越境EC
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越境EC(えっきょうイーシー 英語:Cross-border e-commerce[1])とは、インターネット通販サイトを通じた国際的な電子商取引(eコマース)を指す[2][3][4]。日本では「クロスボーダーEC」や「クロスボーダートレード(CBT)」とも呼ばれる。
概要

越境ECは日本国内のECサイトと同様に、インターネットを使った通信販売を指すが、自国内向け(母国語)のサイトではなく、外国語のサイトを設けたり、海外のeマーケットプレイスに出店しながら多言語多通貨での対応を行い、国内から海外に発送する形態を用いるため、越境ECサイトを運営する企業側は、世界各国に直接出店するリスクやコストの軽減につながり、且つ商圏は広くなるため、初期投資額を抑えながら世界進出を狙える。経済産業省によれば、2020年に越境EC市場は約114兆円規模にまで成長すると予想されている[5][6]。日本国内ではECサイトを運営する9割の企業で販路拡大の必要性があると感じており、この内過半数の企業が越境ECに興味があると回答している[7]。特に中小企業が積極的な動きに出ており[8]、創業6年目にして40億円を売り上げる企業なども登場している[9]

越境ECは通販とはいえ貿易が絡む取引となるため、サイトの運営会社や越境ECコンサルタント(専門家)、または貿易に詳しいアドバイスのできる越境EC専門の会社、ECワンストップサービスを提供する会社に相談・伴走支援を依頼することが一般的となっている。
展望

2013年の先進国のインターネット利用人口は2005年に比べて1.6倍に過ぎないが、途上国では同じ期間で4.4倍に増えており[10]ECサイトの国際的展開に取り組む企業は増えると予想されている。また、経済産業省の報告によれば、2014年から2018年までの間に、日米中3か国相互間の越境EC規模は、日本は約1.4倍、米国は約1.6倍、中国は約2.3倍の規模となり、日米中3か国間における越境EC による購入総額合計は、2018 年までに約4.4兆円にまで拡大する見込みである[11]。世界のEC市場規模は年々増加しており、2021年時点でB2Cのみで558兆円市場と見積もられている[12]

中国ではEC経済特区が各地に設けられており[13]タイ王国でも76%の消費者が日本からの購入に関心を示しており、Shopee58%、Lazada30%、FBメッセンジャー20%と、各種越境ECサイトを通じ商品を購入していることが調査から明らかとなっている[14]

2021年時点で、アジア太平洋地域での収益率が最も大きく、大都市圏の若年層人口の増加が大きく影響している[15]
リスク・課題

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}販売先の国によっては偽造のクレジットカードが使用されたり、配達業者のミスで商品が破損するリスクがあるがチャージバック保険などで保証されるケースもある。また消費者が関税を支払うことを嫌って実際よりも低い価格を送り状に記入するよう求めてくることもある。[要出典]

越境ECは輸出の一形態であり、取引に適用される法律は、ほとんどの場合、消費者が住む国のものによるため、販売先の法律を調べる必要がある[16]

ブラジルなど南米地域でも越境ECが伸びているが、これに伴い現地小売り店の経営者グループが、各種越境ECサイトで販売される商品には正しく輸入税が課されていない物があると異議を申し立て、政府や上院に対し輸入課税の法改正を働き掛けている。ブラジルでは2022年時点で50ドル以下の輸入に関しては非課税となっているが、今後50ドル以下の輸入に関しても課税対象になる暫定法が検討されている[17]。なお、アメリカでは個人向け輸入小包CBP法第321条(通称:デ・ミニミス法)により、1人あたり800ドル以下の輸入に関し免税となっている[18]
主要な越境ECサイト

主要な取引サイトには以下のものがある[4][15]

AliExpress

Amazon.com

ASOS.com

eBay.com

JD.com

Joom

Lazada

Mercado Libre

Ozon

Pinduoduo

SHEIN

Shopee

タオバオ

T-MALLグローバル

ワイルドベリーズ

Wish

Zalando

Zooplus(英語版)

脚注^ “What is cross-border e-Commerce?”. whistl (2021年4月). 2022年4月15日閲覧。
^ 日本経済新聞(2016年4月6日)朝刊第3面「きょうのことば 越境EC 中国で市場急拡大」
^ “越境ECを中心に、中小企業のEC活用が進展”. 独立行政法人日本貿易振興機構 (2022年3月10日). 2022年4月13日閲覧。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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