通達
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

通達(つうたつ)とは、行政機関において作成・発出される文書形態の一である。判例では「上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するもの」と定義されている[1]ものの、実際には民間企業・団体に対して発出されることもある。

戦前は「通牒」と呼ばれたが、戦後の公用文改革により当用漢字を用いた名称として「通達」に変更された。[2]

外国の例では、アメリカ合衆国議会が政府部局に対して法の立法意義や運用方法を示達したり、アメリカ政府内での法解釈の示達を行われるために使用されるen:Dear Colleague letterは、日本の通達に近い。(通達の宛先が「関係者各位」(Dear Colleague)となるのが定型であるためかく呼ばれる。)
通達と通知

法的な指揮監督権がない相手方への示達は慣例的に「通知」と呼ぶ(文部省『公文書の書式と文例』(1959年11月発行)では、「法令その他の権限に基づいて発する文書」が通達で、「通達以外のもので、一定の事実、処分、意思を伝達する文書」が通知としている。)。2000年の地方分権化一括法により、国の機関委任事務に関する地方への指揮監督権がなくなり、国から地方公共団体への示達文書は通知となった。

しかし日本において、通達は指揮監督というよりもパターナリズム的な主従関係により発せられ、法的命令権限の有無にかかわらず受翰者は発簡者の意を忖度して自主的に服従するのが当然であり、実務的な拘束力に差異がないため、本項においては通達と通知を区別しない。
形式

通達は、法令告示や訓令内規と異なり、特定の相手方への信書の形式を取っているのが特徴である。そのため、「文書番号」「発簡日」「宛先」「発簡者」「題名」の5要素が冒頭に表示されるのが通例であり、通達を引用する際には、これらの要素を組み合わせて個別の通達を識別する。

以下、それぞれの要素の概要を示す。
文書番号

各官公署で文書管理のために付番された識別子であり、通し番号の他に発簡者の部署を示す略称などが付される。(例えば厚生労働省労働基準局発簡であれば「基発」、国土交通省住宅局建築指導課発簡であれば「国住指」など)また、軽微な通達の場合は、文書番号に代えて「事務連絡」と表記する慣習がある。

後述の連名通達の場合、連名の各部署で個別に付番を行うため、一つの通達に複数の文書番号がずらずらと並ぶという珍妙な文書となる。[注 1]
発簡者

国の本省・本庁が発出する通達の場合、課長級以上が発簡者となるのが慣例であるが、ごく軽微な通達については、室長級が発簡者となることもある[注 2]。上位者が発簡者となることは通達の威信を高めるが、一方で些末な事項について上位者が示達することは役職の威信を損ねるため、発簡者の役職は通達の軽重や内容により個別に設定される。

また「依命通達」という形式がある。これは、上位者の命令を受けて補佐官・書記官などの下位者が具体的事項を通達する形式であり、事務的事項を記載しつつも通達に威信を持たせることができる。防衛庁(現・防衛省)においては、命令者と発簡者を両方を表記している場合があるが[注 3][注 4]、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}他機関では発簡者のみが表記されるため、命令者が誰であるかは、通達の内容や状況を忖度して推定される。[要出典]

また、複数の機関に関係する通達については、発簡者が複数機関の役職者となることがあり、これを「連名通達」と称する。この場合、対等の役職者の連名とするのが通例であり、各発簡者が同等の連帯責任を負う日本的な形式となる。
宛先

通達は上意下達を目的とする文書であるため、宛先は必ず発簡者と対等か下位の者である。

対等の通知は、特定の部局が組織管理に関わる事項を機関全体に示達したい場合[注 5]や、政府全体の行政執行に係る件を、所管省庁から全省庁に示達する場合[注 6]などがある。

省庁内部での通達は、本省・本庁から各出先機関宛てに発出されるものが大半である。(「国税庁本庁部局から各地方国税局宛」「財務省本省部局から各地方財務局宛」「郵政省本省部局から各地方郵政局宛」など)これは、多数の出先機関への周知を行う必要がある事情の他、本省・本庁から地理的に隔絶した出先機関は直接監督することが困難であり、信書の送付により示達するほかなかった旧慣にもよる。また、序列階層を重んじる官公庁の慣例として、直下の機関に通達の上、さらに下位の機関への通達を命じることもある。[注 7]

上記と同様に国から地方公共団体への通達は、必ず都道府県や政令市に向けて行われることが通例である。国が市区町村に直接示達するのは国の威信を損ねるため、市区町村の事務に関するものであっても、必ず都道府県からリレー式に市区町村に通知されなければならない[注 8]

また、行政機関から業界団体宛に通達が行われることもある[注 9]。これは、国家総動員法が廃止された後の戦後日本においても産業組合主義(en:Guild socialism)が強い影響を持ち、各業界は個別事業者を統率する業界団体により自治的に管理されるべきであり、国の産業統制は業界団体を通して間接的に行われるべきであるとの考えに基づく。
添付資料

