚武が発表した[4]。神嘗祭より少し前に遷御が行われるように日程が定められる[7]

他の式年遷宮における祭儀で定められる時刻は奉仕員の参進する時刻であるが、遷御の場合は「出御」(しゅつぎょ)の時刻である[9]。したがって、祭主以下の奉仕員はそれよりも早く準備を開始し、遷御を拝観する特別奉拝者は更に早く所定の席に着き、出御を待つ[9]
前祭 川原大祓で並べられた唐櫃(外宮、2013年)

遷御の儀の前祭には、御装束神宝読合(おんしょうぞくしんぽうとくごう)、川原大祓(かわらおおはらい)、御飾(おかざり)の3つの儀式がある[10]

御装束神宝読合は、四丈殿で造神宮使から神宮祭主に神宝や装束を引き渡し、送文(おくりぶみ)と照合する儀式である[11]

川原大祓は、神宝・装束と、祭主以下の遷御奉仕者が祓い清めを行う儀式である[11]。遷御前日の夕方に行う[12]。内宮では滝祭神の南にある祓所、外宮では中の池北岸で祭儀を行う[11]。神宝・装束は唐櫃(からびつ)の中に納めて祭場に並べ、奉仕員一同が揃ったところで祓い清める[12]

御飾は、遷御当日の正午に行われ、新殿内部の装束を装い、遷御の最終準備を行う儀式である[8]。神楽殿前で行われ、参道から一般人の観覧ができる[13]
本祭(遷御) 第59回(1953年)外宮遷御の儀

遷御に当たっては、勅使として宮内庁より掌典長が派遣されることが慣例となっている[8]。遷御の奉職者は、通常の祭祀とは異なり、古式に則り束帯に明衣(きよぎぬ)をまとう[8]。勅使は木綿鬘をかけ、3名の勅使随行員は衣冠を着ける[9]。出御の4 - 5時間前より奉仕者は玉石の上で控えている[14]

午後6時、祭主以下百数十名の奉仕者が正宮へ参進し、勅使がに新宮へ移ることを願う祭文(さいもん)を奏上する[15]


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