車内販売(しゃないはんばい)とは、列車やバスの車内において物品を販売するサービスのことである。専任の販売員が車内を巡回して販売する形態に対して称されることが多い。略して車販(しゃはん)ともいう。食堂車とともに、列車内の供食サービスの一つである。 日本では1934年、食堂車が連結されていない列車で弁当類販売の要望があったため、鉄道省では試験的に販売したところ好評であった。このため列車内乗込販売手続を制定し、1935年11月より開始した[1]。 主に新幹線や特急列車などの優等列車に専門の要員もしくはアテンダント(客室乗務員)が乗務し、各車両の通路を定期的に巡回して、乗客の要望に応じて物品(主として飲食物)を販売する。乗客は席に座ったままでサービスを受けることができる。特急列車以外の普通列車(快速列車なども含む)でも、首都圏のJR線(東海道線、横須賀線、総武快速線、宇都宮線、高崎線、常磐線、湘南新宿ライン、上野東京ラインのグリーン車)など一部の線区で車内販売員が乗務している。 これ以外に車内で物品を販売する形態は以下のものがある。 日本ではバスの車内で専門要員が車内販売を行う例はない。神奈川中央交通グループでは子会社の湘南神奈交バスなどにおいてセルフサービスによる車内販売を行っていたが、これは運賃外収入によるバス路線の維持を目的としていた。また、バス事業者によっては車内で回数乗車券[3]や一日乗車券[4]のほかにも傘などの雨具[注釈 1]などを販売していることがある。停車中に運転手に申し出ることによって購入する事が出来るが、運転手による金銭のやりとりが伴うため近年は縮小傾向にある。回数乗車券や一日乗車券についても運転手の負担軽減のため運賃箱を利用した販売方法に切り替えたり、車内販売を取りやめる事業者も増えている[5]。
日本における車内販売
定義と営業形態
鉄道
乗客が自ら販売場所に出向く売店形式のもの。ビュッフェ(ビュフェ)またはカフェテリア、カウンターなどで物品を販売している。
列車内に設けられた自動販売機によるもの。
運行に直接携わる運転士(路面電車などのワンマン運転の場合)又は車掌が回数乗車券や一日乗車券等を販売するもの。なお、無札で乗車した場合に乗車券等を購入する行為は旅客営業規則で定められた義務であり[2]、物品購入とは異なる。
バス
車内販売で販売される主な物品車内販売の例(弁当とお茶)新幹線のアイスクリーム(スジャータ)
食品類
弁当
弁当については、その列車内限定の弁当が販売されている場合もあるほか、沿線の駅の駅弁が販売されることもある。また、車内販売を担当している業者が弁当の調製を行い車内に積み込んで販売している場合も多い。列車によっては車両に備え付けの電子レンジを使って温めたものが販売されることもある。
サンドイッチ
スナック菓子・チョコレート菓子
アイスクリーム・シャーベット類
東海道新幹線の車内で売られるアイスクリームはドライアイスで冷却しているため、スプーンが入らないくらい固いことで有名であった[6]。
おつまみ類
列車の走行する地域の土産となる食品・銘菓
酒(ビール・カップ入り日本酒・ミニボトル入りウィスキーとミネラルウォーターのセットなど)
飲料(茶・コーヒー・清涼飲料水など)
雑貨類
キーホルダー
下敷き
テレホンカード
絵葉書
チョロQなどの玩具
乗車用ICカード普及以前は独自デザインの乗車カード
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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