赤十字社
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この項目では、各国赤十字社共通の事柄及びその運動の概要について説明しています。

各国赤十字社の連合体については「国際赤十字赤新月社連盟」をご覧ください。

赤十字社の国際調整機関については「赤十字国際委員会」をご覧ください。

日本のテレビドラマについては「レッドクロス?女たちの赤紙?」をご覧ください。

国際赤十字・赤新月運動
赤十字社と赤新月社の標章。この運動の名称は標章からとられたものである。
設立1863年赤十字国際委員会);
1919年国際赤十字赤新月社連盟
(構想されたのは1859年
設立者アンリ・デュナン
ギュスターブ・モワニエ
種類非政府組織非営利組織
目的人道
所在地.mw-parser-output .plainlist--only-child>ol,.mw-parser-output .plainlist--only-child>ul{line-height:inherit;list-style:none none;margin:0;padding-left:0}.mw-parser-output .plainlist--only-child>ol li,.mw-parser-output .plainlist--only-child>ul li{margin-bottom:0}

 スイス ジュネーブ

貢献地域全世界
組織的方法援助
収入1640万米ドル[1]
ボランティア数約18万人
ウェブサイトhttps://www.icrc.org/
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赤十字社(せきじゅうじしゃ)とは、国際赤十字・赤新月運動(「赤十字運動」)によって運営される戦争天災自然災害)時における傷病者救護活動を中心とした人道支援団体の総称である。スイス人実業家アンリ・デュナンの提唱により創立された。

世界各国に存在し、それらは国際的な協力関係を持っている。国によっては赤新月社(せきしんげつしゃ)、赤十字会(せきじゅうじかい)を名乗る。気象災害現場で支援活動を行う赤十字社職員。2008年8月、ハリケーン・フェイの被害を受けたアメリカ合衆国フロリダ州デバリーにて
概説

赤十字・赤新月運動は、赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)、各国の赤十字(赤新月)社の3組織で構成されている。各組織は財政・政策の面で独立しており、ICRCは紛争、IFRCは自然災害、赤十字・赤新月社は主に国内で活動を展開し、それぞれの基本的な任務は異なっている。いわゆる「国際赤十字(IRC)」はこの国際赤十字・赤新月運動を指す。

赤十字運動の最高決定機関は赤十字・赤新月国際会議と呼ばれ、この国際会議は原則として4年ごとに開催される。国際会議には、ジュネーヴ諸条約締約国政府の代表、ICRCの代表、IFRCの代表、各国赤十字・赤新月社の代表が参加する[2]

赤十字運動の各組織は独立しているが、活動上は連携しており、ICRCは各国赤十字社と連携して任務にあたっている。例えば日本赤十字社は、紛争地におけるICRCの支援活動に日本人職員(主に医療スタッフ)を派遣している。また追跡事業では、世界を網羅するICRCのネットワークに加え、各国に根を張る赤十字・赤新月社のネットワークも活用されている。

の内外を問わず、戦争や大規模な事故災害の際に敵味方区別なく中立な立場で人道的支援を行う。「ジュネーヴ条約」とこれに基づく国内法によって特殊な法人格と権限を与えられている。2011年12月1日現在、152か国に赤十字社、34か国に赤新月社が設立され活動を行っている(十字でも新月でもない“ダビデの赤盾”を用いるイスラエルマーゲン・ダビド公社を含めると計187か国)

活動に当たっては以下の7原則を掲げこれに基づく行動をしている[3]
人道:赤十字の根本。

公平:国籍や人種などに基づく差別はしない。

中立:戦地や紛争地では友軍敵軍どちらにも与しない。

独立:政府の圧力に屈さず、また活動への干渉を許さない。受けるのは補助のみ。

奉仕:報酬を求めない。

単一:一国一社。国内に複数の赤十字社・赤新月社があってはならない[注 1]

世界性:全世界で同様に活動する。世界の赤十字・赤新月は互いに支援し合う。

主要任務

紛争や災害時における、傷病者への救護活動

戦争捕虜に対する人道的救援(捕虜名簿作成、捕虜待遇の監視、中立国経由による慰問品配布や捕虜家族との通信の仲介など)

