宗教人類学
ペルー出土の古代の擬人化像
基本概念
来世
アニミズム
オーギュリー
通過儀礼(つうかぎれい、rite of passage)とは、人間が出生してから成人し、結婚などを経て死に至るまでの成長過程で、次なる段階の期間に新しい意味を付与する儀礼。イニシエーションの訳語としてあてられることが多い。
人生儀礼(じんせいぎれい)ともいうが、通過儀礼を広義に取り、人生儀礼を下位概念とする分け方もある。 イニシエーションとして古くから行われているものとしては、割礼や抜歯、刺青など身体的苦痛を伴うものも多く、こうした事例は文化人類学の研究対象となっている。フランスのファン・ヘネップによる研究(『通過儀礼』1909年)が有名である。 通過儀礼を観光化・娯楽化したものとしては、バヌアツ共和国のナゴール(バンジージャンプ)などが有名である。 宗教においても通過儀礼は重要な儀式として位置づけられる。その一例としてキリスト教社会においては、以下のようなものが挙げられる。 現代における入社式や卒業式など、社会集団に参入または離脱する際に行われる儀礼も通過儀礼のひとつだが、日本で一時期社会問題となった一気飲みのように、文化圏によってはイニシエーションとして若者が大人社会に参入する際に過酷な試練を課すという現象が見られる[1]。社会心理学では、負担の大きな加入儀礼は、当人が認知的不協和を解消しようとする結果、組織への主観的評価を高めると考えられている[2]。一方で、過酷すぎるイニシエーションはメンバーのフラストレーションを高め、集団に対する価値や魅力を失わせるという研究結果もある[1]。 日本の中世・近世における武家階級では元服というものがあり、服装、髪型や名前を変える、男子は腹掛けに代えてふんどしを締める(褌祝)、女子は成人仕様の着物を着て厚化粧する、といったしきたりもあった。地域・社会によっては男子の場合、米俵1俵(60キログラムから80キログラム)を持ち上げることができたら一人前とか、地域の祭礼で行われる力試しや度胸試しを克服して一人前、日の出から日の入りまでに1反(およそ1000平方メートル)の田植えができたら一人前などという、年齢とは別の成人として認められる基準が存在した例もある。女子の場合には子供、さらに言うならば家の跡継ぎとなる男子を出産して、ようやく初めて一人前の女性として周囲に認めてもらえる場合もあった。
概要
カトリック教会における秘跡は、通過儀礼としての性質を併せ持っているものが多い。洗礼(幼児洗礼)や初聖体、堅信などは典型的な例である。
プロテスタント教会における幼児洗礼や信仰告白、正教会における聖洗も同様である。プロテスタント教会であっても幼児洗礼を行わないバプテスト派の洗礼(浸礼という)は、通過儀礼というよりは会衆の一員となる儀式の性格が強い。
日本における通過儀礼