遷延性離脱症候群
[Wikipedia|▼Menu]

遷延性離脱症候群(せんえんせいりだつしょうこうぐん、英語: protracted withdrawal syndrome)、急性離脱後症候群(英語: Post-acute-withdrawal syndrome、略称:PAWS)、離脱後離脱症候群(英語: post-withdrawal withdrawal syndrome)とは、アルコールオピエートベンゾジアゼピン系抗うつ薬また他の物質からの離脱後に生じる、一連の持続的な症状である[1][2][3][4]。離脱の急性期の後に、急性期よりも弱い水準で半年程度まで持続する[5][6]。1年以上にわたって持続すると言及される場合もある[7][8]。妊娠中に依存性物質を使用した母親から生まれた赤子は、この急性離脱後症候群が生じることがある[9][10]
定義や診断
世界保健機関

世界保健機関は1994年そのアルコール薬物関連の用語集において、遷延性離脱(protracted withdrawal)を定義し、急性の離脱症状の後に続く数週間から数か月のものだとしている[5]。これは、アルコール依存症、鎮静剤依存症、オピオイドの依存症において、あまり明確ではない症状である[5]。不安、興奮、易刺激性、抑うつなどの精神的症状が、身体症状よりも顕著であるとしている[5]
アメリカ精神医学会

精神障害の診断と統計マニュアル』第4版(DSM-IV)では以下のように言及されている。アルコール離脱では、離脱の急性期の後も、3?6か月の不安や不眠、自律神経異常が持続することがある[6]。鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬離脱では、症状の強さの程度が弱いが、数カ月も続く遷延性の長く消えない不安、不機嫌、睡眠困難といった離脱症状が、非物質誘発性の不安やうつと誤認される可能性について言及している[6]。アヘン類離脱(Opioid Withdrawal)においても急性でない症状は、不安、不眠、無快感、不快気分や渇望など数週から数か月続くとしている[6]
他の文献

アルコール依存症による急性離脱症状後の遷延性離脱症候群が少なくとも1年持続したり[7]、ベンゾジアゼピン系薬物によるもので同様に[8]。このように文献によってはさらに長い期間にわたって生じると言及している場合がある。
SSRIに関するオンライン調査

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の離脱について、インターネットフォーラムからの自己報告を分析した調査が存在する[11]。研究者は、SSRIは他の抑制剤(アルコール、ベンゾジアゼピン系、バルビツール酸系、麻薬、抗精神病薬、抗うつ薬)のように、2つの離脱の期間に分ける必要があるとし、それは薬物の半減期によって6週間以内までの反跳現象からなる離脱期間と、それ以降の離脱後期間である。SSRI離脱後出現持続障害(SSRI postwithdrawal emergent persistent disorders)としている。このような離脱後障害は数か月から数年持続することがある。不安とパニック発作、不眠症、うつ病や双極性障害などを含む。頭痛、吐き気、軟便、めまい、見当識障害、集中力の低下、耳鳴り、安定しない歩き方、また電撃の感覚といった文献に高頻度で報告されたものは、医師の監督下で非常にゆっくり漸減した場合でも生じていた。症状を誇張したり、他の薬を服用している可能性への注意も必要であるが、文献や臨床試験で報告されたような症状を平均持続期間2.5年(中央値2.1年)と長く描写している人々を見出している。
遅発性ジスキネジア


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:40 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef