赤外線センサ(せきがいせんセンサ)は、赤外領域の光(赤外線)を受光し電気信号に変換して、必要な情報を取り出して応用する技術、またその技術を利用した機器。人間の視覚を刺激しないで物を見られる、対象物の温度を遠くから非接触で瞬時に測定できるなどの特徴を持つ。 ウィリアム・ハーシェルが赤外線の存在を証明する実験に使った水銀温度計
目次
1 種類
1.1 原理による分類
1.1.1 量子型 (冷却型)
1.1.2 熱型 (非冷却型)
1.2 形状による分類
2 用途
2.1 近赤外線カメラ
2.2 熱線映像装置
2.3 赤外線捜索追尾装置
3 参考文献
種類
原理による分類
しかし現代の赤外線センサは、基本的には電子素子式の光検出器(受光素子)によって構成されており、その動作原理により、熱型(非冷却型)と量子型(冷却型)の2種類に分けることができる。
赤外線検出器の種類[1]動作原理検知波長素子素材
量子型
(冷却型)外部光電効果光電管紫外線
?0.9μm銀酸化セシウム(Ag-O-Cs)
ヒ化ガリウム・セシウム(GaAs-Cs)
内部光電効果光伝導型3?5μmテルル化カドミウム水銀(HgCdTe)
アンチモン化インジウム(InSb)
8?12μmテルル化カドミウム水銀(HgCdTe)
ヒ化ガリウム(GaAs)・ヒ化アルミニウムガリウム
量子型(冷却型)赤外線センサは、光エネルギーによって起こる電気現象を検知するもの。赤外線域に感度があり、狭いバンドギャップを持つフォトダイオードやフォトトランジスタ、フォトIC
などが用いられる。原理的には、一般的なデジタルカメラなどに用いられているCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどと同様で、光子がPN接合に入射した時に生じる電荷を検出することで撮像する。
検出感度が高く、応答速度に優れ、熱型(非冷却型)と比して100?1000倍の検出能力を持つ。感度は、用いる半導体の種類のほか、赤外線の波長によっても左右される(波長依存性)。人工のものの場合数十度の差、ピット器官による熱映像視野を持つヘビなどは数度の差を検知することができる。
しかし一方で、原理的に熱雑音の影響を受けやすく、撮像素子自体が発する熱を検出してしまうため、撮像素子を被写体に比べ十分に低温に保つ必要がある。真空に維持された筐体に収められ極低温に保たれる。用途や要求される水準にもよるが、温度は通常60K?100K(-213℃?-173℃)である。冷却する必要があるので作動に時間がかかる。
冷却措置としては、ジュール=トムソン効果やスターリング冷凍機が用いられることが多い。赤外線宇宙望遠鏡の場合は冷却材が喪失した時点で事実上の寿命を迎える物もあり、最近は冷却材の喪失後は他の観測機での観測に切り替えて運用する場合が多い。 熱型(非冷却型)赤外線センサは、赤外線を受光して熱によってセンサーが温められ、素子温度が上昇することで生じる電気的性質の変化を検知するものである。 量子型(冷却型)と比して感度、応答速度は低いが、波長帯域が広く常温で使えるのが特徴である。
熱型 (非冷却型)