この記事は特に記述がない限り、アメリカ合衆国の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
連邦倒産法第7章(れんぽうとうさんほうだい7しょう、Chapter 7, Title 11 of the U.S. Code)は、アメリカ合衆国連邦倒産法(Title 11 of the U.S. Code - Bankruptcy)の第7章(Liquidation)のことを指し、ひいては同章に基づき行われる倒産処理手続をさしていう。略して単にChapter 7(チャプターセブン)と呼ばれることもある。
清算型倒産処理手続を内容とするものであり、日本でいう破産法に相当し、個人・法人の双方に適用される。 連邦倒産法第7章に基づく手続は、債権者または債務者の申立により開始される。倒産手続が開始すると、債権者による個別の債権取立行為は自動的に禁止される。手続開始とその効果に関する規定の多くは、連邦倒産法の各手続に共通している。詳細は「連邦倒産法#倒産手続の開始とその効果」を参照 手続開始後合理的な期間内に債権者集会(meeting of creditors)が開かれ(341条(a)項)、債務者の審尋(343条)等が行われる。第7章手続においては、第11章手続と異なり、債権者委員会(creditors’ committee)を置くかどうかは任意である(705条)。 第7章に基づく手続開始決定(order for relief)後速やかに、連邦管財官(U.S. trustee)が予めリストアップされている管財人候補者の中から仮管財人(interim trustee)を選任する(701条)。仮管財人は、第1回債権者集会で管財人(trustee)が選任されるまで管財人の職務を行う。ここで別の管財人が選任されなければ、仮管財人が管財人となる(702条)。管財人は、倒産財団を代表する(323条)ほか、否認権の行使等を通じて倒産財団を維持充実させ(547条等)、これを現金化して各債権者に分配する(704条)という職務・責任がある。 債権者としての権利を行使するには、原則として債権証明の届出(filing of proof of claim)をしなければならない(501条)。第7章手続においては、第一回債権者集会から90日以内に届出る必要がある。届出のあった債権は、一定の期間内に異議がない限り認容された(allowed)とみなされる。管財人その他の利害関係者(債務者や他の債権者等)から異議が出されたときには、裁判所がその債権の認否を決定する(502(b)条)。 債務者はいつでも第7章手続を第11章、第12章または第13章に基づく手続に移行(convert)させることができる。また、利害関係者の申立に基づく裁判所の命令により他の手続に移行することがあるが、第11章手続以外の手続への移行には債務者の同意が必要である(706条)。 個人債務者が自ら第7章手続の開始を申立てた場合において、裁判所は、手続を開始することが本手続の濫用になると判断した場合には、申立を却下するか、債務者の同意を得て第11章または第13章に基づく倒産手続に移行することができる(707条(a)項)。これは、後述のように、第7章に基づく倒産手続が終結すれば、ほとんどの個人債務者は残債務について免責を得ることができるので、これが濫用されないための規定である。 特に、債務者の月収が無担保債権の額との関係で一定以上のレベルにある場合には、濫用が推定される(707条(b)項)[1]。これは、2005年の倒産制度濫用防止と消費者保護に関する法律 (The Bankruptcy Abuse Prevention and Consumer Protection Act)により導入されたもので、一定の収入のある個人債務者についてはほぼ強制的に第13章による債務の返済を選択させることを目的とした規定である。すなわち、この規定により申立を却下された債務者は現実的には第13章に基づく手続を選択せざるを得なくなるからである[2]。 第7章手続のひとつの大きな目的は、債権者に対する公平かつ秩序ある分配(distribution)である。連邦倒産法のもとでは、次のとおり、債権をいくつかのクラスに分け、その間に優先順位(priority)がつけられている。 担保債権は担保物の価値の範囲内では全額弁済される。相殺の対象となる債権も、受働債権の価値の範囲内で全額返済される。これをこえる部分については無担保債権として取り扱われる(506条)。担保物の価値が被担保債権額をこえる場合には、超過額は下記の優先的請求権やその他の無担保債権の支払に充てられる。
手続の開始
債権者集会
管財人の選任
債権証明の届出と確定
他の手続への移行と申立の却下
分配
担保債権
優先的請求権
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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