遠近法
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二点透視図法による立方体対象物からの光線が画面を貫き視点に届く様子。透視図法の基本概念を表す。

視覚芸術における遠近法(えんきんほう、: perspective)は、視覚的に遠近感を表現する手法の総称である[1]。狭義には、遠近表現法のうち、平行線の収束を用いた透視図法(: perspective drawing)を指す[2]

本稿では特に透視図法(: perspective drawing)を解説する。
概要 

ヒトは絵や画像といった2次元平面から空間の奥行きを感じられる。視覚芸術において、本来空間が存在しない2次元平面に空間を感じさせるすなわち遠近感をもたらす手法が遠近法である。透視図法(: perspective drawing)、別名線遠近法(: Linear Perspective)はその代表的な一種であり、しばしば遠近法とも呼ばれる。透視図法によって描かれた図のことを透視図という。英語では「遠近法」「透視図法」「透視図」などを総称して perspective(パースペクティブ)といい、日本では遠近法、透視図のことをパースと称することが多い。(例:「建築パース」「パースがきつい」など)

透視図法では「ヒトの目には奥へ伸びる平行線が一点へ収束して映る(透視投影が起きている)」ことに起因するヒトの奥行知覚を利用し、収束する平行線を描くことで遠近感をおこさせる。平行線が奥へ行くにつれ幅が短くなるため、透視図法を用いた視覚芸術では「同じ大きさの物でも視点から遠いほど小さい」「同じ長さでも視点との角度により長さが異なる(短縮法)」といった特徴が現れる。

透視図法を実現する方法は様々ある。絵画漫画では消失点を設定して特定方向の平行線を収束させる点透視図法がしばしば用いられる。3次元コンピュータグラフィックスでは平行線のみならず空間全体を行列演算により2次元平面へ落とし込み透視投影図を得ることが多い。写真はヒトの目と同様に1つの視点を持ち投影図を撮るため透視投影図になっており、構図として平行線が存在すれば透視図法が成立する。

透視図法以外の遠近法として、近くを明確に描き遠くを不明瞭かつ沈んだ彩度で描く空気遠近法(Aerial perspective)がある。
基本的な概念

ヒトは平面に書かれた絵からでも空間の奥行き・立体感を感じられる(奥行知覚(英語: Depth perception)[1]、・立体視)。経験則や視覚研究により、様々な種類の視覚特徴が奥行知覚を生む、すなわち遠近感をもたらすことがわかってきた。視覚芸術にこれらの視覚特徴を埋め込むことで、作品に強い遠近感を与えることができる。視覚特徴を利用して遠近感を与える手法・技法の総称が遠近法である。利用する視覚特徴、表現時の描画方法により様々な遠近法が存在する。奥行きを生む平行ではない平行線(左)と平行だが奥行きを生まない線(右)

透視図法(線遠近法)はヒトがもつ「すぼまっていく2本の直線が平行であると感じ、そこに奥行きを感じる」特性に基づいている。図のように平行でない2本の直線があったとき、ヒトはそれを平行線と認識する傾向がある。そしてこの並行でない平行線が近づいていく方向に奥行きを知覚する。奥行きを生む線分がもつ特性を詳細にしらべ体系化し技法に昇華されたものが透視図法である。目線にある平行線の俯瞰図(左)と目線より下にある平行線の側面図(右)

平行でない平行線に奥行きを感じるのは、空間に存在する平行線からの入射光が目では平行に映っていないことに起因する。ヒトの目はカメラのように空間から入射する光を検知している。ここで目と同じ高さに、向こう側へ伸びる平行線があるとする(図左)。平行線からの光が目に入る前に平面で切り取る(投影図を得る)と、手前の点(赤)より内側に奥の点(青)が映っていることがわかる。またこの平行線が目線より下にあるとする(図右)。側面図から手前の点(赤)より目線側に奥の点(青)が映っていることがわかる。このように平行線からの光はそもそも目へ並行に入射せず、奥ほど中央寄りに入射する。ゆえにヒトの脳は2本線がむしろこのように角度をもって目に映った時に平行だと認知し、中央寄りの像が奥に存在すると知覚する。脳内で行われている処理はいまだ不明であるが、角度をもった2本線を検出して平行と認知している可能性や、脳内でこの歪みを補正する処理をしたのちに平行検出がなされている可能性もある。いずれにせよ、目によって空間を見るヒトは、角度をもった2本線を平行だと認知しそこから奥行きを知覚する。

透視図法では空間の投影図と同じように歪みを持った図を書くことで、遠近感を作品に付与する。すなわち遠近法の基本は視点の前に置いた投影面に、それを通過する光を写し取ることであり、それは窓ガラスを通して見える光景を窓ガラス表面に直接描画することに似ている。ガラスに写し取られた図は3次元の光景を縮小し2次元平面上に変換したものとなる。透視図法で書かれた絵を用意し、描く際に「眼」として設定したポイントへ正確に片目を置いて絵をみれば、実際の空間を見るのと同様の光が目に入ってくることになり、脳が平行ではない平行線を認知することで絵から遠近感を感じる。

平行でない直線は無限遠点において収束するが、この収束点を消失点という。まっすぐ地平線の彼方へと消える2本の線路を想像すればわかりやすい(図)。異なる角度の平行線はそれぞれ別の消失点へ収束する。地平線へと延びる線路。線路の先が消失点。写真で見る遠近法。中央が消失点。
歴史
初期の発展ペルジーノのこの『ペテロへの鍵の授与』(1481年?1482年作) というフレスコ画では遠近法が用いられている。この絵のあるシスティーナ礼拝堂ルネサンスローマへ伝える役割を果たした。

遠近法以前、絵画や線画などではその精神的主題によって対象物を描き分けてきた。特に中世の美術では絵画は写実性ではなく象徴性が重んじられ、距離によって人物を大小に描き分けることなどせず、ただ距離を表す唯一の手法は「遠くの人物は手前の人物の陰に隠れる」ことだけだった。

もっとも初期の遠近法は、紀元前5世紀頃の古代ギリシャ舞台美術に使われたものだった。舞台の上に奥行きを与えるために、平面パネルを置いてその上に奥行きのある絵を描いたという。哲学者アナクサゴラスデモクリトスはその透視図法に幾何学的理論を当てはめた。アルキビアデスは自分の家にこういった透視図を飾ったという。ユークリッドは透視図法に関して数学的な理論を打ち立てたが、これが現代の画法幾何学と全く同じものであるかについては論争があり定説がない。

11世紀ペルシャ数学者で哲学者でもあったイブン・アル=ハイサムは、その著作で視点に投影される光は円錐形をなす事に触れており、これは対象物を写実的に描画するもっとも基本的な理論となるものだった。だがアル=ハイサムの関心は絵画ではなく光学にあったため、この理論が絵画に利用されることはなかった。

中世以後初めて透視法的表現を用いたのは、13世紀 - 14世紀のイタリアの画家チマブーエ(「荘厳の聖母[3]」)、ピエトロ・カヴァッリーニ(「聖母の誕生[4]」)、ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャ(「荘厳の聖母」)らであった。ルネサンスの先駆者ジョット・ディ・ボンドーネ代数を利用した透視図法を試みている。しかし線形比率の問題は等間隔に置かれた複数の線形間の距離が正弦依存して減少することであり、各々の線形比率を決定するには帰納的な比率の適用が不可欠となる。これは20世紀になってエルヴィン・パノフスキーによってはじめて解決されたものである。ジョットは作品「大祭司カヤファの前のイエス[5]」ではじめて自らの透視図法を利用した。


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