連続殺人鬼カエル男
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連続殺人鬼カエル男
著者
中山七里
イラストトヨクラタケル
発行日2011年2月18日
発行元宝島社
ジャンルミステリー
日本
言語日本語
形態文庫本
次作連続殺人鬼カエル男ふたたび
公式サイトtkj.jp
コードISBN 978-4-7966-8089-9

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『連続殺人鬼カエル男』(れんぞくさつじんきカエルおとこ)は、中山七里推理小説
執筆背景

第8回『このミステリーがすごい!』大賞の最終選考に『さよならドビュッシー』と共にダブルエントリーされた作品であるが[1]、今作はがらりとタッチが異なり、サイコスリラーの皮をかぶりつつ心神喪失者の責任能力を無しとする刑法39条の是非を問う異色の社会派ミステリーとなっている[2]。2作が同時に最終選考に残るのは同コンテスト初の快挙である[1]

著者がこの作品を思いついたのは大阪に赴任していたころで[1]、『魔女は甦る』が第6回『このミステリーがすごい!』大賞の最終選考で落とされた時に選考委員からもらった指摘やそれまでの受賞作の選評を全て読み、選評通りに書けば次は通過するだろうとプロットを立てた[3]。ストーリー上で警察署内の描写が必要だったが、当時は小説書きが趣味のただの会社員だったため取材の申し込みなどできず、曽根崎警察署に入って階段の幅を計り、非常階段の場所を確かめ、上から下までうろうろしてその間に3回も職務質問を受けたという[1]。結局受賞は逃したが、選考委員の評価が高く、読者からも「こっちを読みたい!」という声が続出したため、出版が決定[4]。当初のタイトルは「災厄の季節」であったが、文庫本として発売される際に改題された。帯のコメントは作家の島田荘司が担当した[4]

本作でメインとなっている古手川と渡瀬は、以降に出版された著者の他の作品でも脇役として度々登場する[注 1]。また、出版社は異なるものの、同じく2011年に発売された『贖罪の奏鳴曲』とはリンクしている部分が多数あり[注 2]、2012年に発売された『スタート!』では、「連続殺人鬼カエル男」の原題である「災厄の季節」を映画化するというストーリーが展開される。冒頭で死体を発見する新聞配達員の立花少年は著者の中山自身がモデルであり、自身が新聞配達をしていた時の発想から生まれたシーンである[3]

2018年5月に続編となる『連続殺人鬼カエル男ふたたび』が刊行されている。
あらすじ

埼玉県飯能市にあるマンションの13階で、フックでぶら下げられた女性の全裸死体が発見された。そばには

「きょう、かえるをつかまえたよ。」

という一文で始まる、死体の惨たらしさとは対照的な、まるで幼児が書いたかのような稚拙な犯行声明文があり、現着した埼玉県捜査一課の渡瀬と古手川は薄気味悪さをおぼえ、検死を担当した光崎藤次郎や、テレビでも活躍する犯罪心理学の権威・御前崎宗孝はその異常性に言及する。そしてそれからわずか4日後、同じ飯能市内で廃車工場のプレス機に圧し潰された第2の犠牲者が犯行声明文と共に発見されると、マスコミは捕まらぬ犯人を「カエル男」と名付けてセンセーショナルに取り上げ、埼玉県警には2000を超えるタレ込みが寄せられる。その中に名前があり、過去に性犯罪や殺傷事件を起こし、なおかつ飯能市に土地勘がある者からあたっていくと決めた渡瀬と古手川は、4年前に幼女を監禁・絞殺したものの、カナー症候群と診断されて不起訴のまま措置入院し、現在は保護司・有働さゆりの保護観察下にある当真勝雄を訪ねる。当真はさゆりのピアノによる治療を受け、歯科医院で雑用の仕事をしながら穏やかに暮らしていた。調査対象として接しなければならないと思いながらも、さゆりやその息子の真人、そして当真にも好感を抱いていた古手川だったが、初対面からわずか2日後、真人がカエル男の第3の犠牲者となってしまう。怒りに我を忘れそうになる古手川を諫めながら、渡瀬は状況を冷静に見つめ、3つの殺人が全て飯能市内でアイウエオ順に行われていることに気づく。埼玉日報の記者・尾上善二もこれに気づき、事態を詳らかにしてしまうと、市役所、精神患者の収容施設など、ありとあらゆる場所に異常犯罪虞犯者リストを求めた市民が押し寄せ大パニックとなる。しかしカエル男の犯行は止まらず第4の殺人が発生。ついには飯能警察署内で市民による暴動が起こり、渡瀬と古手川も身動きがとれなくなってしまう。当真らの身を案じた古手川はなんとか警察署を抜け出し救助に向かうが、そこでなぜこの4人が殺されたのか、その本当の共通点に辿り着く。
登場人物
埼玉県警・捜査関係者
古手川 和也(こてがわ かずや)
1年前に
埼玉県警捜査一課に配属された若手刑事。大学は出たが国家公務員試験一種は落ちたため、ノンキャリアとしてスタートした。自尊心が高く、功名心は日増しに肥大。早く大きな事件で犯人を検挙して手柄を立て、自分の存在を知らしめたいと思っている。右手の掌に2本並行して横断する傷跡があり、それを左の親指でなぞる癖がある。さゆりが弾く「ベートーヴェン・ピアノソナタ第八番ハ短調〈悲愴〉」に心打たれる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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