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近視(きんし)は、屈折異常のひとつで、眼球内に入ってきた平行光線が、調節力を働かせていない状態で、網膜上の正しい位置ではなく、もっと手前に焦点を結んでしまう状態。近眼(きんがん、ちかめ)ともいう。
遠方視の場合に、屈折機能が無限遠まで対応できないためはっきり見ることができない。逆に近方視の場合は支障は少ない。近視は屈折の問題であり網膜や視神経の疾患ではないので一般的に矯正視力が低下するものではない。 誕生から20代前半にかけては眼球が成長するので誰でも近視の方向に屈折状態が変化する。つまり、 この時期に近視の症状が現れなかった者は、近視化しなかったのではなく、遠視が十分に強かったために近視が顕在化しなかっただけである。成長期の終わった後の最終的な屈折状態(近視または遠視の強さ)は、 の2つで決まる。 最終的な屈折状態を決める要因は (1) が主なものである。つまり、生まれ持った遠視の強さによって将来近視になるかはほぼ決まる。 (2) が遺伝だけで決まるかには議論がある。遺伝のみで決まるとする説もあれば、環境によって左右されるとする説もある。ただし、いずれにせよ (1) に比べれば影響は少ない。 現代、近視は増加傾向にある。小中学生でも近視の割合は年々高まり、小学生の1/4、中学生の1/2は近視であると言われる[注 1]。この増加傾向は、小中学生の生活習慣の変化によるものとも、小中学生の平均身長が伸びたことの不可避的な副産物とも言われている。 近視は目の成長が止まるにつれて進まなくなる。 角膜および水晶体の曲率が強くて焦点が短過ぎ、網膜より前方に焦点を結んでしまうもの。 眼球が通常より前後に長いため、水晶体と網膜との距離が長過ぎ、網膜よりも前方に像を結んでしまうもの。遺伝性の近視は大半が軸性に分類され、矯正を必要とする。眼球が通常より引き伸ばされているため、網膜が薄くなっており、網膜剥離を起こしやすい。 眼の疲労により一時的に近視のような状態になること。仮性近視、調節緊張性近視とも呼ばれる。近視に含めない考えで単に調節緊張と呼ぶ者もいる。 テレビやパソコン等で目を酷使した後は強くなり、目を休めたり遠くを見ると弱くなる。点眼薬を使って調節を麻痺させないかぎり完全に無くなることはない。視力に問題が無い者を含めて万人が持っているものである。 一見妙な話だが、遠視の者は近視の者より強い偽近視を持っていることが多い。つまり、その時々による遠視度数の変化が近視の者の近視度数の変化より大きい場合が多い。遠視の者は遠くを見るのにも調節力を働かせねばならず、正視や近視の者より眼に対する負担が大きいためと思われる。 名前の通り「偽」の近視であり、前述の真の近視とは別物である。偽近視を放置したからといって真の近視に移行することはないし、逆に目を休ませても治るのは偽近視だけであり真の近視が治ることはない。「**で近視が治った!」「近視が回復する本」などと喧伝され“治る”とされるのはこの近視。偽近視と本物の近視を併発している場合は、目を休ませることにより偽近視の分だけが回復する。 偽近視の現れ方は人によって違う。つまり、 偽近視として通常問題にされるのは2の場合である。1の場合は自覚症状がないし、3の場合は偽近視が治っても眼鏡等が必要なことに変わりがないのであまり問題にされない。2の場合は偽近視を治すことで眼鏡等が不要になるので治療が試みられることがあるが、偽近視が治ったかどうかに関係なくしばらく経つと本物の近視になってしまうことが多い。 なぜ偽近視を治療しても近視になってしまうか。そもそも偽近視が自覚されるようになったのは上記1の状態から2の状態になったからである。つまり幼少時の遠視の状態から正視かそれに近い状態まで近視化している。自覚の無いまま近視化の過程の大半がすでに終わってしまっていると言ってもよい。一方、偽近視を治療しても本物の近視の進行には何の影響も無い。幼少期の遠視がほとんど無くなるまで順調に進んでいた近視が偽近視を治療した途端に進まなくなるには偶然に頼る他無いが、そのような偶然の起こる可能性は低い。よって偽近視を治療しても近視になってしまうことが多いのである。 偽近視については様々な考え方がある 老人性白内障に伴い、近視化することがある。核性白内障が起きた際、起きる。その際には不同視を引き起こすことも多い。 一般的に遺伝・環境が要因とされる。両方が原因となる場合もある。具体的な原因は今も不明。 遺伝・環境により発生する近視。大半の近視は単純近視に分類される。小学校高学年くらいから始まる事が多く「学校近視」とも呼ばれる。 