連続体濃度
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集合論における連続体濃度(れんぞくたいのうど、: cardinality of the continuum)とは、実数全体の成す集合 R の濃度(あるいは基数、集合の「大きさ」の尺度)のことである。連続体濃度を持った集合を連続体 (continuum) と呼ぶこともある。これは無限濃度のひとつであり、|R|, 2ℵ0(ℵはヘブライ文字のアレフ), または c {\displaystyle {\mathfrak {c}}} (ドイツ文字小文字の c)などの記号で表される。
目次

1 概要

2 性質

2.1 連続濃度の非可算性

2.2 別の説明


3 連続体濃度についての関係式

4 ベート数

5 連続体仮説

6 連続体濃度をもつ集合

7 連続体濃度よりも大きな濃度

8 参考文献

概要

実数の全体 Rは自然数の全体 N の冪集合の元と同じ数の元をもつ。さらに、これらの集合は N 自身よりも多くの元を含む(#連続濃度の非可算性節を見よ)。このことはゲオルク・カントールによって1874年に初めて示され、無限の尺度に異なる階層があることを確立した研究の嚆矢となった。後に、カントールはより簡明な対角線論法による証明も与えている。

連続体濃度を持つ集合には以下のような例がある。二つの異なる実数 a < b を取ったとき、これらの値がどんなに近い場合でも、開区間 (a,b)は R と同じ濃度の実数が含まれている。また、任意次元のユークリッド空間 Rn も R と同じ濃度を持つ(濃度の演算)。これらのことは以下の式で表される。 。 ( a , b ) 。 = 。 R 。 = 。 R n 。 . {\displaystyle |(a,b)|=|\mathbb {R} |=|\mathbb {R} ^{n}|.}

他の例については#連続体濃度をもつ集合節を参照のこと。

可算濃度 ℵ0 = |N。と連続体濃度との間に、これらと異なる濃度が存在するかという問題は、カントールによって連続体仮説として提起された。クルト・ゲーデルおよびポール・コーエンの研究によって、連続体仮説自体はその否定も肯定も集合論の標準的な公理系 ZFC との間に矛盾を引き起こさないことが示された。詳しくは#連続体仮説節および連続体仮説を参照のこと。
性質
連続濃度の非可算性

対角線論法により、「任意の集合に対して、その冪集合のほうが濃度が真に大きい: |A。< 2|A|」というカントールの定理が示される。したがって、自然数全体の成す集合 N の冪集合 P(N) は非可算である。さらに、以下のような議論により、P(N) の濃度は連続体濃度に等しいことが示せる。

実数全体から有理数全体の成す集合の冪集合への写像 f: R → P(Q) を、任意の実数 x に対しそれよりも小さい有理数全体のなす集合 {q ∈ Q 。q ≤ x} を対応付けるものとして定める。これは、実数を有理数のデデキント切断として定義すると言う立場からは、本質的には、有理数の集合の冪集合への包含写像だということになる。この写像は、有理数全体の成す集合 Q が R において稠密であることから単射である。有理数全体の成す集合 Q は可算であったから、 c ≤ 2 ℵ 0 {\displaystyle {\mathfrak {c}}\leq 2^{\aleph _{0}}} を得る。

各項が0または2の値をとる無限列全体の成す集合 {0, 2}N を考える。この集合の濃度は明らかに 2ℵ0 である(このような二値数列の全体と冪集合 P(N) との間の自然な全単射指示関数を考えることで与えられる)。いま、このような二値数列 (ai)i ∈ N に対して、単位閉区間 [0, 1] に属する実数で、その三進展開の数字の並びから作った数列が (ai) となるようなもの(つまり、小数点以下第 i-位の数字が ai であるような実数)が一意に定まるので、これを対応させる。実数の三進展開表示において一意性がくずれるのは、ある項から先に0が続く場合か2が続く場合のどちらかであることから、この対応は単射写像を定めている(この写像の像をカントール集合と呼ぶ)。したがって 2 ℵ 0 ≤ c {\displaystyle 2^{\aleph _{0}}\leq {\mathfrak {c}}} を得る。

以上のふたつから、ベルンシュタインの定理により c = 。 P ( N ) 。 = 2 ℵ 0 {\displaystyle {\mathfrak {c}}=|{\mathfrak {P}}(\mathbb {N} )|=2^{\aleph _{0}}} が結論できる。特に、連続濃度は可算集合の濃度よりも真に大きいことが従う。

もちろん、{0,1}N から R への全単射を直接構成することによっても、 c = 2 ℵ 0 {\displaystyle {\mathfrak {c}}=2^{\aleph _{0}}} の別証明を与えることができる。カントールの対角線論法も参照のこと。
別の説明

上の等式 c = 2 ℵ 0 {\displaystyle {\mathfrak {c}}=2^{\aleph _{0}}}


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