軌道回路
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軌道回路(きどうかいろ)は、鉄道において線路上の特定区間に列車が存在するかどうかを検知する電気的な装置である。閉塞のための信号装置を動かすために用いる。
原理軌道回路の原理
左 : 列車が在線していないとリレーに電流が流れ、リレーが扛上する
右 : 列車が在線しているとリレーに電流が流れなくなり、リレーが落下する

軌道回路の基本的な原理は、車両の車輪と車軸が2本のレール短絡して電気回路を構成することにある。この電気回路に装置を取り付けて列車の存在を検知する。列車がその線路の区間に存在していることを在線と呼ぶ。

軌道回路は保安装置であるので、フェイルセーフであることはとても重要である。保安上、列車が在線していないのに誤って検知してしまうよりも、列車が在線しているのに検知に失敗する方が危険な状態となる。このため、通常軌道回路は故障すると安全側の「列車が在線を検知している状態」になるように設計されている。一方で「列車が在線している」と誤って検知することは、鉄道の運行を阻害するため、できるだけ発生しないようにすることが望ましい。
回路の構成

軌道回路は、レールに電流を供給する電源装置と、レールの間に設置されたリレーによって構成される。各軌道回路は、閉塞の1区間のような、特定の範囲の在線を検知するようになっている。軌道回路の検知区間同士は、後述する無絶縁軌道回路でなければ、お互いに電気的に絶縁されている。

分岐のない区間の軌道回路では、その境目において両側のレールの絶縁の位置を一致させることができるが、分岐のある区間の軌道回路では、分岐器のレールの組立てなどから、その境目において両側のレールの絶縁の位置を一致することができず、ずれが生じるため、その結果、両方のレールが同極となり輪軸で電気的に短絡できず、軌道回路として検知できない区間が発生する。これを死空間と呼んでおり、その長さや位置関係に制限がある[注 1]

電源を軌道回路区間の一方の端に取り付け、両方のレールの間に電圧を印加する。軌道回路の反対側の端にリレーを取り付ける。列車がその区間に在線していない時は、電源からレールを通じて流れてきた電流がリレーを動作させる(リレーが扛上(こうじょう)する)。列車が在線している時は、その車輪と車軸によってレールが短絡され、電流がリレーに流れなくなる(リレーが落下する)。つまり、リレーが扛上しているか落下しているかが、その区間に列車が在線しているかどうかを表すことになる。[注 2]

軌道リレーは、電流によって動作するスイッチであるが、重力の働きにより、扛上した状態のままになる故障の確率が、落下した状態のままになる故障の確率に比べて極めて低くなるようにできている。このため、落下した状態が安全側である列車の在線に対応するように設計するのが通例である。

軌道回路は、車両の輪軸によってレールの間を電気的に短絡することにより列車の有無を検知するが、輪軸とレールとの間には、車輪踏面とレール間の2ヶ所の接触抵抗と輪軸の車軸抵抗による短絡抵抗と呼ばれる電気抵抗が発生する。接触抵抗においては、列車重量や力行・惰行・制動時などの列車走行時によって異なり、交流では60μΩ以下であり、直流では100μΩ以下と言われている。短絡抵抗は列車が力行または制動時においては低く、惰行時においては高い。また、雨上がりの晴天時や海沿いの路線において夜間の運行休止時間帯に海水の飛沫を受けると、レール上面に錆が発生するため、短絡抵抗は高くなる傾向がある。また、レールの間を短絡する際に最大の抵抗においてリレーが落下する最大短絡抵抗を短絡感度と呼んでおり、単位はΩで表される。

軌道回路を構成するレールは、路盤にバラストの場合には枕木の上に、コンクリートや軌道スラブなどの場合にはその上に固定されて露出している。そのため、雨や雪が降ると、レールとバラストが濡れてその下部も水分を含むことになり、その結果、レールに流れる軌道回路の電流が漏れてしまい、軌道回路の電流が消耗する状態となる。その漏れの程度を示すものとして「1kmあたりの漏れ抵抗」を表す漏れ抵抗を使用している。漏れ抵抗は晴天の場合では50Ωと高いが、雨や激しい豪雨の場合では10Ωから1Ωになり、トンネル内で激しい漏水や海水が浸入する場合には0.5Ωから0.1Ωに低下する。漏れ抵抗が低下すると軌道回路の電流が途中で漏れてしまい、その軌道回路に列車が不在の場合や列車が通過して不在の場合でもリレーが落下してしまう恐れがあり、それを防止するため、軌道回路に掛ける電圧をバラストなどの道床条件を考慮して調整している。

実際の軌道回路には、レールへ電流を流す側の送電側では、直流ではシリコン整流器・鉛蓄電池、交流では軌道変圧器・分周器があり、レールからの電流を受け取る側の受電側では、軌道継電器(リレー)・倍周器[注 3]がある。その他に、軌道回路のレールに直接に電源を接続すると、送電側を輪軸で短絡する際にショートの状態になり、過大な電流が流れて電源機器を破壊してしまうことを防止するため、一定以上の電流が流れないようにする限流のための抵抗やリアクトル、側受電側においてレールからの受電電圧を、軌道継電器への適正な電圧に調整する軌道抵抗子、単軌条式軌道回路においてレールが破断した際に、帰線電流が送電・受電側機器に流れて、溶断又は焼損させて信号設備や連動装置が停止するのを防ぐ軌道可溶片・軌道ヒューズ、送電・受電側機器を機器室に集中して設置する際に、機器室から送電端又は受電端までのケーブルによる電圧低下を低減するための中継変圧器があり、軌道回路を確実に作動させ保護する役目を持たせている。
軌道回路の種類
信号電流による分類と種類

