輪廻転生
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「輪廻転生」はインド哲学・仏教の思想について説明しているこの項目へ転送されています。他宗教を含む用法については「転生」をご覧ください。

「サンサーラ」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「サンサーラ (曖昧さ回避)」をご覧ください。

「輪廻」のその他の用法については「輪廻 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
六道輪廻をあらわしたチベット仏教の仏画。恐ろしい形相をした「死」が輪廻世界を支配している

輪廻(りんね[1])または輪廻転生(りんねてんしょう[2][3])とは、サンスクリット語のサンサーラ(????? Sa?s?ra[4][5])に由来する用語で、命あるものが何度も転生し、人だけでなく動物なども含めた生類として生まれ変わること[1]。日本語読みのリンネは、連声によるものである[1]。「生まれ変わり」は大多数のインド哲学における根本教義である[6][4][7]

インド哲学でのサンサーラ概念は、ヴェーダ以降の文献に根ざしており、理論はヴェーダ自体では議論されていない[8][9]。サンサーラ教義の完全な解説が記載されるのは、仏教ジャイナ教などの沙門宗教や、紀元前1千年紀半以降のヒンドゥー教のさまざまな学派である[10][11]。これによれば生物らは、死して後、生前の行為つまりカルマ: karman)の結果、次の多様な生存となって生まれ変わるとされる。命あるものは何度も転生し、人だけでなく動物なども含めた生類として生まれ変わる[1]

サンサーラからの解放は、モークシャ(解脱)、ニルヴァーナ(涅槃)、ムクティ(脱;Mukti)、カイヴァリヤ(独存;kaivalya)と呼ばれる[12][13][14]。インドの思想では、限りなく生と死を繰り返す輪廻の生存を苦と見、二度と再生を繰り返すことのない輪廻からの解放を最高の理想とする。「インド哲学#比較」も参照
語義の変遷

サンサーラは原義で「さまようこと、歩き回ること」(sa?sarati)[6][15]を意味する。後代になると、「生まれ変わること」(punarbhava)だけでなく、派生的な意味で「世界」(loka)という意味を持つ様になり、「周期的な変化」との意味を暗に含むようになった[16]
歴史

ヒンドゥー教の前身であるバラモン教(: Brahmanism)、すなわちヴェーダの宗教(: Vaidika[17])において、はじめて断片的な輪廻思想があらわれたのは、ヴェーダの宗教最終期のブラーフマナ文献[注 1]ないし最初期のウパニシャッド文献[注 2]においてである。ここでは、「輪廻」という語は用いられず、「五火」と「二道」の説として現れる。『チャーンドーギヤ』(5-3-10)と『ブリハッドアーラニヤカ』(6-2)の両ウパニシャッドに記される、プラヴァーハナ・ジャイヴァリ王の説く「五火二道説」が著名である。

五火説とは、五つの祭火になぞらえ、死者はにいったんとどまり、となってに戻り、植物に吸収されて穀類となり、それを食べた精子となって、との性的な交わりによって胎内に注ぎ込まれて胎児となり、そして再び誕生するという考え方である。二道説とは、再生のある道(祖霊たちの道)と再生のない道(神々の道)の2つを指し、再生のある道(輪廻)とはすなわち五火説の内容を示している[18]

これが、ヴェーダの宗教(後のヒンドゥー教)における輪廻思想の萌芽である。そして様々な思想家や、他宗教であるジャイナ教、仏教などの輪廻観の影響も受けつつ、後世になってヒンドゥー教の輪廻説が集大成された。すなわち、輪廻教義の根幹に、信心と(カルマ)を置き、これらによって次の輪廻(来世)の宿命が定まるとする。具体的には、カースト(ヴァルナ)の位階が定まるなどである。

行為が行われた後、なんらかの結果(: phala)がもたらされる。この結果は、行為の終了時に直ちにもたらされる事柄のみでなく、次の行為とその結果としてもまた現れる。行為は、行われた後に、なんらかの余力を残し、それが次の生においてもその結果をもたらす。この結果がもたらされる人生は、前世の行為にあり、行為(カルマ)は輪廻の原因とされる。

生き物は、行為の結果を残さない、行為を超越する段階に達しない限り、永遠に生まれ変わり、生まれ変わる次の生は、前の生の行為によって決定される。天国での永遠の恩寵や地獄での永劫の懲罰といった、この世以外の来世は輪廻のサイクルに不均衡が生じるため、ありえないことと考えられた[19]

これが、業(行為)に基づく因果応報の法則(善因楽果・悪因苦果・自業自得)であり、輪廻の思想と結びついて高度に理論化されてインド人の死生観・世界観を形成してきたのである。なお『マヌ法典』では、女性はどのヴァルナ(身分)であっても、輪廻転生するドヴィジャ(二度生まれる者、再生族)ではなく一度生まれるだけのエーカジャ(一生族)とされていたシュードラ(隷民)と同等視され、女性は再生族である夫と食事を共にすることはなく、祭祀を主催したり、マントラを唱えることも禁止されていた[20]
ヒンドゥー教

ヒンドゥー教においてサンサーラとは、アートマンの旅である[21]。ヒンドゥー教の伝統においては、身体は死ぬが、それは永遠の現実、不滅、至福とされるアートマンの死ではない[21]。すべての物事すべての存在は、接続され周期的であり、自我・アートマンと、身体・物質という2つのもので構成されるとする[5] 。ヒンドゥー教の信念においてアートマンと呼ばれるこの永遠の自我は、決して転生せず、変化せず、変化させることもできない[5] 。対照的に、身体と人格は変化することができ、常に変化し、生まれては死ぬ[5]
仏教

仏教用語
輪廻、サンサーラ
パーリ語sa?s?ra
サンスクリット語sa?s?ra, sangsara (Dev: ?????)
チベット語???????
(khor ba)
ベンガル語????? (songsaro)
ビルマ語?????
(IPA: [θa?daja])
中国語生死, 輪迴, 流轉
(?音: sh?ngs?, lunhui, liuzhu?n)


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