この項目では、フランキー堺主演シリーズについて説明しています。
橋爪功主演シリーズについては「新・赤かぶ検事奮戦記」をご覧ください。
中村梅雀主演シリーズについては「赤かぶ検事奮戦記 (中村梅雀のテレビドラマ)」をご覧ください。
『赤かぶ検事奮戦記』(あかかぶけんじふんせんき)は、和久峻三による法廷ミステリー小説『赤かぶ検事シリーズ』を原作としたテレビドラマシリーズの総称。司法試験を受験して合格したエリートではなく、検察事務官から副検事を経て検事に昇進した特任検事・赤かぶ検事こと柊茂(ひいらぎ しげる)が活躍する。
1980年から1992年まで続いたフランキー堺主演のシリーズ、1994年からは橋爪功に主演がバトンタッチされ、そちらは『新・赤かぶ検事奮戦記』シリーズと呼ばれて区別されている。2009年からは主人公・柊茂が京都地検に転勤したという設定で中村梅雀主演によるリメイクドラマが開始された。 朝日放送(ABC)と松竹によって第1シリーズ全5回が製作され、1980年10月にテレビ朝日系列で金曜日夜9時から1時間枠で放送された。原作同様に既存の推理ものドラマを覆す面白さが受け入れられて、以後この金曜夜9時の時間枠において1985年までに計4作のシリーズ、90年代はじめに3本のテレビスペシャル、そして1992年にタイトルを「赤かぶ検事の逆転法廷」と変更したシリーズ正統な連続ドラマなどで、赤かぶ検事役のフランキー堺とその古女房役の春川ますみは固定しながらドラマの舞台やレギュラーを変えつつもティストを崩さずに作られていた。 素人探偵が犯人に崖で自白させて解くような現在の凡百の推理モノのドラマとは異なり、叩き上げの赤かぶ検事が一癖も二癖あるエリート弁護士との法廷対決から苦節何十年の経験と法律知識を駆使して解き明かすことからくる、納得がいく面白さ。そして毎回一話完結でテンポよく進んだ。これは原作のほうの「赤かぶ検事シリーズ」初期における一話あたりの長さが中編というスタイルなため功を奏したと言えよう。 また、原作初期の幾話かだけ取り入れられた、弁護士ではあるが実の娘の葉子との法廷親子対決が毎回のように描かれる。その葉子役はシリーズごとに替わり、ドラマの舞台となる“宮仕え”の赤かぶ検事の赴任先と共に毎シリーズごとの売りものとなった。 音楽は渡辺岳夫の手によるもので、緊迫したものからコミカルなものまで多彩なものとなっている。エンディングで古い街並みなどをバックに流れるテーマソングは、「赤かぶ検事」というキャラを意識したのか明るめの曲調である(これらの音楽は「新・赤かぶ検事奮戦記」でも使用されている)。 作品の特徴としてまず挙げられるのは、「おみゃあさん」、「……ではにゃあでよ」「……だわ」などの、柊茂と春子が使用する味のある方言である。二人は名古屋出身という設定であり、この方言は名古屋弁(尾張弁)である。しかし、原作及びドラマでの初登場時からしばらくは、物語の舞台となる赤かぶ検事の赴任地が岐阜県高山市であり、二人が初老同士であることや、必ずしも現在実際に使われている名古屋弁とは異なることから、読者や視聴者が彼らが元々岐阜出身であり、その話し言葉も岐阜県のどこかの独特の方言であると錯覚させることとなった。ことに、原作では何編か名古屋出身のことや名古屋在住時代のエピソードに触れられているのに対し、テレビドラマ版ではシリーズを通して名古屋在住時代のことには滅多に触れられていないのも原因と考えられている。
テレビドラマ・シリーズ
製作史
ドラマの特徴
赤かぶ検事の方言
フランキー堺主演シリーズ一覧
赤かぶ検事奮戦記全5回[1]、1980年10月3日から10月31日まで。原作どおり、岐阜県高山市に所在する岐阜地方検察庁飛騨支部(架空の支部で実際は高山支部)が舞台。娘・柊葉子役は倍賞千恵子、赤かぶ検事の相棒となる榊田警部補役は森田健作、敵役で敏腕弁護士の法眼正法(ほうがんまさのり)役は沖雅也。親子の法廷対決は第1話と最終回で行われた。メインキャスト
柊茂[赤かぶ検事]:フランキー堺
柊春子:春川ますみ
榊田警部補:森田健作
岡田警部:山本紀彦(第1話?第4話)
吉沢事務官:久保にしき
裁判長:江見俊太郎
赤かぶ売り:松井加容子
法眼弁護士:沖雅也
柊葉子:倍賞千恵子
スタッフ
制作:山内久司(朝日放送)
プロデューサー:大熊邦也
脚本:北村篤子
話放送日サブタイトル原作脚本監督ゲスト
第1話1980年10月3日「父は検事、
娘は弁護士」「疑わしきは罰せよ」所収
「古銭はもの言わぬ証人」北村篤子瀬川昌治藤木敬士、田口計、呉恵美子、酒井哲、山田敏久、奈美悦子
第2話1980年10月10日「被告人、名無しの権兵衛」「被告人、名無しの権兵衛」
「疑わしきは罰せよ」
共に表題作保利吉紀梅津栄、島米八、池田幸路、日高久、山本弘、邦保、妹尾和夫、扇田喜久一
第3話1980年10月17日「小糸坂の白骨」「被告人、名無しの権兵衛」所収
「小糸坂の白骨」吉田剛天野新士、杉江廣太郎、西山辰夫、海老江寛、寺下貞信、山口朱美、はりた照久、和久峻三、赤座美代子
第4話1980年10月24日「呪いの紙草履」「呪いの紙草履」北村篤子飛鳥裕子、長谷川弘、山村弘三、松田明、香野なつみ、美鷹健児、小林泉、松尾勝人、長門勇
第5話1980年10月31日「うごめく蝸牛(かたつむり)」「被告人、名無しの権兵衛」所収
「蝸牛庵の遺産」吉田剛日高徹夫、河野実、吉本真由美、北見唯一、岩井友見
赤かぶ検事奮戦記II全13回、1981年11月27日から1982年2月26日まで。引き続き岐阜県高山市が舞台。柊葉子役は片平なぎさに、法眼正法役は勝野洋にチェンジ。ドラマオリジナルの登場人物でマスコットガール的な存在の、赤かぶ検事が通う喫茶店のウェイトレス・あや役に桂木文。メインキャスト
柊茂[赤かぶ検事]:フランキー堺
柊春子:春川ますみ
榊田警部補:森田健作
あや:桂木文
岡田警部:早崎文司
裁判官:永田光男
吉沢事務官:美鷹健児
喫茶店のママ:山口朱美(第1話-第3話)
朝市のおばさん:山村嵯都子(第1話-第2話)
法眼弁護士:勝野洋
柊葉子:片平なぎさ
スタッフ
制作:山内久司(朝日放送)
プロデューサー:大熊邦也、奥田哲雄(朝日放送)、桜井洋三(松竹)
脚本:吉田剛、石森史郎、保利吉紀、鴨井達比古、高橋稔、貞永方久
音楽:渡辺岳夫
監督:貞永方久、田中徳三、前田陽一、井上梅次
製作協力:京都映画株式会社
制作:朝日放送、松竹株式会社
話放送日サブタイトル原作脚本監督ゲスト
第1話1981年11月27日「女弁護士に惚れたヤクザ」「殺人許可します」表題作吉田剛貞永方久三条泰子、栗田陽子、志賀勝
第2話1981年12月4日「宝くじ殺人事件」「殺人許可します」所収
「狸を燻し出せ」遠藤征慈、玉木潤、ひろみどり、山本亘
第3話1981年12月11日「趣味は泥棒」「盗みは愉し」田中徳三江幡高志、剣持伴紀、桜京美