赤十字の基本原則や国際人道法の普及・促進

平時における災害対策、医療保健、青少年の育成等の業務

など、非常に多岐にわたる。
名称と標章詳細は「国際赤十字・赤新月運動の標章(英語版)」を参照

新しい共通マーク、赤水晶(Red Crystal)

赤十字(Red Cross)

イスラム教国の赤新月(Red Crescent)

イランの赤獅子太陽(Red Lion with Sun)

イスラエルのダビデの赤盾(Red Star of David)

ダビデの赤盾と赤水晶(Red Crystal with Star)
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多くの国では、識別マークは白地に赤い十字を模した赤十字(Red Cross)のマークを採用している。この赤十字マークは1863年に赤十字規約が制定された時にはすでに決定しており、創立当初から各国において使用されていたものの、当時は団体名は各国まちまちであり、赤十字社という名前は使用されていなかった。しかし団体の規模が大きくなるにつれて統一した名称が必要となっていったことを受け、1867年からオランダ救護社が通称としてマークの名前を団体名として使用していたため、赤十字社を各国救護社の正式名称とすることが提案され、1872年スペインを皮切りに1870年代には各国救護社が赤十字社と改称していった[4]。呼称については「赤十字社」が一般的だが、中華人民共和国では「紅十字会」(赤は中国語では「紅」)、また朝鮮民主主義人民共和国では「赤十字会」と呼んでいる。イスラム諸国では、「十字はキリスト教を意味し、十字軍を連想する」として嫌われたため、白地に赤色の三日月を識別マークとし、「赤新月社」(せきしんげつしゃ)と呼んでいる[5]

このマークはデュナンの母国スイスの国旗の赤地に白い十字の色を反転したものとされており、ジュネーブ条約にも「スイスに敬意を表するため、スイス連邦の国旗の配色を転倒して作成した白地に赤十字の紋章」との一文があるが、1863年の赤十字創立時の記録にはルイ・アッピアが団体構成員の目印として白い腕章を提案し、おそらくアンリ・デュフールと思われる人物がそれに赤い十字のマークを付け加えることを提案したのみで、スイス国旗についての記載は存在しない。スイス国旗と赤十字の関係についての初めての記載は1870年のギュスターブ・モアニエの発言が初出である[6]。この一文が挿入されたのは、初期加盟国のひとつであるオスマン帝国の行動が原因である。オスマン帝国は1865年にジュネーブ条約に加盟したが、自国の兵士の大半を占めるイスラム教徒がキリスト教の印である十字架の印を用いるのは不適当であるとして、1876年に新たに赤い三日月を模した赤新月(Red Crescent)のマークを制定し、以後オスマン帝国の救護部隊には赤十字に代わり赤新月を使用させる旨スイス政府に通告を行った。オスマンのこの動きによってペルシャタイ王国といった国々で新しい標章制定の動きが強まり、世界同一のマークを使用することを重視する赤十字国際委員会との対立が深まった。1906年にはジュネーブ条約が改定され、この時に上記の「スイスに敬意を表するため、スイス連邦の国旗の配色を転倒して作成した白地に赤十字の紋章」との一文が初めてジュネーブ条約に挿入された。これは、赤十字のマークがキリスト教とはなんの関係もなく、スイスに敬意を表したものだと強調することで、非キリスト教国、特にイスラム教国に対して赤十字マークの使用を促す意図があった[7]。ただしオスマン帝国はこれを承認せず、翌年に赤新月マークの使用を条件として加入した。やがて第一次世界大戦後、いくつかのイスラム教国の新独立国が誕生すると、それらの国々は赤新月を自国の団体のマークと定めた。(インドネシアはイスラム教徒が多い国であるが例外的に「赤十字社」である。またパキスタンマレーシアバングラデシュなどは設立当初は「赤十字社」であったが、のちに「赤新月社」に変更した)。


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