送襟絞(おくりえりじめ)は、柔道の固技で絞技12本の1つである。講道館、国際柔道連盟 (IJF) における正式名。絞技の中では基本的な技とされる[1]。着衣格闘技で使用される技である。IJF略号OEJ。2009 パン・アメリカン柔術選手権大会で背後からの送襟絞を仕掛けるブラジリアン柔術黒帯ルーカス・ライト 基本形で右手で相手の首を絞める場合。まず、背後から両脚で相手の下半身を制しながら左手で相手左腋の下から手を差し入れ相手左襟を下へ引き、襟の弛みをなくす。次に右手を首に回し弛みをなくした左襟をなるべく深く握る。最後に、左手を右襟に持ち替え、下に引きながら右手の手首を返して絞める。もしくは、両腕を伸ばして、絞める。 試合ではよく見られる例として、背負投や一本背負投を掛け背後を見せた相手に対してその技を潰し送襟絞に攻めるケースがある[2]。 バリエーションは下記のように様々ある。 映像資料『講道館柔道 固技 分類と名称』(講道館)では縦四方固から片腋下で相手の頭を抱え、その腕で相手の襟を持つ絞技が送襟絞として紹介されている。 相手の左からの横四方固からの送襟絞としては右腕を相手の後頭部の下を通して相手の左前襟を持って絞める。左腕は相手の左脚を外からまたは内から抱える。外から抱える場合、相手の右襟を持って基本形の様な両手の使い方で絞めることもある[3][4]。相手の後頭部を手刀で抑えながらの送襟絞 相手の後頭部を手刀で抑えながらの送襟絞もある。 亀姿勢の相手の右側から右手で相手の左襟を取り、左手で相手の左脚を取り、右脚を相手の後頭部に掛け、左膝で相手の背を抑えての絞技をIJFは送襟絞と発表している。 地獄絞(じごくじめ)は相手の片腕に両脚または片脚をかけ制して絞める技。送襟絞に包含されている。両腕の使い方を原形の送襟絞と同様にして絞める場合や片羽絞の様に絞める場合も送襟絞に包含される。書籍『柔道 絞め技入門』では両腕の使い方を片羽絞の様に絞める場合は片羽絞に分類している[6]。一方、映像資料『講道館柔道 固技 分類と名称』(講道館)ではこれも送襟絞に分類している。両腕の使い方を片羽絞の様に絞める地獄絞の画像は英語版
概要
試合での実例
グランプリ・ブダペスト2018女子57 kg級準々決勝戦
×出口クリスタ(カナダ) (1:42 送襟絞 (IJF) [5]) ラファエラ・シルバ(ブラジル)○ IJFサイト映像
地獄絞
他に地獄絞スタイルの裸絞である「門脇スペシャル」もある。 脚掛地獄絞(あしかけじごくじめ)は相手の左腕を右脚のみを掛けて制し、左手を親指を中にして相手の左襟を持ち、左脚を相手の頭部に掛けて絞める地獄絞である。 腰絞(こしじめ)はうつ伏せの相手を絞める技。国際柔道連盟では技の分類を制定した1995年9月の分類では送襟絞とは別の技とした。1998年2月、講道館の分類に合わせる形で送襟絞に包含された。[8]リオデジャネイロオリンピック柔道女子での相手の片脚を外側から掴んだ形の横絞を試みる楊俊霞 横絞(よこじめ)はうつ伏せの相手の横について絞める技。腰絞の一種である。試合で極まるほとんどの腰絞は横絞である。上から回り込みながら絞める事が多い。 ブラジリアン柔術ではアナログ時計の針のように両者が回りながら絞めることが多いのでクロックチョーク (clock choke) と呼ばれる。 両腕の使い方を原形の送襟絞と同様にして絞める場合が多いが片手絞の様に相手の脚を内側か外側から掴んだり、下穿きの裾を掴んだり、片腕を相手の片腕に絡めながら手首を掴んで制したり、片肘を相手の自分側またはその反対側の側頭部に当てたりしながら絞めたりする場合も送襟絞に包含される。別名横送襟絞(よこおくりえりじめ)。 俵絞(たわらじめ)はうつ伏せの相手の頭のほうから覆いかぶさるがぶりの体勢から送襟絞をかける。腰絞の一種である。相手をうつ伏せのまま極める場合、相手もろとも横転して仰向けになって極める場合もあれば、自らガードポジションになって極める場合もある。2013年、米陸軍予備役の格闘技大会でのボウアンドアローチョークボウアンドアローチョークの実演動画
脚掛地獄絞
腰絞
横絞
試合での実例
2017年全日本柔道選手権男子無差別級3回戦
×原沢久喜(JRA) (0:38 送襟絞) 百瀬優(旭化成)○[9] 原沢はこの技で絞め落とされ敗れた。
グランドスラム・バクー2019女子48 kg級2回戦
×近藤亜美(日本) (0:37 片手絞 (AJJF) [10]、送襟絞 (IJF) [11]) ガブリエラ・チバナ(ブラジル)○ IJFサイト映像
俵絞
ボウアンドアローチョーク
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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