近鉄10400系電車
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画像提供依頼:10400系電車およびク11520形(更新前・更新後の車両それぞれ)、車内等の写真の画像提供をお願いします。(2018年3月)

10400系電車(10400けいでんしゃ)とは、1961年9月に登場した、近畿日本鉄道の汎用特急形電車である。

また、この増備車として1963年に登場したのが、11400系電車(11400けいでんしゃ)である。これらはエースカーと呼ばれるグループとして、1960年代から1990年代にかけて近鉄特急で運用された系列である。

上記の理由により、本項では両系列をまとめて記述する。目次

1 概要

2 10400系

2.1 車体

2.2 主要機器

2.3 編成

2.4 改造・廃車


3 11400系

3.1 車体

3.2 主要機器

3.2.1 主電動機

3.2.2 駆動装置

3.2.3 制御器

3.2.4 台車

3.2.5 ブレーキ


3.3 編成

3.4 改造・廃車


4 脚注

4.1 注釈

4.2 出典


5 関連項目

6 外部リンク

概要

近鉄では、1959年に画期的な新技術・新設計を導入したビスタカーII世こと10100系が登場し、上本町 - 近鉄名古屋間の名阪ノンストップ特急(甲特急)などで運用していた。しかし、主要駅停車の特急(乙特急)には冷房装置搭載などのサービス向上策も実施されていたものの吊り掛け駆動かつ金属ばね台車装着で旧弊な設計の2250系をはじめとする在来車が引き続き用いられており、車両設備面での格差が感じられるようになっていた。そこで2階建て車両を連結しない汎用の特急車として開発されたのが、このエースカーと呼ばれるグループである[1]。10400系は旧エースカー、11400系は新エースカーと呼ばれた。エースカーのエースとはトランプのエースを意味し、自在に編成を組み替えることができることから名づけられたものである[2]

乙特急用として設計されたが、10400系新製直後の1964年東海道新幹線が開業し、名阪ノンストップ特急の利用客は激減したことから、編成長の調整がしやすいエースカーも甲特急運用に充当されるようになった。ビスタカーは1編成のみとし、付属編成としてエースカー2両を連結した編成が通例となり、「Vista」と「Ace」の組み合わせであることから「VA編成」と呼ばれた[3][注 1]

後継の22000系の車両愛称が「ACE」(エー・シー・イー)であることから10400系を「初代」、11400系を「2代目」とする向きもある。また、12410系を「最新エースカーI」、12600系「最新エースカーII」と紹介する書籍も過去には存在しており、一連のものと見る向きもある。
10400系

近鉄10400系電車
更新後の近鉄10400系 (伊勢中川)
基本情報
製造所近畿車輛
主要諸元
編成4両編成
軌間1,435 mm
電気方式直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度110 km/h
起動加速度2.0 km/h/s
減速度(常用)4.0 km/h/s
減速度(非常)4.5 km/h/s
車体長20,720 mm
車体幅2,800 mm
台車近畿車輛シュリーレン式KD-41B・KD-41C・KD-41H
主電動機三菱電機MB-3064AC
主電動機出力145kW
駆動方式WNドライブ
制御装置抵抗制御
制動装置発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ
抑速ブレーキ
保安装置近鉄型ATS
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電動車であるモ10400形[注 2]制御車であるク10500形の2形式で構成されていた。10100系に続く系列ということで10100系のモ10300形の後に続く車両番号が与えられた。

1961年に4両編成2本が近畿車輛で製造され、大阪線名古屋線に1本ずつ配置されたが、増備は11400系に引き継がれた。
車体

概要にも記したとおり、2階建て構造ではなく普通床構造の20m級2軸ボギー車である。

ただしその基本構造やエクステリアデザインの大部分は10000系や10100系のそれを取捨選択する形で継承しており、集中式冷房装置から深い屋根に設けられた風洞を介して冷風を送る空調システムや、裾絞りのある大型車体断面、複層式固定窓、2枚折戸などが継承されている[4]

窓配置は各車とも側扉は4枚折戸ではなく2枚折戸となったものの、10000系モ10001・モ10007のレイアウトを踏襲しており、dD8D1(d:乗務員扉、D:客用扉)となっている。

客席は扉間の8枚の広窓部分に割り当てられており、連結面寄りの狭窓1枚分にはトイレ洗面所車内販売基地を設置している。

前面の形状は10100系貫通型と同一設計で、前面窓は運転席側が高く、貫通扉と車掌台側が低く大きな窓となっている。特急標識は貫通扉部分に大型のものを装備する点でも10100系と共通仕様である。車体側面の裾部も窓下で平面折れによって絞られている。

車内設備は、座席に回転クロスシートを採用した。各席にはシートラジオが装備されていた(のち撤去)。シートピッチは920mmである。車内の色彩は2種類あり、緑の座席モケットに茶色系統の市松模様による床、または赤の座席モケットに青系統の市松模様の床とした[4]。車端部は、モ10400形奇数車が車内販売の基地、その他3両はトイレ(和式)・洗面所が設置された[4]

冷房装置は10000系のシステムを踏襲した川崎製の集中式で、床下にコンプレッサーを、屋根上にエバポレーターを装備するセパレート方式である[4]。モ10400形(奇)についてはパンタグラフ制御装置などが搭載されており、冷房装置を装備できないため、2250系や10000系などと同様、モ10400形(偶)に冷房機を2基集約搭載して、貫通路上にたわみ風道(冷房用の)を付けて1基分の冷風を奇数車側に送る方式を採用した[4]。これに対し、ク10500形については需要に応じ1両単位での増解結を行う必要性から、奇数車も偶数車もともに、各車に1基ずつ冷房装置を搭載していた。
主要機器

駆動システムに10000・10100系で実績のあるWNドライブ方式が採用され、主電動機も10100系と同じ三菱電機製MB-3020D(端子電圧675V時一時間定格出力125kW直巻整流子電動機を装備する[4]


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