逃げ上手の若君
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逃げ上手の若君
ジャンル
歴史漫画
漫画
作者松井優征
出版社集英社
掲載誌週刊少年ジャンプ
レーベルジャンプ コミックス
発表号2021年8号 -
発表期間2021年1月25日 -
巻数既刊15巻(2024年4月現在)
アニメ
原作松井優征
監督山ア雄太
シリーズ構成冨田頼子
キャラクターデザイン西谷泰史
音楽GEMBI、立山秋航
アニメーション制作CloverWorks
放送局未発表
放送期間2024年7月 -
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画アニメ
ポータル漫画アニメ

『逃げ上手の若君』(にげじょうずのわかぎみ)は、松井優征日本漫画作品。集英社の『週刊少年ジャンプ』にて2021年8号から連載中で、で2024年1月時点にて電子版を含む累計発行部数が200万部を突破している[要出典]。
概要

暗殺教室』終了以来、約5年ぶりとなる松井の連載作品[1][2]鎌倉時代から室町時代にかけて[3]北条時行の生涯を描く歴史漫画である[1][2][3][4][5]足利尊氏[注 1]によって鎌倉幕府が滅ぼされ[3][6]北条家一族郎党が次々と死を選ぶ中[2]、高氏の手から逃げ延び諏訪頼重らとともに再起を期す時行の物語が展開される[6]。戦って死ぬことこそが武士の誉れとされた時代において[2][4]、敵から逃げることで英雄となった時行の生涯を[2][5]史実をもとに描いている[2][3][4][5][7][8]

第1話は『週刊少年ジャンプ』の2021年8号に掲載されたが[2][8]、その際に「駆け出す! 史上最も逃げ上手の英雄!!」[2]「史実スペクタクル逃亡譚」[2]などのキャッチコピーが掲載された。また「逃げ若」との略称も掲載された。連載開始時、北条時行や南北朝時代を題材としたことが反響を呼び[2][5][6]、時行本人についても話題となった[2]。第1話から第3話がボイスコミック化され、YouTubeにて公開された[9][10][11][12]

連載誌には、漫画本編の後にコラム風の読み物ページ『解説上手の若君』が掲載されており、南北朝時代の歴史や風習などが解説され、単行本にも再録される。

本作から松井の作画がフルデジタル化した。鎧や武具の作画コストなどで松井は連載準備段階から第四話までの原稿料程度の私費を投じた[13]。鎧の3DGCモデリングをはじめ筆書、着物柄、水墨画、単行本装丁などを外注しており、単行本全巻の巻末にはスペシャルサンクスとして制作スタッフの名前が挙げられている[14]

2022年、「全国書店員が選んだおすすめコミック2022」にて第8位にランクイン[15]。2024年、第69回小学館漫画賞を受賞[16]
あらすじ

時は1333年、鎌倉幕府の後継者である少年・北条時行は、武士としての取り柄を持っておらず、武芸の稽古からも逃げ続ける日々を送っていた。しかし、後醍醐天皇と内通した御家人・足利尊氏の突然の謀反により、鎌倉幕府は滅亡する。故郷も家族も全て失い、一人生き残った時行は信濃国の神官・諏訪頼重に保護される。頼重は未来が見えると言い、時行が「2年後に天を揺るがす英雄となる」と予言する。時行は誰よりも逃げ隠れ、生き延びる才能に秀でていた。潔く死ぬことが名誉とされた時代において、自らに降りかかる過酷な運命を「逃げ」で切り開いていく英雄譚の始まりである。

頼重の根拠地である信濃国諏訪へ落ち延びた時行は、頼重の指導の下、同年代の郎党「逃若党」と共に仇敵・尊氏を打倒し天下を取り戻すべく力を蓄えていく。諏訪大社の稚児・“長寿丸”として素性を偽る時行だが、彼の前に北条残党を捜索する信濃守護・小笠原貞宗が立ちはだかる。当代随一の腕前である貞宗の弓術に惹かれた時行は、正体を隠しつつ技術を盗むことを試みる。犬追物の場で時行と貞宗の弓矢対決が実現し、時行は窮地に陥るも、逃げながらの後方射撃を編み出したことで逆転勝利を収める。貞宗との探り合いを経る中で風間玄蕃が仲間になる。

1334年初冬、諏訪領北の国境にある集落へ偵察に出向いた時行達は、二刀使いの軍師・吹雪に出会う。逃若党は村を侵略する悪党集団「征蟻党」と交戦、吹雪から伝授された秘技で敵の首領・瘴奸を打ち破り村の防衛に成功する。同じ頃、時行は頼重が一時的に失った神力を取り戻す過程で、頼重の娘である逃若党の執事・雫の持つ神秘的な力を体験する。

同年春、国司・清原信濃守の圧政に耐えかねた北信濃の保科弥三郎が反乱の兵を挙げる。被害を抑える命を受けた時行達は戦場に赴き、死を覚悟する武士達を説得。逃若党の副将・弧次郎の奮戦もあり、国司軍から保科を逃がすことに成功した。その後、貞宗に正体を怪しまれた時行は守護館に呼び出され、一対一の舌戦に臨む。執拗な追及から時行を助けたのは、逃若党の便女・亜也子の芸才だった。一方、鎌倉では尊氏の弟・足利直義率いる関東庇番が街の復興を進め、新たな統治者として君臨していた。

