過レニウム酸
IUPAC名
perrhenic(VII) acid
識別情報
CAS登録番号13768-11-1
? °C (? K)
沸点
昇華
水への溶解度可溶
酸解離定数 pKa-1.25[1]
構造
配位構造八面体形-四面体形(固体)
四面体形(気体)
危険性
GHSピクトグラム
EU分類 C
主な危険性腐食性 (C)
経口摂取での危険性あり。
呼吸器への危険性あり。
眼への危険性あり。
皮膚への危険性あり。
NFPA 704030
RフレーズR34
SフレーズS26 S36/37 S39 S45
引火点不燃性
関連する物質
関連物質Re2O7
Mn2O7
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
過レニウム酸(かレニウムさん、英: perrhenic acid)は、化学式が Re2O7(OH2)2 と表されるレニウムの化合物である。酸化レニウム(VII) Re2O7 の水溶液を蒸発させることで得られる。慣例的に過レニウム酸は HReO4 の化学式をもつとされる。この化学種は、水あるいは蒸気中で酸化レニウム(VII)を昇華させることで生じる[2]。Re2O7 の溶液を数か月放置すると、分解して HReO4?H2O の結晶が生じる。これは四面体形の ReO4- を含む[3]。ほとんどの用途においては、過レニウム酸と酸化レニウム(VII)は相互に使用される。 固体の過レニウム酸の構造は [ O 3 Re − O − ReO 3 ( H 2 O ) 2 ] {\displaystyle {\ce {[O3Re-O-ReO3(H2O)2]}}} と表される[4]。この化学種は、水を配位子とする金属酸化物のまれな例である。ほとんどの金属-オキソ-アクア種は対応する水酸化物に対して不安定である。 M ( O ) ( H 2 O ) ⟶ M ( OH ) 2 {\displaystyle {\ce {M(O)(H2O)\ -> M(OH)2}}} 気体の過レニウム酸は、HReO4 という化学式が示唆するように四面体形である。 濃厚水溶液中では三塩基酸であるメソ過レニウム酸(H3ReO5)を生成するとされているが、これは単離されていない。過レニウム酸の濃厚水溶液の当量導電率の低下は、この弱酸であるメソ過レニウム酸の生成が原因と推定される[5]。 過マンガン酸イオンとは異なり、水溶液中では安定で、酸化剤としての作用は弱く、過テクネチウム酸イオンに類似する。アルカリ性水溶液中では安定、HCl、HBr、HI水溶液中では還元される[6]。 水溶液中における過レニウム酸イオンの標準酸化還元電位は以下の通りである[7]。 ReO 4 − + 2 H + + e − ⇄ ReO 3 ( s ) + H 2 O , {\displaystyle {\ce {ReO4^{-}\ +2H^{+}\ +{\mathit {e}}^{-}\rightleftarrows \ ReO3(s)\ +H2O\ ,}}} E ∘ = 0.768 V {\displaystyle \ E^{\circ }=0.768V} ReO 4 − + 4 H + + 3 e − ⇄ ReO 2 ( s ) + 2 H 2 O , {\displaystyle {\ce {ReO4^{-}\ +4H^{+}\ +3{\mathit {e}}^{-}\rightleftarrows \ ReO2(s)\ +2H2O\ ,}}} E ∘ = 0.51 V {\displaystyle \ E^{\circ }=0.51V} ReO 4 − + 8 H + + 7 e − ⇄ Re ( s ) + 4 H 2 O , {\displaystyle {\ce {ReO4^{-}\ +8H^{+}\ +7{\mathit {e}}^{-}\rightleftarrows \ Re(s)\ +4H2O\ ,}}} E ∘ = 0.34 V {\displaystyle \ E^{\circ }=0.34V} 過レニウム酸または無水酸化レニウム(VII)を硫化水素で処理すると硫化レニウム(VII) 複雑な構造を有し[8]、二重結合の水素化を触媒する硫化レニウム(VII)は、貴金属の触媒毒となる硫黄化合物に耐性があるため有用である。Re2S7 はまた亜酸化窒素の還元を触媒する。
性質
反応