遊星
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「惑星」のその他の用法については「惑星 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

「遊星」はこの項目へ転送されています。工学用語については「遊星歯車機構」をご覧ください。

惑星(わくせい、ギリシア語: πλαν?τη? 古代:[plan???t??s] 現代:[pla?nitis][1]ラテン語: plan?ta、: planet)とは、恒星の周りを回る天体のうち、比較的低質量のものをいう。正確には、褐色矮星の理論的下限質量(木星質量の十数倍程度)よりも質量の低いものを指す。ただし太陽の周りを回る天体については、これに加えて後述の定義を満たすものだけが惑星である。英語 planet の語源はギリシア語のプラネテス(「さまよう者」「放浪者」などの意)。

宇宙のスケールから見れば惑星が全体に影響を与える事はほとんど無く、宇宙形成論からすれば考慮の必要はほとんど無い。だが、天体の中では非常に多種多様で複雑なものである。そのため、天文学だけでなく地質学化学生物学などの学問分野では重要な対象となっている[2]
目次

1 惑星の定義

1.1 惑星の上限

1.2 太陽系の惑星の定義

1.2.1 2006年IAU総会

1.2.1.1 惑星の概念を拡張する案(いわゆる12惑星案)

1.2.1.2 惑星の概念を狭く限定する案(いわゆる8惑星案)




2 太陽系の惑星

2.1 分類

2.1.1 内惑星・外惑星

2.1.2 地球型惑星と木星型惑星


2.2 惑星以外の天体

2.2.1 日本学術会議の対外報告



3 太陽系外惑星

4 惑星・遊星という呼称の由来

5 惑星の形成

5.1 原始惑星系円盤と原始惑星の形成

5.2 雪境界線と巨大ガス惑星

5.3 形づくられる惑星

5.4 巨大ガス惑星の数と軌道変化


6 脚注

7 参考文献

8 関連項目

9 外部リンク

惑星の定義詳細は「惑星の定義」を参照
惑星の上限

便宜的に木星質量の13倍以下を惑星、13-75倍程度のものを褐色矮星、75倍以上のものを恒星とする見方がある。実際、理論的上限質量は木星質量の80倍程度である。ただし、こうした質量のみを定義することには議論がある。

恒星の周りの惑星を観測的に検出しようとする場合には、褐色矮星の上限質量以下に見出される天体のうち、褐色矮星候補と惑星候補とを見分ける必要が生じる。そこで、両者を区別するために、進化の途上で重水素熱核融合を起こす可能性のある質量に達していない天体、すなわち「褐色矮星の理論的下限質量にその質量が達していない天体」を惑星と定義してはどうかという提案が2001年に国際天文学連合 (IAU) のワーキンググループから出された。この提案は恒星進化論に基づいた立場からのものといえ、現在に至るまで、暫定定義として便宜的に用いられる場合がしばしばある。

観測的には、300個を超える太陽系外惑星が発見されている。恒星を観測してみるまでは褐色矮星と惑星のいずれが存在するのか、あるいは存在しないのかは不明であるから、惑星が存在する恒星を選択的に観測することはできない。したがって、特に観測が偏ることなく、惑星とされる天体の他に、褐色矮星と推定される天体も発見されている。しかし、質量ごとの天体数を統計的に見ると、木星質量の20倍をやや超える程度から数十倍までの質量範囲にはごく少数の天体があるだけで、数の分布が2つのグループに分けられることが見出されている。これを惑星形成論の立場から見ると、褐色矮星が分子雲から直接形成されるのに対して、惑星が原始惑星系円盤で固体成分を核として形成されることを反映したものであるとする見方になる。このような惑星形成論的な立場からは、重水素熱核融合の可能性の有無ではなく、観測的な上限質量値(木星質量の20倍をやや超える程度)を惑星質量の上限とする見解が出ている。