何らかの異常により眼軸が伸びて発生する軸性近視を「病的近視」と呼ぶ。幼児期より発生する事が多い。 その目を正視に屈折矯正するために必要なレンズの度数で表される。S値とも言い、単位はD(ディオプターあるいはディオプトリ)。Dを表す式は D = 1 (m) / 焦点距離 (m)。近視では負の値、正視の場合は0となり、遠視では正の値となる。 近視の程度は以下のように分類されるが、単に区切りの良い数字で区切ったに過ぎず、便宜的なものである。強度近視で網膜剥離のリスクが高まるなどと言っても、近視が強くなるにつれて徐々にリスクが高まるのであって、-6Dを超えて強度近視の分類に当てはまるようになった途端に急にリスクが高まるわけでもなければ、-6D以下になって強度近視の分類から外れた途端に急にリスクがなくなるわけでもない。 次のような分類もある。 近視の度数と裸眼視力には大まかな関係しかない。度数の強い割に裸眼視力の高い人もいれば、度数の弱い割に裸眼視力の低い人もいる。従って度数が幾つだから裸眼視力が幾つだとか、裸眼視力が幾つだから度数が幾つだとかいう事は極めて大雑把にしか分からない。 近視の症状は、遠くをはっきり見ることができないことが主である。軽い近視でははるか遠方が見にくいだけだが、近視の度合いが増すに連れてはっきり見える距離が近くに限られていく。 また、強度近視の多くを占める軸性近視の場合、裸眼では正視の者より網膜に映る像が大きくなってしまう。凸レンズの老眼鏡を通常より眼から離してかけると通常の位置にかけたときより物が大きく見えるが、凸レンズである角膜や水晶体が軸性近視のために正視の場合より網膜から離れてしまっていても同じことが起こるのである。 軸性近視で網膜像が正視眼より大きくなってしまう効果は、近視を眼鏡で矯正することにより、凹レンズで網膜像が小さくなる効果で相殺されてかなり解消される。近視を矯正するレンズを角膜頂点からおよそ15mm離して装用すると正視と同じ大きさの網膜像が得られる。しかし、実際の眼鏡は視野の関係上12?10mmまでレンズを近づけて調整されるので、網膜像が拡大される効果が完全には相殺されず、眼鏡をかけても網膜像は正視眼よりやや大きい[1]。 この節の内容の信頼性について検証が求められています。 近視の原因ははっきりしておらず様々な説が出されている。遺伝と環境の両方が影響しているが、全ての近視の原因を遺伝だけ、あるいは環境だけで説明はできず、遺伝と環境が複雑に絡み合って近視が発生すると考えられている。原因を遺伝と環境に分割したときに遺伝で説明できる割合(遺伝率)は、60-90%程度と高い[2][3][4]。 家族調査や双子研究により近視の遺伝率が求められている。
近視の発生
遠視が強かった者は遠視の程度が弱まる。
丁度よい強さの遠視を持っていた者は正視になる。
遠視が弱かった者は近視になる。
遠視の無かった者は強度の近視になる。
生まれ持った遠視の強さ
成長期における近視化の度合い
近視の種類
屈折性近視
軸性近視
偽近視
遠視の場合は遠視が弱まる形で現れる
正視および極軽い遠視の場合は近視になる形で現れる
近視の場合は近視が強まる形で現れる
偽近視は存在し、治療すべきである。
偽近視は存在するが、治療可能なものは稀である。
偽近視を治療しても治療を中止すれば元に戻ってしまう。一時的に治すだけのために時間・手間・費用を掛けるのは無駄である。
偽近視が自覚されるほど遠視が弱まっていればいずれ本物の近視になるのは避けられないので、偽近視を治療しても意味がない。
「治療可能な偽近視という近視がある」ということを殊更に強調すると近視全般が治療可能であるかのような誤解を招き、効果不明の民間療法を利することになるので良くない。
偽近視はあるのが当然であり、「治療」するようなものではない。
偽近視は存在しない。
核性近視
臨床による分類
単純近視
病的近視
度数
初期近視 -1D以下
軽度近視 -1Dを超え-3D以下
中等度近視 -3Dを超え-6D以下
強度近視 -6Dを超え-10D以下
最強度近視 -10Dを超え-15D以下
極度近視 -15Dを超える
軽度近視 -2D以下
中等度近視 -2Dを超え-4D以下
強度近視 -4Dを超え-6D以下
最強度近視 -6Dを超える
症状
原因
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遺伝的要因
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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