示達内容は通達本文に示されるのが通例であるが、「別紙」「別添」として別葉の添付資料が付されることもある。添付資料は、様式、法令の抜粋、通達の検討過程など参考資料であることが多いが、時には通達の主要部分そのものが添付資料となることがある。

通達を恒久的な基準としたい場合、示達内容を例規名を付した独立文書とする慣習がある。文書には「審査要綱」「運用指針」「取扱基準」「処理規程」「適用ガイドライン」などの雑多な例規名が付けられる。なお、警察組織においては、この形式の通達を特に「例規通達」と呼ぶ。

また、通達本文で添付資料を遵守するよう命じた上で、会議資料や申し合わせ、報告書など添付することで、本来拘束力を持っていない内部文書を行政規則に変えてしまうことができる。例えば、昭和55年11月4日文部省管理局長通知「資金収支内訳表等の部門別計上及び配分について(通知)」では、「学校法人財務基準調査研究会」なる任意団体の作成した報告書を添付した上で、通達本文で報告書の趣旨に基づき処理するよう命じることで、報告書をそのまま行政機関の命令に変えている。

また別の場合として、公示制度がない法令外文書について公表する手続きとして通達が用いられる。例えば、地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律第4条により内閣総理大臣が定めた基本指針は、平成30年6月1日内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官・内閣府地方創生推進事務局長・文部科学省高等教育局長連名通知「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律の施行等について(通知)」により関係団体に示達され、国民に周知するよう命じることにより公表された。
内容

通達も含めた行政規則について塩野宏[6]
事務組織及び事務配分の定めなどの組織に関する定め

公務員、国公立学校の学生・生徒に関する定めなどの特別の関係を持つ者に関する定め

拠るべき解釈や裁量に関する基準を示すなど各行政機関を名宛人とする、各行政機関の行動の基準に関する定め

補助金を交付する際に制定される交付規則とか交付要綱

いわゆる建築指導要綱など行政の相手方に対する行政指導の基準を文言的に定めたもの

に5分する。1、2については組織管理のための内規に属するものであり、本項において触れないが、他について以下の通り概説する。
行動の基準に関する定め

通達として最も一般的に発翰されるものであり、実質的な行政立法として機能してきたものである。具体的な内容・分類は、種々の学説あって一定しないが(そもそも発翰する行政機関自体が明確な分類観念を持っていないことが、この問題をややこしくしている。)、本項においては便宜的に、法令の解釈や適用の基準を示した「解釈通達」」[7]、法令の規定を適用する際の取扱の基準である「取扱通達」[8]、行政における執行手続きを定めた「執行通達」[9]に3分する。

例えば「高齢者に給付金を与える。」という法令が仮にあったとすると、「高齢者とは65歳以上の者である。」という法解釈の考え方を示すのが解釈通達であり、「給付金の申請手続きの際は住民票を提出させろ。」という具体的な運用の手順・基準を示すのが取扱通達であり、「今年度中に給付金の支給を終えろ。」という法執行の方針・内容を指示するのが執行通達である。

解釈通達のさらに具体的な内容としては、法令の不確定概念を明確にする「補充通達」、解釈を統一を図るために確認的に解釈を示す「留意通達」、法令の定める要件よりも緩い要件を定める「緩和通達」がある。[10]

補充通達は実務の便宜上、特定の法令事務に関しての解釈を網羅した包括的な通達が発出されることも多い。税務部局においては「基本通達」という名称が用いられる[注 10]。労働基準法の分野では、昭和時代の内簡で示された個別解釈を集成して1個の通達とした「労働基準法解釈例規」という包括的通達がある。また、個別の法令について「××法令の施行について」「××法令の運用について」といった包括的通達が発せられることがある[注 11]

留意通達は、他法令との関係による解釈[11]、発翰者の見解と相違する運用が行われる可能性がある事項についての注意喚起[12]などがある。

緩和通達は「目こぼし通達」とも呼ばれ、通達行政に関わる問題としてしばしば議論となる。例えば昭和45年7月1日国税庁長官通達「所得税基本通達の制定について」36-30は、労働者が永年勤続表彰として会社から受け取った記念品には所得税が課税されないことを定めているが、単に「税務署の恣意によって」課税しなくてもよいとしているものである。このような緩和規定が存在するのは、法令を完全に遺漏なく執行することは困難であるため、限られた行政資源の運用の中で積極的に法を執行するに値しない事項については、最初から執行しないとの統一方針を定めておいた方がよいとの考え方による。しかし、非課税の範囲は本来所得税法第9条に規定されているもので、非課税所得の範囲を拡大するには、立法府の議を経て法の改正によるべきものである。行政機関内だけで作成された文書により法の規定を超えて非課税の範囲が拡大することは、立法府の定めた法令が行政府により勝手に改正されたのと実質的に同様の効果が生じる。


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