21世紀初頭では褐色矮星の形成過程が理論的に見直されつつあり、質量あるいは質量分布のみから褐色矮星と惑星を定義するのではなく、他の要素をも考慮しようとする研究傾向が見られる。一例としては、サイズと組成も加味して区分すべきであるという見通しを示す研究グループがある。また、褐色矮星の理論的下限質量を超える質量の天体が恒星の周りを回っている場合でも、その恒星を巡る天体がさらに存在する場合には、連星系とするか惑星系とするかの定義がなく、褐色矮星と惑星の区分境界がぼやけてくる。

以上のように、低質量の褐色矮星と大質量の惑星との区分を意図した定義は、複数混在している状況にあり、今後新たな定義が合意される可能性もある。本項では、多少の曖昧さを残して「木星質量の十数倍程度よりも低質量」という定義を示したが、本項を含め、各種文献や議論に接する際には、どのような定義を前提としているかに注意する必要がある。
太陽系の惑星の定義

太陽系の場合、太陽と木星との間のギャップは明瞭であり、上限が問題となることはない。しかし逆に、多数の小天体が発見されているため、下限が議論の中心となる。

近代以前、惑星としては、肉眼で天球上を動く様が観察できる7つの天体、太陽水星金星火星木星土星が数えられた。これは地球は惑星ではなく、宇宙の中心、または土台であると考えられていたためである。

近代に入り、地球も太陽を巡る惑星の一つであると認識され、太陽と月が惑星ではないと認識されるようになった。また天体力学の進展と観測技術の発達により、1781年天王星1846年海王星が発見された。また、1801年に発見されたケレスや翌年に発見されたパラスなども当初は惑星として扱われていたが、火星と木星の間に同様の小天体が次々と発見され、1850年代には惑星の数が20個を超えたことから、それらをまとめて小惑星と呼び、惑星とは区別して扱うようになった。そして1930年には冥王星が発見され、第9番惑星とされた。

この間、惑星と呼ぶべき天体は慣習的に定められてきた。しかし1990年代以降、カイパーベルトが発見され[3]、海王星以遠に冥王星・海王星間に見られるものと類似の共鳴関係をもつ軌道を巡る天体や、質量が冥王星と比較し得る天体(桁違いに質量が異なることがない天体)が相次いで見つかり、これらも惑星と呼ぶべきか否かについて論争が巻き起こった。さらに系外惑星や恒星と惑星の中間的な褐色矮星、また惑星様天体が恒星間に単独で存在する例(放浪惑星)も発見された[3]。そして2005年、冥王星よりも大きな (136199) エリス(仮符号2003 UB313)の発見[3]を契機として、惑星とは何かを定義する機運が高まった。
2006年IAU総会詳細は「国際天文学連合による惑星の定義」を参照

ウィキニュースに関連記事があります。太陽系の惑星が12個になる可能性―国際天文学連合の新定義案

2006年8月14日から25日までプラハで行われていた第26回国際天文学連合総会にて、Planet Definition Committee(惑星定義委員会)による惑星の定義案が公表された[3]
惑星の概念を拡張する案(いわゆる12惑星案) 当初の定義案。可決されていれば惑星は12になっていた。

最初に、アメリカのサウスウエスト研究所のアラン・スターンとハロルド・レビソンから出された案[3]では、惑星とは以下の2条件を同時に満たす天体とした。

自己重力が分子間力を上回って静水圧平衡の形状(ほぼ球形)をとるのに十分な質量があり、

恒星の周りを巡る軌道にあって、かつ恒星でも衛星でもない

ここで、共通重心が他の天体の内部にないものは、これを衛星とは見なさず、多重惑星としてその双方を惑星と認めるとの注記も添えられていた。

この定義に基づけば、上記の冥王星を含む9つの惑星以外に、少なくともケレスカロン(冥王星との二重惑星)、2003 UB313(エリスと命名されたのは総会の翌月である)の3つが惑星となる。およそ直径800 km以上であれば質量の条件を満たすことができると考えられる。このうち、水星から海王星までの8個は classic planet(クラシック・プラネット) としてそれ以後に発見された惑星とは区別し、ケレスを含むそれ以外の planet は dwarf planet(ドワフ・プラネット)、冥王星を含む太陽系外縁天体で惑星の条件を満たすものは pluton(プルートン) と称する。


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