轟先生
[Wikipedia|▼Menu]

『轟先生』(とどろきせんせい)は、秋好馨による日本漫画である。

昭和期の4コマ漫画分野での人気作品のひとつ[注釈 1]

基本的な内容は、学校教諭である主人公・轟先生を中心とした学園物であるが、同時に轟家を中心としたホームドラマ、会社勤めの家人を中心としたサラリーマン物と、あらゆるジャンルを網羅した作品となっている。
連載の経緯

1941年昭和16年)[2][3][注釈 2]に、近藤日出造の主宰する雑誌『漫画』で、1ページものの漫画として連載開始。中断をはさんで、1949年(昭和24年)11月27日付の『夕刊読売』(創刊号)に4コマ漫画の形式で連載を開始。1951年(昭和26年)9月1日からは読売新聞朝刊に移動する。1954年(昭和29年)1月31日をもって、病気療養のため連載を中断する[注釈 3]が、1955年(昭和30年)5月5日に連載再開[注釈 4]。以後、病気による休載を幾度も挟みながら、1973年(昭和48年)2月27日まで連載を続けた[2][注釈 5]。通算連載回数は7762回[8][9]。病気休載のまま連載が終了したため、内容的には未完である。

なお本作は、主軸の掲載紙である読売新聞の他に『家の光』(家の光協会)、『たのしい二年生』(講談社)などの雑誌にも、一時期、掲載(連載)されていた[注釈 6]

コミックスは文陽社、若木書房小学館文庫などから出ていたが、いずれも2016年平成28年)現在は絶版となっている。
作品背景

主人公である轟先生のモデルについては、作者・秋好馨の父親及び実兄とされる[9]が、作者本人は長谷川町子横山泰三との対談で「架空です。しかしいくらかは自分に似ているのじゃないですかね。」とも話している[10]

なお、アワモリが憧れる娘や、ダイガクのガールフレンドなど、作者が名前を設定していないキャラクターも存在する[11]
登場人物
轟家の人々
轟先生
本作品の主人公。「実力学園(実力中学/実力高校)」
[注釈 7]に勤める学校教諭。担当教科は、数学[12][注釈 8]。初老の巨漢で、曲がったことの嫌いな正義漢。だが決して厳しいばかりでなく、明朗な人情家。また生徒思いなので、学内での人気はかなり高い。昔風のガンコ親父な反面、時代に合わせる柔軟さを持ち、度量の大きい人物でもある。安月給なのが悩みのタネで、あだ名はダルマ。下の名前については特に言及されていないが、作中に「轟小助」と記された表札が登場する例がある[15]
テル子[11]
轟の妻で、人が良く、ちょっと天然なところがある。日々の生活では、夫からごく自然に「ばあさん」と呼ばれ、周囲の者から(「年齢的には、まだ中年の域なのに」という意味合いで)いささか不憫がられることもある。
君太郎
轟先生夫婦の長男で、20代のサラリーマン。実家に同居しながら一時期は食費も家に入れなかったお気楽な若者だが、根は親に似た人情家。仕事より恋愛を優先するが、女性相手の話術はあまり上手くない。以前は出版社「奇樂公論社」の編集者だったが、同社が倒産したために失業した。個人で煙突掃除の仕事を試みたのちに、万年筆メーカー「スララ万年筆株式会社」に就職する。趣味は映画やデート。競馬などのギャンブルも好きだが、深入りはしない。読書家でもある。姉のハツ子には、「君ちゃん」と呼ばれている。
ハツ子
轟先生夫婦の長女。君太郎の姉で、既婚者。気が強い性格で、夫・ミツルの浮気に呆れてワタルを連れて実家に戻ってきた。しかし夫とよりを戻し、そのまま実家で夫や息子と暮らす。長唄の心得がある。女学生時代はバレーボールの選手をしていた。
ミツル
ハツ子の夫で、口ひげが特徴である。悪い人物ではないが、恋愛感情が豊富で、結婚後にも別の女性を追っかけていた。だがハツ子とワタル、それに轟夫婦の前で反省し、元の鞘に収まった。轟先生は、この義理の息子がヒゲぼうぼうの荒んだ恰好で浮気生活から帰ってきた時には悪意のない大笑いでからかい、再び家族の一員として迎えている。現在は会社員。下戸で、酒は呑めない。学士。手相見の心得がある。
ワタル
ミツルとハツ子の長男で、轟先生夫婦からもかわいがられている。腕白な性格で、何にでも好奇心を示す。大人の話を盗み聞きしてその内容を町内に吹聴することもあり、その時は君太郎から「ロクオンキ」と呼ばれた。テレビ『スーパーマン』の大ファンで、ジョージ・リーヴス自殺にはショックを受けた。設定では幼稚園児だが、あまり通園の描写は見られない。
大月ケント(賢兎)
ミツルの弟。漫画家を目指して上京し、本格デビューの機会を狙いながら、轟家に居候する。
テレビジョン
轟家の愛犬。テレビの受像機を模した犬小屋を与えられたことが、命名の由来(作中の描写では先に名前が決まり、その後で犬小屋が作られている)。元は野良犬だったが、ワタルになつき、そのまま轟家で飼うことになった。通常は「ジョン」と名を呼ばれ、ワタルなどは「テレさん」と呼ぶこともある。
轟家の縁者
轟夫人の実母
轟先生の義理の母。つまりハツ子と君太郎の祖母、ワタルのひいおばあちゃんに当たる人。田舎に住んでおり、娘たちの様子を窺いに時々、上京してくる。かなりの高齢のはずだが、体も頭も壮健な女性。
アワモリ家の人々
アワモリ
轟先生の教え子の高校生。現金なお調子者だが、意外に向学心が強い。ただし成績はあまりよくない。鼻が大きくて、学友から「
シラノ」とからかわれたこともあった。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:41 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef