逐次重合
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この項目「逐次重合」は翻訳されたばかりのものです。不自然あるいは曖昧な表現などが含まれる可能性があり、このままでは読みづらいかもしれません。(原文:Step-growth polymerization)
修正、加筆に協力し、現在の表現をより原文に近づけて下さる方を求めています。ノートページや履歴も参照してください。(2017年7月)
一般的な逐次重合の図示。白丸はそれぞれモノマーを表わし、黒鎖はオリゴマーおよびポリマーを表わす。

逐次重合(ちくじじゅうごう、: sequential polymerization)あるいは段階成長重合(だんかいせいちょうじゅうごう、step-growth polymerization) とは、官能基を二つ以上もつモノマーがまずダイマーを形成し、次にトライマー、と徐々に長いオリゴマーへと成長していき、最終的に長鎖ポリマーとなるような重合反応機構をいう。自然界に存在する多くのポリマーが、およびポリエステルポリアミドポリウレタンなどのいくつかの合成ポリマーが逐次重合により生産されている。重合反応機構の性質から、大きな分子量に到達するまでには反応が高度に進行する必要がある。逐次重合の反応機構を思い描く最も簡単な方法は、複数の人間が手を繋ぎ合って人間の鎖を作る場面を想像することである。各人の二つの手が反応サイトに相当する。モノマーに二つよりも多い反応サイトが存在する場合もあり、この場合は分枝ポリマーが生成する。
目次

1 歴史

2 逐次重合と縮合重合

3 逐次重合と連鎖重合との違い

4 様々な逐次重合による生成物

4.1 分枝ポリマー


5 反応速度論

5.1 自己触媒ポリエステル化

5.2 外部触媒ポリエステル化


6 線形重合における分子量分布

6.1 確率

6.2 数分率分布

6.3 重量分率分布

6.4 多分散指数


7 線形重合における分子量制御

7.1 量論制御の必要性

7.2 定量的側面


8 多鎖重合

9 逐次重合ポリマーの進歩

9.1 芳香族ポリエーテル

9.2 ポリエーテルスルホン

9.3 芳香族ポリスルフィド

9.4 芳香族ポリイミド

9.5 テレケリックオリゴマー法


10 関連項目

11 外部リンク

12 出典

歴史

人間に原始時代から用いられてきた自然ポリマーはほとんどが縮合型であった。初めての真の合成ポリマー材料はベークライトであり、1907年にレオ・ベークランドにより発表された。この材料はフェノールホルムアルデヒドの逐次重合により生産される。1930年代デュポンにおける研究リーダーとして働いていた合成ポリマー科学の先駆者、ウォーレス・カロザースは逐次重合を用いる新たなポリエステルの製法を開発した。この反応は大きな分子量を達成することを目的として設計された初めての反応であり、かつ科学的理論によって結果を予言した上で行なわれた初めての重合反応でもある。カロザースは逐次重合系のふるまいを記述する一連の数式を開発し、今日ではカロザース方程式として知られている。物理化学者のポール・フローリーとの協力により、速度論や量論、分子量分布などの逐次重合のより詳しい数学的側面を記述する理論が開発された。カロザースはナイロンの発明者としても知られている。
逐次重合と縮合重合

逐次重合と縮合重合とは別の概念であり、必ずしも一致する概念ではない。実際、ポリウレタン重合時の反応機構は(他の低分子を生成しないので)付加重合であると言えるが、同時に逐次重合の反応機構により進行する。

付加重合と縮合重合の区別は1929年にカロザースにより次のように重合の生成物に基く区分として導入された[1][2]

ポリマーのみ:付加重合

ポリマーと低分子:縮合重合

逐次重合と連鎖重合の区別は1953年にフローリーにより次のように反応機構に基く区分として導入された[3]

官能基により進行:逐次重合

ラジカルもしくはイオンにより進行:連鎖重合

逐次重合と連鎖重合との違い

逐次重合の特徴を示すため、しばしば連鎖重合との対比が行なわる。

逐次重合

連鎖重合


基質全体で成長が進行各分子鎖の一端もしくは両端でのみ成長が進行
モノマーは反応の初期段階で消滅反応進行中の長いあいだモノマーが残存
類似の段階的成長が反応過程全体にわたって繰り返される開始反応、伝播反応、停止反応、連鎖移動の異る段階を踏んで進行
低転換率では平均分子量はゆっくりと増大し、長い分子鎖長を得るためには高度に反応が進行する必要がある主鎖分子量は反応中の速い段階で迅速に増加し、重合反応中にわたっておおよそ変化しない
活性を保ったまま終了(停止しない)停止反応後には活性がなくなる
重合開始剤の必要がない重合開始剤を必要とする

様々な逐次重合による生成物

様々な逐次重合による生成物を次に示す[4][5]

ポリエステルは高いガラス転移温度 Tg と高い融点 Tm を持ち、およそ 175 °C までは良い機械物性を示し、溶媒や化学物質に対しての抵抗性が良い。繊維やフィルムの形で用いられる。繊維は織物、フェルト、タイヤコードなどに用いられ、フィルムは磁気記録媒体や高品質薄膜に用いられる。

ポリアミドナイロン)は高い強度、弾性と耐摩擦性、耐久性、耐溶媒性などのバランスの良い物性を持つ。ポリアミドはロープ、ベルト、ファイバークロス、糸、ベアリングにおける金属代替材料、電線の被覆材などに応用される。

ポリウレタンは耐摩擦性、硬さ、潤滑油への耐性、弾性を備えたエラストマーとしてや、反発性の優れた繊維として、溶媒や摩擦に対する耐久性を備えた被覆材として、強度と反発性、耐衝撃性を備えた発泡材として用いられる。

ポリウレア(英語版)は高い Tg、油脂および溶媒への耐久性を示す。荷台のライニング材や橋梁塗装材、コーキング材や装飾デザインに用いられる。

ポリシロキサンは液状、脂状、状、樹脂状、ゴム状と幅広い物理的状態で利用しうる。用途としては消泡剤や剥離剤、ガスケット、封止材、ケーブルやワイヤーの絶縁材、高温液体・液体の導管などが挙げられる。

ポリカーボネートは透明な自己消火性のある材料である。高い衝撃強度、熱・酸化に対する安定性など、熱可塑性結晶に類似した物性を有する。機械や自動車産業、 医療用などに用いられる。例えば、F-22戦闘機は高光学品質ポリカーボネートをコックピットキャノピー(英語版)に採用している。

ポリスルフィドは顕著な耐油・耐溶媒性、気体不透過性、エージング耐性、オゾン耐性を有する。しかし、悪臭を持ち、引っ張り強度が低く、熱・酸化に対する耐久性も低い。ガソリンホースやガスケット、溶媒および気体への耐性が要求される部位に使用できる。

ポリエーテルは熱可塑性、水溶性、様々な優良機械特性、あるていどの強度と剛性を示す。木綿合成繊維の糊付け、粘着剤の安定化剤、結着剤、医薬品の成膜などに用いられる。

ベークライトは耐熱性、形状安定性、ほとんどの溶媒に対する耐久性を有する。また、誘電物性も優れている。この材料は典型的にはその誘電物性から電気製品、ラジオ、テレビ、自動車向けの塑造部品に用いられる。他にも、含浸紙、ワニス、壁材の装飾用ラミネートなどにも用いられる。

ポリトリアゾールポリマーはアルキン基アジド基を有するモノマーから製造される。


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