超広帯域無線システム(ちょうこうたいいきむせんシステム、「超広帯域」Ultra Wide Bandの略称UWB[1])は、ごく短く鋭い矩形波(パルス)の電波で、中心周波数がかなり高く、広い帯域幅に分散する信号を利用した無線技術である。通信範囲はごく近距離だが高速通信のほかに位置検出が可能などの特性を有する。
定義
広義の超広帯域無線
500メガヘルツ (MHz) または1.5ギガヘルツ (GHz) 以上の帯域幅を使用する無線通信。
または インパルスレディオ(Impulse Radio、インパルス無線)方式で、変調をせずに、1ナノ秒 (ns) 以下の数百ピコ秒 (ps) 程度の非常に短いインパルス状の純粋なパルス信号列を無線で送受信する通信方式。 搬送波・広帯域変調を用いた近距離高速通信が可能な無線技術。位置測定やレーダーの機能を併せ持つ。IEEE 802.15.3aを示す場合が多い。Wireless USBの基本技術でもある。IEEE 802.15.3a のワーキンググループは、後述のMB-OFDMを支持する陣営とDS-UWBを支持する陣営間で合意せず、2006年1月の会議で規格策定を放棄し[2]、現在は各方式の陣営がデファクトスタンダード獲得を競っている。 マイクロ波帯 準ミリ波帯 超広帯域無線を利用するレーダーが医療診断や患者の監視のために開発されている[6][7][8][9]。 インパルス型UWB (IR-UWB) を用いた測位に関する国際規格として、2007年にIEEE 802.15.4
中心周波数に対する帯域幅である比帯域幅が20パーセント (%) または25%以上で、搬送波や変調の有無に関わらず、近距離高速通信が可能な無線技術。
狭義の超広帯域無線
一般的な超広帯域無線
特徴
消費電力が少ない
妨害電波に強い
高速通信が可能。距離が長くなると極端に速度が低下する。
位置検出の精度が高く、誤差は数cm内
従来以上に広い周波数帯に拡散して通信する
半径10m程度の近距離使用を想定
使用する帯域・帯域幅(基本)
米国は3.1GHz - 10.6GHzが利用可能
日本は3.4 - 4.8GHz、7.25 - 10.25GHzが利用可能[3][4]
3.4 - 4.8GHzは第4世代携帯電話やWiMAXなどと帯域競合が予想されるため、他の通信方式との干渉回避技術 (Detect and Avoid : DAA) の搭載が義務付けられている。2008年末までは、4.2 - 4.8GHzの帯域に限りDAAなしでも利用可能であった。
単位周波数当たりの出力レベル(放射電磁雑音規制値):-41.3 dBm/MHz
22GHz - 29GHz
23.6 - 24GHzは電波天文や地球探査衛星などが用いており、この帯域に対する妨害を与えないことが利用条件となる[5]。
通信速度
実際(実験段階・2004年) - 320メガビット毎秒 (Mbps)
目標 - USB 2.0 High-Speed同等の480Mbps以上
変調方式
MB-OFDM (MultiBand Orthogonal Frequency Division Multiplexing) - Multiband-OFDM Alliance (MBOA) が推進OFDMを応用。3.1GHz - 10.6GHzの帯域を14バンドに分割し割り当て、それを5つの論理チャンネルにグループ化。
DS-UWB (Direct Sequence UWB) - モトローラ陣営が推進インパルスレディオ方式とDSスペクトル拡散方式のハイブリッド。
CSM(Common Signaling Mode:コモン・シグナリング・モード)方式MB-OFDM方式とDS-UWB方式の折衷方式。双方の物理層を認め、共存に必要な作業をMAC層のプロトコルで行う。3960MHzを中心周波数とする500MHz幅の共通バンド (Common Signaling Mode Band) を定め、最大10Mbps程度の通信を実現する。
UWBレーダー