この記事は言葉を濁した曖昧な記述になっています。Wikipedia:言葉を濁さないおよびWikipedia:避けたい言葉を参考に修正してください。(2014年3月)
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この項目では、JR東海が開発している磁気浮上式鉄道について説明しています。アメリカで計画されている同類の仕組みを用いた磁気浮上式鉄道については「MAGLEV 2000」をご覧ください。
超電導リニア L0系。2015年に山梨実験線にて世界最高速度603 km/hを記録超電導リニア MLX01-1
(愛・地球博での展示)超電導リニア MLX01-2。2003年に山梨実験線で当時の世界最高速度581 km/hを記録超電導リニア MLX01-901(改造前)超電導リニア 時速501 km/hの瞬間(2004年6月18日、山梨リニア実験線試乗会)
超電導リニア(ちょうでんどうリニア、英訳:SCMaglev, Superconducting Maglev, Superconducting Magnetic Levitation Railway[1][2])は、鉄道総合技術研究所(鉄道総研)および東海旅客鉄道(JR東海)により開発が進められている磁気浮上式リニアモーターカーである。超電導電磁石(超伝導電磁石)を利用するため、開発を推進するJR東海では超電導リニアと呼んでいるが[3]、国土交通省では「超電導磁気浮上方式鉄道」という呼び方もしており[4]、また「JRマグレブ」という呼び方もある[5]。マグレブ (Maglev) とは英語の“magnetic levitation”(磁気浮上)を省略した呼称である。日本では、「リニアの父」こと京谷好泰が開発・研究を進めていた。
新幹線を始めとする、従来の軌道接地走行の技術的問題点を回避できる浮上走行を行う。磁気浮上方式鉄道としては他に、ドイツのトランスラピッドや日本のHSSTなどがあるが、この2者は常電導電磁石による浮上であり、超電導電磁石によるリニアモーターでの走行は、世界でもこの超電導リニアのみである。超電導磁石による浮上・案内という基本原理は、米国ブルックヘブン国立研究所のジェームズ・パウエル
(英語: James Powell)とゴードン・ダンビー(英語: Gordon Danby)による米国機械学会誌への発表によるものであるが[6][7][8][9][10]、その後、基礎技術から日本で独自に研究・開発が行われた点も特筆すべき事柄である。技術的には既に実用化段階にあり、有人の試験走行で2003年(平成15年)12月にMLX01の3両編成が鉄道における世界最高速度となる581 km/hを記録[11]、2015年(平成27年)4月16日にはL0系7両編成が590 km/h[12]、同月21日には同じくL0系7両編成が603 km/hを記録し[13]、MLX01の世界記録を更新した。2027年(令和9年)を目標に中央新幹線として品川駅 - 名古屋駅間の営業運転を開始する予定であるが、運営母体となるJR東海は南アルプストンネル静岡工区の建設の遅れのため、2027年の営業運転再開は難しいことを発表している。
基本技術
浮上詳細は「磁気浮上」を参照磁気浮上のイメージ
電磁誘導方式 (EDS) の誘導反発方式が採用されている。誘導反発方式について説明する。移動する磁界内に置かれたコイルには誘導起電力が生じる。これは発電機と同じ原理であるが、誘導起電力で生じる誘導電流がコイル内に流れると、起電力を生じさせた磁界と反対方向の磁界が発生し、反発力となる。誘導反発方式の磁気浮上では、これを利用して車両側に強力な電磁石を、軌道側に両端をつなげた短絡コイルを設置する。車両が高速で進行すると軌道側のコイルには電流が発生し、この電流がコイルを流れると車両と反発する方向で磁界が生じる。結果車両が浮上する仕組みとなっている。反発力は、車両の速度に応じて増加する。
この方式の利点としては、以下が挙げられる。
比較的大きな浮上量が得られる。
浮上量に対して制御を行う必要がない。
またこの方式の欠点としては、以下が挙げられる。
車両が停止または低速に移動している間は十分な反発力が得られず、浮上できない。
浮上コイル内に大きな電流が発生するとコイルの抵抗により発熱が生じ、結果として走行中の車両に対し抗力(磁気抗力)が生じる。
宮崎実験線では当初、軌道底面に浮上コイルが設置(対向反発浮上方式)されていた。1991年(平成3年)6月から、宮崎実験線では側壁浮上方式の実験が開始され[14]、山梨実験線でもこれが採用されている。側壁浮上方式とは、文字通り浮上・案内コイルを側壁に配置するものである。浮上・案内コイルの巻き方は上下方向で8の字になるように巻かれている。この場合、高速に進入してくる車載超電導磁石で発生した磁界に対して、浮上・案内コイルに誘導電流が流れ、浮上・案内コイル下側からは反発力、浮上・案内コイル上側からは吸引力の電磁力が発生し、車両が浮上する。浮上力はコイル中心から通過する磁界中心のずれに比例して発生し、コイル内の電流も同じである。低速域で浮上すると浮上・案内コイルに生じる電流が大きく磁気抗力が大きくなるため、低速域ではゴムタイヤ車輪で車体を支持し浮上・案内コイルの中心を車載超電導磁石が通るようにして磁気抗力を回避し[15]、磁気抗力が十分に小さくなる速度に達してからゴムタイヤ車輪を上げ(=車体は僅かに沈み込む)浮上走行に移行する。このことで、コイル内の電流を小さくすることができ、車両に対する磁気抗力を小さくしている。また、車両の車載超電導磁石が浮上・案内コイルの中心高さから上下に変位すると、コイルに流れる誘導電流により、変位とは逆方向の電磁力が発生して、車両を復元する方向に力が働くようになっている。さらに軌道底面からの浮上量は側壁浮上コイル設置位置で自由に決定できる利点もある。山梨実験線の仕様では約100 mmの浮上が得られる位置に浮上・案内コイルが設置されている。もともと、日本国有鉄道(国鉄)でリニアモーターカーの開発を指揮していた京谷好泰が、地震の多い日本でも安定して走行できるようにするためには、思い切った浮上高を実現する必要があると考えて目標を10cm浮上にしたものである[16]。コイルの設置位置で任意に浮上高を決められる側壁浮上方式では浮上高にはあまり大きな意味がなく、たとえガイドウェイに底面がなかったとしても浮上走行できるが、加速して浮上走行に移るまではゴムタイヤ車輪で底面に支えられて走るので底面を必要としている[17]。 一方で、側壁浮上方式にしたことによって車上に供給される電力が不足する事態になった。以前の軌道の底面に浮上コイルがある場合は車上の二次コイルによって車上で必要な充分な誘導電流を取り出す誘導集電の使用が可能だったが、効率の優れた側壁浮上方式に変えたことによって従来の誘導集電による集電が困難になった。このため、不足する電力を補う目的でガスタービン発電機を搭載していた[注 1]。しかし現在では磁界の調相を制御して効率的な誘導集電を行う技術が確立され、実用化される見通しが立った[18][19][20]。
誘導集電