越?郡[1]（越?郡、えつすい-ぐん）は、中国の漢代から唐代まで、現在の四川省西南部と雲南省東北部にまたがって置かれた郡である。粤?郡（粤?郡）とも書く[2]。 秦末から漢の初めにかけて、現在の雲南省の一帯には西南夷と総称される諸族が小さな国に分かれて住んでおり、後の越?郡の地は?と呼ばれていた。現在の広東省及び広西チワン族自治区には南越国があり、西南夷諸国は漢と南越の両方に通交していた。元鼎4年（紀元前113年）頃に南越と漢が戦争状態に入ると、漢は西南夷諸国を動員して南越と戦わせようとしたが、諸国は従おうとしなかった。元鼎6年（紀元前111年）に独力で南越を滅ぼした漢軍は、雲南地方に侵入して小国の王を殺し、各地に郡を立てた。その一つが?都に建てられた越?郡である[3]。 ?都
歴史
王莽のとき、集?郡（集?郡、しゅうすいぐん）と改称された[5]。新の皇帝王莽に対する反乱が国内外で広がると、雲南地方も離反した。新が滅亡した更始2年（24年）に、越?郡では蛮夷の任貴が太守の枚根を殺し、自ら?谷王を名乗った。やがて内戦の中国で後漢の光武帝が抜きん出てくると、任貴は建武14年（38年）に使者を遣わし、越?太守の印綬を授かった[6]。建武19年（43年）、漢の将軍劉尚が西南平定の軍を進めて来ると、任貴はこれを欺き叛こうとしたが、12月に劉尚に殺された[6]。
後漢のとき、越?郡は?都・遂久・霊関道・台登・青蛉・卑水・三縫・会無・定?・闡・蘇示・大?・?秦・姑復の14県を管轄した[7]。
三国時代に入って、越?郡は王朝の支配から離れていた[8]。240年（延熙3年）、蜀漢が越?太守の張嶷を派遣して、越?郡を平定した[9]。
晋のとき、越?郡は会無・?都・卑水・定?・台登の5県を管轄した[10]。
南朝宋のとき、越?郡は?都・新興・台登・晋興・会無・卑水・定?・蘇利の8県を管轄した[11]。
583年（開皇3年）、隋が郡制を廃すると、越?郡は廃止されて、厳州に編入された。586年（開皇6年）、厳州は西寧州と改称された。598年（開皇18年）、西寧州は?州と改称された。607年（大業3年）に州が廃止されて郡が置かれると、?州は越?郡と改称された。越?郡は越?・?都・蘇祗・可泉・台登・?部の6県を管轄した[13]。
618年（武徳元年）、唐により越?郡は?州と改められた。742年（天宝元年）、?州は越?郡と改称された。758年（乾元元年）、越?郡は?州と改称され、越?郡の呼称は姿を消した[14]。
越?太守
枚根 - ?更始2年（24年）
郡の消滅 - 更始2年（24年）?建武14年（38年）。?谷王任貴の支配。
任貴 - 建武14年（38年）?建武19年（43年）。後漢の外臣。
脚注^ 「?」は「?」の異体字で日本語環境下の通用字、「?」は正写。
^ 粤?の表記は『漢書』西南夷両粤朝鮮伝第65、ちくま学芸文庫『漢書』8、14頁。
^ 班固『漢書』西南夷両粤朝鮮伝第65、ちくま学芸文庫『漢書』8、13-14頁。南越滅亡については同じく27-32頁。元鼎6年に置かれたことは。『漢書』地理志第8上、ちくま学芸文庫『漢書』3、357頁。
^ 班固『漢書』地理志第8上。小竹武夫訳『漢書』3（ちくま学芸文庫）、357-358頁。
^ 班固『漢書』地理志第8上。小竹武夫訳『漢書』3（ちくま学芸文庫）、357頁。
^ a b 范曄『後漢書』光武帝紀第1下、南蛮西南夷列伝第76。
^ 『後漢書』郡国志五
^ 『三国志』蜀書馬忠伝
^ 『三国志』蜀書後主伝
^ 『晋書』地理志上
^ 『宋書』州郡志四
^ 『南斉書』州郡志下
^ 『隋書』地理志上
^ 『旧唐書』地理志四
参考文献
班固『漢書』 - 小竹武夫訳『漢書』1 - 8（ちくま学芸文庫，1998年）。
范曄『後漢書』 - 中央研究院「 ⇒漢籍全文資料庫」を参照。
陳寿『三国志』 - 井波律子訳『正史三国志5』（ちくま学芸文庫，1993年）。
房玄齢等『晋書』 - 上記中央研究院「漢籍全文資料庫」を参照。
沈約『宋書』 - 同上。
蕭子顕『南斉書』 - 同上。
魏徴・長孫無忌等『隋書』 - 同上。
劉?等『旧唐書』 - 同上。
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