超巨大地震
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超巨大地震の震源分布

超巨大地震(ちょうきょだいじしん)は、巨大地震の中でも特にモーメント・マグニチュード尺度でMw9程度以上[1][2]あるいはMw9クラス[3]のものに対し使用される名称である。しかし、地震学的に厳密に定義付けられているわけでもなければ学術用語でもない[4]
概要タイの海岸に押し寄せるスマトラ沖地震による津波

超巨大地震とされる地震は、確認される範囲では全てがプレート収束帯で発生する低角逆断層プレート境界型地震であり、断層長がおよそ500 km以上に達する。また、長大な破壊域をもつ海溝型巨大地震は複数のセグメントが連動して断層破壊する連動型地震を仮定すれば説明できるとされる[5][6][7]。海溝沿いで海底地形の大きな変異を伴うためいずれも大津波を伴っている。比較沈み込み学やアスペリティモデルから超巨大地震の発生する場所は若いプレート沈み込み帯に限定されるとされてきたが、2004年スマトラ沖地震や2011年東北地方太平洋沖地震は従来の理論を覆すものとなり、特に高感度地震観測網など高密度の観測網が整備された日本付近で発生した東北地方太平洋沖地震は超巨大地震に関して新たな知見を与えるものとなった。

観測時代におけるデータの蓄積では発生頻度を論ずるに充分ではないが、地球上においておよそ1世紀の間に数回程度発生しているものと見られる[8]。Mw9クラスの地震の発生頻度は1世紀の間に1 - 3個程度との見積もりもある[9]。またその発生間隔は一様でなく比較的短期間の間に数年の間隔を空けて集中的に発生する傾向が見られる[2][8]地震モーメント放出の時系列から、このような超巨大地震のクラスタリングの傾向は明らかであるとする説がある一方で[10][11]、クラスタリングはランダムな変化に局在化した余震活動が加わったものにすぎず見かけのものであるとする説もある[12][13]

かつて表面波マグニチュードなど、地震計に記録された最大振幅の常用対数に基づくマグニチュードが主流として用いられていた時代はMs8.5程度が最大級とされていたが、超巨大地震の規模になると最大振幅に基づくマグニチュードは数値が飽和して頭打ちとなり、規模が適切に表されていなかった[14]。1977年に金森博雄が、断層活動のモーメントに基づくモーメント・マグニチュードを提唱して以来、1960年チリ地震など幾つかの地震がMw9以上と推定され規模が適切に表されるようになった[15]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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