送金
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沿ドニエストル共和国における「合法的にポーランドで働く」ストリート広告。

送金(そうきん、: remittance)とは、金銭を第三者に送ること全般を指す。

本項目では主に(個人による)国外への送金(国際送金、海外送金)を中心に扱い、下記の内容の詳細についてはそれぞれの項目を参照されたい。

国内間の送金 - 現金書留郵便為替

銀行口座間の送金 - 振込郵便振替

なお、特記なき限り、本項目において単に「送金」という場合、国を跨いだ送金を指すこととし、「ドル」はアメリカ合衆国ドルを指すことに留意されたい。
概要

国外への送金は、(移民による)外国人労働者ディアスポラコミュニティのメンバー、あるいは国外で家族関係のある市民が、自国または祖国の世帯収入のために非営利的に行われている。移民によって家に送られるお金は、開発途上国への最大の資金流入方法の1つとして国際援助と競合する。労働者による送金は、特に労働力を輸出する国に関して、国際資本流動性において重要な部分を占める[1][2]

世界銀行によると、2020年の低・中所得国への送金は5,400億ドルに達し、これはCOVID-19の影響にもかかわらず、2019年の5,480億ドルからわずか80億ドル(1.6%)の減少にとどまっており[3]、2021年には7.3%増加して5,89億ドルに達すると予想されている[4]

国際送金の送金先として最も多いのは(インド系移民と在外インド人からの)インド向け送金で、2018年には800億ドル、2017年には653億ドル(インドのGDPの2.7%相当)[5]、2016年には627億ドル[5]、2014年には700億ドル[6]に達する。 2020年のその他の上位送金先は、中国が670億ドル、フィリピンメキシコがそれぞれ340億ドル、エジプトが260億ドルとなっている[5]ロンドンの国際送金広告。ポーランド語ロシア語で表記されている。
世界的な広まり

多くの国の経済において、送金はますます大きな役割を果たしている。それらは経済成長とそれらの国々の生活に貢献している。世界銀行の推定によると、2019年の送金総額は5,730億米ドルで、そのうち4,220億米ドル[7]は、2億5,000万人の移民労働者が関与する開発途上国に送金されているという[8]。一部の受取国においては、他国からの送金による外貨獲得高はGDPの3分の1に達するとも言われている[8]

国際送金は世界の開発途上国に大きな影響を及ぼしており、2015年には4,410億ドルが開発途上国に送金されているが、この金額は世界の政府開発援助(1,310億ドル)のほぼ3倍に相当する[9]。多くの開発途上国にとって、受け取った送金は自国経済のかなりの部分を占めており、毎年GDPの10%以上を送金で受け取っているという[9]
上位の送金受取国

国際送金の受取上位国(単位:十億ドル) [10] [11] [12]国2012年2013年2014年2015年2016年2017年2018年20192020 [13]2021年[14]
 インド68.8269.9770.9772.2062.769.078.684.283.187
 中国57.9959.4961.4963.9061.06467.470.359.553
 メキシコ23.3723.0224.5025.7028.531.035.738.742.853
 フィリピン24.6126.7027.9029.8029.933.033.835.134.936
 エジプト19.2417.8319.8320.4016.620.028.926.429.633.3
 ナイジェリア20.6320.8920.8820.8919.022.024.325.417.018
 パキスタン14.0114.6317.8020.1019.820.021.021.926.133
 バングラデシュ14.2413.8615.1015.8013.71315.517.521.723
 ベトナム10.0011.0011.8012.3013.414.015.916.717.018
 ネパール5.96.015.295.86.406.688.15.198.18.5


世界銀行及び移住と開発に関するグローバルナレッジパートナーシップ(英語版)(KNOMAD) の統計によると、2021年の国際送金受取額が自国のGDPに占める割合が20%を超える国が13ヶ国あり、さらに30%を超える国が以下の6ヶ国存在する[15]
トンガ (43.9%)

南スーダン (37.9%)

レバノン (34.8%)

ガンビア (33.8%)

ソマリア (32.0%)

キルギス (30.1%)

主要なオペレーター

送金業界は主にヨーロッパの金融センターとアメリカ西部に本社を置く企業が支配的立場にあり、ウエスタンユニオンが2019年の時点で最大の市場シェアを持っている。マネーグラムなどの他の企業も、何十年にもわたって主要な位置を占めている。業界のほとんどの企業は純然たる送金プロバイダーだが、より多様な関心を持つ親企業が関与する場合もある。

これらの企業はそれぞれ、さまざまな消費者基盤に焦点を合わせた展開を行なっている。Wiseは、年間総送金量の点で最も急成長している送金スタートアップであり、銀行口座間、多くの場合は先進国間での送金に重点を置いている。Ria Money Transferは、北米とスペイン語圏の間で確立された存在感を示している。 WorldRemitは世界中にいるアフリカの移民の利用割合が高く、 Azimoは特にヨーロッパ市場に焦点を当てており、移民コミュニティに重点を置く。WorldRemit 、 Remitly 、 Azimoなどの企業は、サービスを利用する労働者階級の移民の割合が高いため、一件当たりの平均送金額が少なくなっている。

2010年代に送金分野に関するフィンテックが登場して以来、送金市場のシェアは多様化しているものの、それでもなおウエスタンユニオンが送金市場シェアの大部分を占め続けている。フィンテックの登場以来、多くのデジタル送金手段が登場し、ヨーロッパではFXcomparedやMonito、東南アジアではSend4xといった比較プラットフォームやアグリゲーターが台頭している[16] [17]。また、ブロックチェーンベースの送金システムも利用され始めており、送金に要する時間が短縮される、取引コストが比較的低いなどの利点がある。ブロックチェーンベースの送金会社として、Flutterwave(英語版)・ステラルーメン・アブラ(英語版)などがある[18]


2017年にビル&メリンダ・ゲイツ財団によって立ち上げられた、Mojaloopと呼ばれる関連するイニシアチブもある。これは( Ripple 、Dwolla、ModusBox、Crosslake Technologies、Software Groupと協力して)、銀行のサービスが十分に行き届いていない地域に住む人々に経済的支援を提供できるように設計されている[18]
地域別

アメリカ合衆国は1983年以来、毎年世界の主要な送金元となっている。これに続くのがロシアサウジアラビアスイス[10]、特にロシアからは毎年900万から1100万人の労働者が送金を行っている[19]
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