軌道回路によりレールに流される電流は、直流交流がある。さらに交流では、様々な周波数が用いられており、使用場所の条件に応じて使い分けられる。以下に日本の鉄道で使用されている軌道回路の分類と種類を示す。
直流軌道回路

直流軌道回路では、レールに流れる信号電流は直流である。絶縁が損なわれた時に隣の軌道回路の電流が流れ込んで誤検知することを防ぐために、通常は隣同士の軌道回路では極性を反転させている。停電に備えて、軌道回路には蓄電池を使用した低い電圧(1.5Vから12V程度)が用いられている。
直流軌道回路
送信側で商用周波数電源から整流器に変換しされた直流電源を、軌道回路に流し、送信側でそれを受信して、直流用の軌道継電器(リレー)に入力するもので、設備構成が簡単で設備費が安く、また、停電時にも作動できるように、送信側に蓄電池を接続して浮動充電方式[注 4]で充電して無停電化を図っている。レール間電圧は4.5Vであり、800mまでの軌道回路で使用できるが、一方で蓄電池の保守の問題がある。非電化区間で使用されており、直流電化区間では電気車の帰線電流が妨害となって使用することができない。さらに近隣の電力使用状況によっても妨害を受けることがある。
H・DC軌道回路
非電化区間において、特殊自動閉塞式での構内軌道回路で使用されているもので、Hは高電力・高短絡感度の意味であり、レール間電圧は直流軌道回路の約3倍の12Vである。その為、輪軸でのレール間短絡時には大きな短絡電流 (4 - 5A) が流れて高短絡感度が得られるようになっている。構内軌道回路用の為、使用される軌道回路の長さは短く、閉電路式軌道回路(CT軌道回路とも呼ぶ)で300m、開電路式軌道回路(OT軌道回路とも呼ぶ)で50mである。
交流軌道回路商用周波数軌道回路の2元3位式自動信号機の制御回路のモデル図

交流軌道回路では、レールに流れる信号電流は交流であり、周波数は目的に応じて低周波(数百Hz以下)、可聴周波(数百Hz - 数kHz)、高周波(数kHz以上)など様々である。またパルス的に電流を流す軌道回路もある。
AF軌道回路
可聴周波を使用するもので、Audio Frequencyを略してAFと呼ばれている。ATCや軌道回路を使用した一部のATSで使用されている。
商用周波数軌道回路
商用の50又は60Hz周波数の電力用電源を分圧して使用するものである。直流電化区間で使用されており、その回路のモデル図を右側に示す。2元3位式(2種類の電源で軌道継電器の状態を3つに変化させることで信号機の現示を緑・黄・赤で表示)の自動信号機の場合、各信号機の制御回路には、緩動継電器と軌道継電器の2つのリレーがあり、軌道継電器が軌道回路のレールに流れる交流電流を検知して、信号機を制御している[注 5]。単相交流3300Vの信号用高圧配電線を、電源供給と軌道回路の送信側と受信側での交流電流の周波数の位相を一致させる為、レールに並行設置して、各閉塞信号機で配電線から配線を分離させている。軌道回路に流す交流電流は、線條変圧器で110Vに降圧させた後、緩動継電器の接点を経由して、軌道変圧器でさらに18Vに降圧されてから流しており、閉塞信号機の信号灯の電源は、軌道回路用の110V電源から、信号灯変圧器で30Vに降圧したのち使用される。右側に制御回路のモデル図を元に現示の仕組みを説明すると、前方の軌道回路からレールに流れる通常の電流を軌道継電器が検知すると、接点が左方接点となり、その後、緩動継電器が扛上して上方接点となり、後方の軌道回路に、通常の位相の電圧を送る場合には、信号機は緑を現示し、前方の軌道回路で、列車の輪軸によりレールに流れる電流を短絡すると無電圧となり、それを軌道継電器が検知すると、無接点(ブラ)の状態となり、その後、緩動継電器が落下して下方接点となり、後方の軌道回路に、位相が反転した電圧を送る場合には、信号機は赤を現示し、前方の軌道回路から送られた位相が反転した電圧を軌道継電器が検知すると、接点が右方接点となり、その後、緩動継電器が扛上して上方接点となり、後方の軌道回路に通常の位相の電圧を送る場合には、信号機は黄色を現示する。
分倍周軌道回路
送信側で、商用電源周波数を分周器により1/2に変換してから、軌道回路に25又は30Hzの交流電流を流し、受信側でその周波数を倍周器により元の周波数に戻して、その後、軌道継電器に入力するものである。その為、軌道継電器には商用周波数軌道回路専用のものを使用する。商用電源周波数である50又は60Hzを使用する交流電化区間や、それ以外の区間で特別高圧送電線が平行している場合に使用され、事故時における誘導電流による妨害電流が発生しても、リレーが確実に落下して列車を検知できるようになっている。


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