軍用機の命名規則_(アメリカ合衆国)
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この項目では、アメリカ軍軍用機の命名規則について記す。
現行の命名規則

現在はアメリカ陸軍海軍空軍の3軍で共通の命名規則を用いている。1962年9月に導入された。

この命名規則は名称に含まれる要素の頭文字をとってMDS(Mission-Design-Series)とも呼ばれ、航空機に限らずミサイル等にも適用される。本項では航空機のみに絞って解説する。ミサイルの命名規則については、ミサイル・ロケットの命名規則 (アメリカ合衆国)を参照。

アメリカ合衆国の軍用機の正式名称は、各々の機体に固有識別を与えるために組み合わされた一連の文字および数字で示される。最初の一連の文字(最高4文字)は、航空機の種類及び意図された任務種別を決定する。番号は同様の種類と主任務も持つ航空機の中で機体を特定する。最後に、一連のシリーズとブロックは機体の正確な構成を特定する。
構成要素例
RAH-66A
(2)(3)(4)(5)(6)
NKC-135A
(1)(2)(3)(5)(6)
YF-22A
(1)(3)(5)(6)

航空機を含む飛翔体システムの正式名称に含まれる構成要素は全部で10あり、航空機ではこのうち8つが該当する(残り2つはミサイル/ロケット専用)。また、正式名称は、MDSのM (Mission) が示す現状 / 任務 / 機体種別、D (Design) が示す設計番号及び S (Series) が示すシリーズの3つの基本的な部分から成る。

現状 / 任務 / 機体種別(M)機体の現状、任務及び機体種別を示す1 - 4文字のアルファベット。正式名称の左から順に次のものを含む。

Status Prefix(現状接頭記号) - (1)正式名称の先頭に記述する。機体に伴う現状(例えば、非飛行、実験機)を意味する接頭記号。

Modified Mission(任務変更記号) - (2)基本任務記号の直前に記述する。基本任務の変更を表示又は明確にする追加任務識別記号。

Basic Mission(基本任務記号) - (3)正式名称の最初の部分で最も基本的な構成要素であり、機体の基本的な任務を特定する。

Vehicle Type(機体種別記号) - (4)基本任務記号の直後に記述する。標準機体でない機体種別を特定する。


Design Number(設計番号)(D) - (5)同じ任務を持つ航空機の各々の設計に割り当てられるシリアル番号。任務記号と設計番号をダッシュ(-)によって分けて記述する。

Series(シリーズ)(S) - (6)同じ設計番号の中でどのシリーズに属しているかを示すアルファベット1文字の接尾記号。

Block(ブロック)航空機専用。シリーズ又は設計の範囲内で定義された構成(「ブロック30」のように記述する)。

Serial Number(シリアルナンバー)同型機の1機を特定するために、シリアルナンバーを持つ。

現状接頭記号

現状接頭記号 (Status Prefix) はオプションであり、通常は正規の軍務に用いる機体には使われない。

公式に認可されている現状接頭記号は次のとおり[1][2]

G:Permanently Grounded - 地上設置永続的に飛行することなく地上に置かれる航空機に適用され、この航空機は主に乗員と整備員の地上訓練のために使われる。この記号は、恒久的な指定として適用されるのみであり、解除されることはない。この記号が使用されることは稀である。

J:Special Test (Temporary) - 特別試験(臨時)一時的に設置された器材の特別試験に用いられる航空機に適用される。“J”記号は、テスト後に元の構成に無理なく戻すことができる航空機に使われる。例えば、新しい電子機器のためのテストベッドとして使われる航空機などに適用されるが、テスト終了後も当該航空機がその器材を保持し続けることもある。

N:Special Test (Permanent) - 特別試験(永久)機体構成への復元不可能な改修を加えられ、原則として永続的に特別試験に用いられる航空機に適用される。航空研究のためにNASAへ移される多くの軍用機は、この呼称を与えられる。

X:Experimental - 実験まだ軍が受領していない航空機又は標準構成が確定していない試作機に適用される。過去の大部分の試作機はこの接頭記号を与えられた。ただし、基本任務記号の“X”(研究)を与えられた航空機と混同してはならない。現状接頭記号の“X”は、設計プロセスの実験段階でのみ用いられ、その航空機は本来他の任務のために設計されている。

Y:Prototype - 試作当初は構成が決定されたデモンストレーション機に適用されたが、最近は、生産を意図する全ての航空機のプロトタイプに適用される。“Y”記号が伝統的な“X”記号より危険が少ないことを意味したため、1970年代から大部分のプログラムにおいて政治的理由のために“Y”記号が好まれている。

Z:Planning - 計画計画又は開発前段階に適用される。形として存在する航空機に対して適用されることは無い。

任務変更記号

数々の航空機はそれらの基本任務記号が示す特定の任務のために設計されるが、それらの一連の同型機シリーズは最初の設計とは異なる任務のために設計される。このとき、元の任務の能力を維持することもあるが、維持しないこともある。任務変更記号 (Modified Mission) は、基本設計MDSとの共通性を失うことなく正確に航空機の使命を示す。任務変更記号が使用される場合は、基本任務記号のすぐ前に置かれる。

公式に認可されている任務変更記号は次のとおり[1][2]

A:Attack (Ground Attack) - 攻撃

C:Transport - 輸送

D:Director (Drone Director) - 指揮(無人航空機管制)

E:Special Electronic Installation (Special Electronic Mission) - 特殊電子装備

F:Fighter - 戦闘

H:Search and Rescue (Search and Rescue / Medevac) - 捜索・救難 / MEDEVAC

K:Tanker - 空中給油

L:Cold Weather (Equipped for Cold Weather Operations) - 寒冷地仕様

M:Multimission - 多用途 *1

O:Observation - 観測

P:Patrol (Maritime Patrol) - 哨戒

Q:Drone (Unmanned Drone) - ドローン(無人)


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