連接台車(れんせつだいしゃ)は、鉄道車両において車体間に設置して2つの車体を支える台車のこと。 ヴィルヘルム・ヤーコプス
定義
一方、連節車は運用中に分離可能な連結器を使わずに、半永久的、直接的に車体同士を接続した車両全般を指す。したがって、連接車は連節車の一部ということができ、現在では連接台車を採用している車両を「連接車」、連接台車を用いない車両を「連節車」と表記する場合が多い[2]。LRV(ライトレール用車両)を中心に台車を持たない「浮き車体」と「単一台車付き車体」を用いる例が「連節車」にあたる。 日本初の採用例である1934年の京阪「びわこ」号60型では「連節車」が用いられた。その後、「関節車」と称している事例も存在し[3]、戦後までこれら2つの表記が用いられていた。1957年の小田急3000形 (SE)と1958年の『鉄道辞典』で「連接車」が現れ、やがてこの表記が主流になった[4]。 結局「連接台車」を用いることで、必然的に乗り心地の悪い部分をカットしてレールに沿うように列車自体が小型になるため軽量化されたわけで、いきなり通常のボギー車の台車を外して連結部分に連接台車を取り付けても軽量化編成として運行できるわけではない。 なお、さらに台車数を減らす方法として、1車体に付き台車を1(真下)か0(前後の車体で支える)だけつけて、これらの車体同士を「連節」させて支え合わせる(永久連結が前提になる)方法があり、ただ全体の重量を軽くするというだけなら、こちらの方がより効率的になる(後述)。
表記の変遷
特徴
長所
2車体が連結器を介さず、台車によって直接つながるため、蛇行動のような横方向の複合振動が起きず、高速域の安定性が高く乗り心地も良い。近年はダンパーが発達したため、ボギー車でも容易にヨーイングを抑えられるが、逆にいえば連接式にすれば車体間ダンパやヨーダンパを省略(簡略)できる場合が多い。
ボギー台車より台車の総数が減少すること、及び台車間隔が同じなら中間車のオーバーハング部分の車体が省略されるので編成全体の軽量化に貢献する。
(どの条件でも連接台車を使えば軽量化できるというわけではない。後述の「短所」を参照。)
連接部は車体に前後方向のオーバーハングがなく、曲線通過時に外側へ車体のはみ出しが少ない[5]。(内側は台車間距離に依存するため連接車であることは影響しない[注釈 1])
上記と同じ理由でオーバーハング部分の遠心力による横揺れの激しい(乗り心地が悪い)座席がなくなる[6]。
上2つと同じ理由で貫通幌のねじれが少なくなるので痛みにくく[6]、急カーブがある路線でも安全な貫通路の確保ができる[注釈 2][7]。
騒音源となりやすい台車が車体端にあるため、車端ドアだけでデッキ部を設けなくとも静粛性が向上する[8]。
台車と車体のマウント部を車体間の隙間を利用して高い位置に設定することができ、車体のロールセンタを上げ、ロールを少なくすることで乗り心地を向上し、なおかつ高速走行時の安定性が向上する。(特に車体傾斜式車両における自然振り子式の問題であった振れ遅れをこれで抑えられる[9])。
台車数が減ることで、総重量が台車分減少しているにもかかわらず、1軸当たりの軸重が上がることで軸受の摩擦が下がるため走行抵抗が小さくなる。
短所
個々の車両を必要に応じて増解結することが困難で、編成の自由度が下がり、修理工場に入れる際にも編成全部を一度に入れねばならず長い工場が必要になる他、脱線事故の際に復旧作業に手間がかかる[6]。
動力分散型車両では、同一両数では車軸数が少ない分、可能な最大の編成出力が制限される(ただし、気動車の全軸駆動はほぼなく、電車も全M車編成は少数なので、実際は台車数が少なくなることで駆動輪まで足りなくなることはあまりない[注釈 3])。
重量を負担する台車と車軸が少なくなるため、台車と車軸と軌道に活荷重が集中し、台車が減って軽量化した分を差し引いても1軸当たりの軸重は上昇するので、軸重を同じにするなら車体自体の重量もボギー式車両より小さくしなければならない[注釈 4][10]。輸送量が低下する。(ただし、付随車や動力車でも分散式の場合は集中式の機関車に比べ圧倒的に軸重が低いので、これが問題になるのは元々分散式の車両しか走らないような鉄道の場合である。)
ホームドアを設置する場合、前述のように台車間隔が同じでも連接車は一両当たりの長さが通常ボギー車と異なるので、小田急電鉄のように両方を運用する場合は車両とホームのドア位置を合わせにくくなる[11]。
補足:台車数を減らす目的での別解