逆数
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関数 y = .mw-parser-output .sfrac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .sfrac.tion,.mw-parser-output .sfrac .tion{display:inline-block;vertical-align:-0.5em;font-size:85%;text-align:center}.mw-parser-output .sfrac .num,.mw-parser-output .sfrac .den{display:block;line-height:1em;margin:0 0.1em}.mw-parser-output .sfrac .den{border-top:1px solid}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}1/x のグラフ。0 を除くすべての x について y はその逆数を表している。

逆数(ぎゃくすう、: reciprocal)とは、ある数に掛け算した結果が 1 となる数である。すなわち、数 x の逆数 y とは次のような関係を満たす。 x × y = y × x = 1. {\displaystyle x\times y=y\times x=1.}

通常、x の逆数は分数の記法を用いて 1/x のように表されるか、の記法を用いて x−1 のように表される。

1 を乗法に関する単位元と見れば、逆数とは乗法逆元(じょうほうぎゃくげん、: multiplicative inverse)の一種であり、乗法逆元とは一般化された逆数である。

上述の式から明らかなように、x と y の役割を入れ替えれば、x は y の逆数であると言える。従って、x の逆数が y であるとき y の逆数は x である。

x が 0 である場合、任意の数との積は 0 になるため、(0 ≠ 1 であれば)0 に対する逆数は存在しない。

また、任意の x について必ずしもその逆数が存在するとは限らない。たとえば、自然数の範囲では上述の関係を満たす数は x = y = 1 以外には存在しない。0 を除く任意の数 x について逆数が常に存在するようなものには、有理数実数複素数がある。これらのように四則演算が自由にできる集合をと呼ぶ。

逆数は乗法における逆元であるが、加法における逆元として反数がある。

1つの二項演算を持つ集合であって左右の逆元が常に存在するもの(代数的構造)はループと呼ばれる。

以下に具体例をいくつか挙げる。ここで e はネイピア数、i は虚数単位、r は複素数絶対値、θ は複素数の偏角を表す。また、z は複素数 z の共役複素数、|a| は数 a の絶対値を表す。

9 の逆数は 1/9。同様に 1/9 の逆数は 9。

2/3 の逆数は 3/2。同様に 3/2 の逆数は 2/3。

0.3 の逆数は 1/0.3 = 10/3。同様に 10/3 の逆数は 3/10 = 0.3。

−5 の逆数は 1/−5 = −1/5 = −0.2。

−|a| の逆数は 1/−|a| = −1/|a|。

i の逆数は 1/i = i−1 = −i。

3 + 4i の逆数は 1/3 + 4i = 3 − 4i/25。

x + yi の逆数は 1/ x + yi = x − yi/x 2 + y 2。

reiθ の逆数は (reiθ)−1 = 1/re−iθ。

複素数 z の逆数は 1/z = 1/|z|2z。

合同式での逆数詳細は「モジュラ逆数」を参照

合同式において逆数を考えることができる。a × b を m で割ると 1 余るとき、b を a の m を法とする逆数と呼ぶ。合同式で表すと以下のようになる。 a × b ≡ 1 ( mod m ) . {\displaystyle a\times b\equiv 1{\pmod {m}}.}

例えば、4 × 2 ≡ 1 (mod 7) となるので、法 7 において 2 は 4 の逆数である。通常の逆数と同様、逆数の逆数は同じ数であり、0 の逆数は存在せず、1 や −1 の逆数はそれ自身である。合同式の性質から、m の倍数の逆数は存在せず、(km ± 1) の逆数はそれ自身になる。

定義上、a は m と互いに素である必要がある。つまり、一般に合同式での逆数は存在するとは限らない。例えば、7 × b ≡ 1 (mod 42) や 12 × b ≡ 1 (mod 4) を満たす b は存在しない。

素数 p を法とする場合、0 以外の全ての元が逆数を持つ。法 17 を例とすると次のようになる。

元012345678910111213141516
逆数なし19613735152121410411816

合同式での逆数はオイラーの定理によって計算できる。a に逆数 b が存在するならば a × b ≡ 1 ≡ a φ ( m ) = a × a φ ( m ) − 1 ( mod m ) {\displaystyle a\times b\equiv 1\equiv a^{\varphi (m)}=a\times a^{\varphi (m)-1}{\pmod {m}}}

なので、 b ≡ a φ ( m ) − 1 ( mod m ) {\displaystyle b\equiv a^{\varphi (m)-1}{\pmod {m}}}

(ここで φ はオイラーのφ関数)であり、逆に a と m が互いに素であれば、この式によって逆数が与えられる。特に、m が素数の場合以下のようになる(フェルマーの小定理から直接導かれる)。 b ≡ a m − 2 ( mod m ) . {\displaystyle b\equiv a^{m-2}{\pmod {m}}.}


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