赤ちょうちん_(映画)
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赤ちょうちん
監督
藤田敏八
脚本中島丈博
桃井章
製作天野勝正
出演者高岡健二
秋吉久美子
音楽石川鷹彦
主題歌かぐや姫赤ちょうちん
撮影萩原憲治
編集井上治
製作会社日活株式会社
公開 1974年3月23日
上映時間93分
製作国 日本
言語日本語
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『赤ちょうちん』(あかちょうちん)は、1974年公開の日本映画藤田敏八監督=秋吉久美子主演による「日活歌謡映画路線」の第1作[1]、「日活ニュー青春映画3部作」の第1作[2][3]秋吉久美子の出世作となり[2][3][4][5][6]、興行的にも成功を収め[3][6]、以降、同年のうちに『』『バージンブルース』が製作された[1]。『映画時報』1974年12月号には、1971年11月から日活ロマンポルノ体制に移行した日活が、それ以降に最初に作った一般映画、と書かれている[7]

大都会東京の片隅でひっそりと同棲する若い男女が[8]、互いの心の行き違いや、周りとの人間関係に馴染めず、引っ越しを重ねる度に、次第に女の心が病んでいくという異色の青春映画[1][3][6][9][10][11][12]
あらすじ
政行と幸枝の出会い
電車が通る度に揺れ、トイレもない安アパートに一人暮らしする若者・久米政行は、ある夜出会った若い娘・幸枝からの頼みで朝までの寝床を貸すために部屋に泊める
[9]。翌朝幸枝が去った後、彼女が忘れていった現金書留に金が入っているのを政行が見つけるが[注 1]、職場の同僚・牟田と競馬で使い切ってしまう。その直後住んでいたアパートが取り壊しになり途方に暮れる政行だったが、書留を取り返しに幸枝が戻ったことが縁で同棲生活を始める。
1回目の引っ越し
渋谷区幡ヶ谷。部屋の窓から火葬場の大きな煙突が見えるアパート[9]。政行と幸枝は同棲を始めるが、アパート近くに火葬場があり幸枝を不安にさせる。数日後、2人の部屋に以前の住人である中年男が現れ、幸枝に住む場所がないと言って彼女の優しさに甘えて居着いてしまう。後日政行は牟田とその恋人・利代子の3人で、中年男にアパートから出るよう手荒なことをして追い出そうとする。それを目撃した幸枝は気持ちが悪くなり、これ以上ここで暮らしたくないと政行に訴えて引っ越しをする。
2回目の引っ越し
新宿区柏木(現在の西新宿[9]。アパート裏に神田川が流れる神田上水公園の近く。部屋から新宿副都心(新都心)の建設中の超高層ビルが見える。牟田と利代子が住むアパートに空きができたため2人はそこに住み始め、賑やかな街での暮らしに幸枝も明るさを取り戻す。そんな矢先幸枝の妊娠が発覚するが、政行は生活費を考えるとまだ子供を育てるには早いと彼女に堕胎するように迫る。利代子は腹を立て、神田川に身を投げようとする。新宿の利代子の店で酒に酔った政行は、誤って店のマスターの義眼を飲み込んでしまうが医者の処置により無事に吐き出す。その後2人は話し合いの末、経済的に余裕のない暮らしを覚悟して子供を産むことを決めて再び引っ越しをする。
3回目の引っ越し
調布市[9]。一見のどかな土地に引っ越すが、調布飛行場に離発着する飛行機が頭上低く飛ぶ。2人に赤ん坊が生まれるが、病院で看護師が別の赤ん坊と取り違えるミスがあり2人を動揺させる。帰宅するとアパートの大家から、自身の赤ん坊が亡くなる前に数回だけ使った新品同様のベビーカーを譲ると言われるが、幸枝はその申し出を断る。後日、幸枝の周りで立て続けに騒動が起こり彼女が珍しく感情的になる。その後2人は話し合い、ここでの暮らしは赤ん坊に良くないと判断してまたもや引っ越しを決意する。
4回目の引っ越し
葛飾区首都高速道路が走る川土手。2人は下町に安い家を見つけて暮らし始め、隣家から家族3人で引っ越してきたことを歓迎され、政行は地元の工場で働きだす。数日後、前住人のハガキが2人の家に届き、政行は隣家のおばさんに前住人のことを尋ねるとこの家で一家心中したことを打ち明けられる。その夜政行は、夢にうなされた幸枝の手に以前自身が誤飲しかけた義眼が握られているのを見つけて不気味に思い、そっとそれを取り上げる。翌日、幸枝が体調を崩したことで彼女が長い間ストレスを溜め込んでいたことを、この時初めて知った政行は激しく後悔する。
5回目の引っ越し
幸枝は精神病院に入院[注 2]。政行は子供を連れて5回目の引っ越しをする[12]
キャスト
久米政行
演 -
高岡健二若者(年齢は、幸枝が出産した後に「俺は22歳になった所」と言っている)。幸枝からは『まーちゃん』と呼ばれている。新宿武蔵野館近くの立体駐車場管理人として働いている。普段から自分本位な言動をしていて、感情で突っ走った行動を取ったりデリカシーのない発言をすることがある。仕事は真面目にしているが、だらしがない性格でアパートでの生活態度はあまり良くない。同棲後も一人暮らし感覚で気ままに暮らしており、生活費に余裕があるわけでもなく家族を養うという自覚がやや足りない。競馬好き。
霜川幸枝
演 - 秋吉久美子[注 3]17歳。政行と出会い間もなくして同棲を始め、幼くして出産し母となる。熊本県天草郡河浦町今富出身で、上京後はスーパーマーケットのレジ打ちとして働きながら故郷の祖母に仕送りをしている。未成年ということもあり考えが幼く、お人好しな性格で他人の言うことを信じやすく周りに流されやすい。赤色が好きらしく日常のファッションに赤いものを取り入れている。極度の鶏肉アレルギーで、食べることはもちろん鶏を見たり鶏の鳴き声を聞くだけで気持ちが悪くなる。頼りない政行との同棲生活が上手くいくように彼女なりに努力する。
2人と関わる主な人たち
牟田修
演 -
河原崎長一郎政行より年上の青年で職場の同僚。職場である立体駐車場の管理人室で雑誌などを読んでのんびりしたり、恋人の利代子を招き入れてイチャイチャしている。政行とはプライベートでも親しくしており、競馬や遊びなどに付き合っている。後に怪しげな男から儲け話を勧められて乗ってしまう。
利代子
演 - 横山リエ牟田の恋人。牟田とは同棲生活を送っている。仕事はスナックの従業員として客に酒や食事を提供している。自己主張が強く言いたいことははっきり言うタイプ。久米たちとは親しくしていて色々と助言しているが、気が強い性格のせいで時々行き過ぎた言動をすることがある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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