1335年3月、帝の綸旨を受けた国司・守護連合軍と親北条派の抵抗勢力が北信濃で激突する動乱が発生。天下を取り戻す前哨戦として始まったこの戦に、時行は複数の戦場を駆け回る伝令役として参加。諏訪神党三大将をはじめとする味方勢力と交流を深める。いよいよ時行の決起が迫る中、神職を引き継いだ頼重の孫・諏訪頼継は、祖父に関心を向けられる時行に嫉妬するが、互いの本音をぶつけ合ったことでわだかまりは解ける。同年6月、諏訪に時行の叔父・北条泰家が現れる。泰家は大乱の実行に向けて頼重と協議を進めるが、足利方の忍集団「天狗衆」が諏訪を監視していた。天狗衆の追及を躱すため、時行は泰家と共に密かに京の都へ向かう。時行たちは佐々木道誉の娘・魅摩と友人になり、楠木正成から逃げの極意を学び得る。そして尊氏を暗殺しようとするが失敗し、同じく泰家が主導した後醍醐天皇の暗殺計画も失敗に終わる。からくも信濃へ帰還するも、期せずして京を混乱させることには成功した。

好機とみた頼重・時行は1335年7月、ついに挙兵した。諏訪軍は瘴奸、清原や関東庇番を破り、直義を追い出して鎌倉を奪還することに成功するも、援軍としてやって来た尊氏によって壊滅させられてしまう。乱は頼重の死で終結し、時行も死んだことになり行方をくらます。この争いは、首謀者・時行の名を冠して中先代の乱と呼ばれるようになる。

1336年は激動の年であった。後醍醐天皇から朝敵とされた尊氏は別の帝を担ぎ上げ、2人の帝が並立するという異例の状況が発生する。身を隠していた時行は、尊氏を討つために後醍醐天皇に帰順し、北畠顕家の軍に加わる。
登場人物

担当声優は特記がない限りテレビアニメ版での配役。
主人公
北条時行(ほうじょう ときゆき)
声 - 結川あさき[17] / 大塚琴美(ボイスコミック版)[9][10][11][12]本作の主人公[18]1333年時点で8歳。北条氏惣領である得宗北条家の御曹司。鎌倉幕府執権を務めた北条高時の次男・正室子として生まれた[8][19]。ゆくゆくは彼が家督を継ぐと目されていたが[18][20]、尊氏の裏切りによって家と親族郎党を滅ぼされる。鎌倉幕府滅亡後は頼重の下に身を寄せ[6]、武芸や学問の手解きを受け[21]つつ、打倒足利家と北条家再興をはかる。諏訪大社で暮らすようになってからは素性を隠し、「小泉長寿丸」(こいずみ ちょうじゅまる)の仮名を名乗っている。弓取りが比較的マシな以外は非力かつ武芸全般を苦手とする一方、追手や追撃から逃げたり隠れたりする事に関しては非凡な才能を持つ。しかもただ恐れて逃げるだけでなく、逃げる事そのものに興奮や奮起を感じる変わった性格。しかしどれだけ逃げに徹していても、心に決めた信念からは決して目をそらさない。逃げ上手なことを除けば、素直で心優しく仲間想いな、どこにでもいる平凡な少年。物語冒頭と回想シーン内では、得宗北条家の御曹司らしく「三つ鱗の家紋」がいくつも描かれた着物に身を包んでいたが、倒幕勢力の目を盗んで鎌倉から諏訪まで逃亡を図る途中で追っ手の目を誤魔化すために頼重の発案で神社に仕える子供らしい装いをして以降は、必要に応じて様々な装いをしている。1335年に中先代の乱を起こし、一度は鎌倉を取り戻したものの、尊氏に大敗。大恩ある頼重を喪い、時行も死を装って行方をくらます。雌伏の期間を経て再起し、後醍醐天皇方に帰順する。
逃若党

読み方は「ちょうじゃとう」。時行の郎党で、彼と同世代の若者で構成される。時行の逃げを戦略にする党であることから命名された[22]
雫(しずく)
声 - 矢野妃菜喜[23] / 高木遥香(ボイスコミック版)[9][10][11][12]諏訪頼重の娘。巫女のような装束を着用する。秘術や事務に優れた才能を発揮し、頼重を手伝う。少々毒舌家で、見るからに胡散臭い父のフォローを全然しないためその都度父の頼重に文句を言われている。頼重としては、ゆくゆくは雫を時行の執事にして[24]家政を取り仕切らせようと考えている[24]。神事で信濃各地を回っていたため様々な情報に精通しており、諸将に顔が利くため、根回しや献策を得意とする。また、頼重ほどではないものの勘が鋭く、未来を予知しているかのように危険な状況から距離を置いたりすることが出来る。年齢に見合わず聡明だが、どこか浮き世離れした雰囲気の持ち主。時行とは同い年の主従関係となるが、彼に1人の女性として思いを寄せていることが、頼重から「時行の正体がバレないよう、部外者の前では別の名前を」と言われた際、顔を赤らめて「兄様」という彼女なりの呼び名を発案していることからうかがえる。
弧次郎(こじろう)
声 - 日野まり[23] / 佐藤恵(ボイスコミック版[注 2][11][12]時行の郎党候補として頼重が抜擢した少年で[25]、諏訪神党に連なる祢津一族の出身。時行と同年齢だが[24]、この世代としては随一の太刀の使い手と称される[25]。頼重としては、ゆくゆくは弧次郎を武将にし[25]、軍を率いさせようと考えている[25]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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