超過死亡率
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スペインでは2018年の熱波(Ola de calor)と、2020年のCOVID-19のパンデミックの期間において、有意な超過死亡が発生した(予想死亡率は黒線、信頼区間は灰色、実際の死亡率は赤線)。2018-2019年冬のインフルエンザ(Gripe)流行期における死者数は信頼区間に収まり、例年通りであった。なお、右端で実際の死亡率が下がっているのは死者が減っているからでは無く、報告が遅れていたためである

超過死亡率(英:excess mortality rate、excess death rate)、超過死亡とは、特定の母集団の死亡率(死亡者の数)が一時的に増加し、本来想定される死亡率(期待値)の取りうる値(信頼区間)を超過した割合のことである。超過死亡の増減は、平均寿命に影響を与える[1][2]。高リスク群が予測よりも早い時期に死亡した後に、平均以下の死亡率になる現象は、「死亡率の移動」(英:Mortality displacement)と呼ばれる[3][4][5]世界における平均寿命の推移。2020年はCOVID-19の影響で減少した国が多い。日本(一番上の黄線)、アメリカ(青線)

超過死亡は通常、感染症(特にインフルエンザCOVID-19のパンデミック)、熱波寒波などの異常気象災害戦争喫煙大気汚染肥満などによって引き起こされる[6][7][8]。超過死亡は、例年から予測される死者数と、実際に報告された死者数を比較した場合の増加分であり、特定の感染症や災害による直接・間接的な死者数を予測することができる[9][10][11][12][13]。超過死亡は推計手法によって様々な数字が出てくる[14][1][15]高齢化が進んだ国では、年々死者数が増えているため、予測死亡数の推計に年ごとの傾向を考慮しないと、超過死亡を過大に見積もる可能性がある[16][15]。予測死亡数の予測値に幅があるため、超過死亡にも最小と最大の値がある[8][17][18]
概要

超過死亡は、何世紀も前に確立された概念であり、1918年の「スペイン風邪」のような過去の健康危機の犠牲者を推定するために広範囲に使用されてきた[19]。1973年、世界保健機関(WHO)は、季節性インフルエンザ(流行性感冒)の流行・影響の大きさを測るために、例年の水準と比較する超過死亡の推計を提唱した[14][8]。日本でも1998年から季節性インフルエンザの影響を分析するために国立感染症研究所(NIID)が推計を始め、2020年から新型コロナ(COVID-19)の影響を分析するために厚生労働省研究班が推計を始めた[14][8][20]。研究班は、過去の人口動態統計のデータから「COVID-19またはインフルエンザの感染症が流行していなかった場合」の「予測死亡数」を算出し、この予測死亡数(点推定)および予測死亡数の閾値(95%予測区間の上限)と「実際に報告された死者数」との差の範囲を超過死亡としている[8][21][22][17][23][24]。「実際に報告された死者数」は、すべての死因による死者であり、「COVID-19またはインフルエンザの流行による間接的な影響で、高齢者が衰弱したり、基礎疾患が悪化して死亡する場合など」を影響に含めることができる[21][22][25][26][27]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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