第4話1981年12月18日「奥飛騨慕情父恋し」「長崎居留地二十五番館」所収
「ゼンゼノコ・マンマノコ」石森史郎石山雄大、市川靖子、今出川西紀、沖田駿一
第5話1981年12月25日「火魔走る」「疑わしきは罰せよ」所収
「火魔走る」保利吉紀前田陽一田島令子、藤木敬士、阿木五郎、南条好輝
第6話1982年1月8日「ヘアー」「被告人、名無しの権兵衛」所収
「陰毛」鴨井達比古堀内正美、堂園千秋、古田正志、岡部啓子、川村一代
第7話1982年1月15日「死人に口あり」「長崎居留地二十五番館」所収
「死人の口」高橋稔田中徳三大竹修造、荒木雅子、溝田繁、芝本正、宮田圭子、楠年明
第8話1982年1月22日「雪の夜の鬼殺し」「殺人許可します」所収
「鬼ころし」吉田剛二宮さよ子、山口嘉三、山本一郎
第9話1982年1月29日「坊主めくり」「紅葉の下に猫がいる」表題作鴨井達比古井上梅次平泉征、松原愛、北見唯一、上村明子、小林泉、芦田鉄雄、紅萬子
第10話1982年2月5日「被告は娘、検事は父」「盗みは愉し」所収
「魔弓」貞永方久加山麗子、津山栄一、渥美博
第11話1982年2月12日「悪女が匂う」「紅葉の下に猫がいる」所収
「悪女の手ざわり」鴨井達比古井上梅次高峰圭二(木戸富士夫)、桃山みつる(今川香代)、大竹あかね(山中ユキ)、大木晤郎(今川市郎)、和泉敬子(木戸佐枝子)、小柳圭子(女所長)、峯るみ子(藤木みち子)、北川隆一(田丸)、松尾勝人(鑑識係)
第12話1982年2月19日「九官鳥は偽証する」「盗みは愉し」所収
「九官鳥は偽証する」吉田剛前田陽一中村孝雄(竹内了介)、石橋雅史(柳原仁七)、桜井浩子(斎藤博美)、河野きよ子(竹内早苗)、道井恵美子(おかみさん)、有島淳平(債権者たち)、泉祐介(債権者たち)、筑波健(柳原の子分)、芝弘(弁護士)、はりた照久(刑事)、葭川浩司(白バイ警官)
第13話1982年2月26日「女の裸が踊る」「呪いの紙草履」所収
「躓きの石」貞永方久高岡一郎(興梠洋介)、茜ゆう子(江原夏子)、海老江寛(中田巧三)、樋代舞子(西側晴子)、日高久(マンション管理人)、田中弘史(刑事調査官)、出水憲司(大川刑事)、真田実(フロント係)、花岡秀樹(弁護士)、茂原初美(女店員)
赤かぶ検事奮戦記III全14回、1983年1月7日から4月8日まで。原作に沿い、岐阜地検から山口地検に転任して、山口地検下関支部兼萩支部に舞台が移る[2]。前2作に出ていた森田健作が、やはり赤かぶ検事の相棒となる笛吹洞一(うすい ほらかず)検察事務官役として再々登場(第1話タイトル前まで榊田警部補として出演)。葉子役は和泉雅子にチェンジ。敵役となる敏腕弁護士の泉憲正(いずみ のりまさ)役に荻島真一。娘・葉子とその泉は結婚していて一女までもうけている。高山を舞台にした前2作に比べ、原作とはかなり設定が変えられており、以下は原作にある設定。赤かぶ検事は下関市の下関支部と兼任で通常は同支部にいる。また、森田健作演じる笛吹洞一は原作では萩警察署警部補で、敵役の敏腕弁護士の名前は妙泉憲正(よしずみ のりまさ)。なお、原作の下関・萩編に入ってから葉子の登場はわずか一話ばかりと減る。さらに今シリーズから「赤かぶ検事」シリーズ以外からの和久峻三原作を用いた話もいくつか作られるようになった。メインキャスト
柊茂[赤かぶ検事]:フランキー堺
柊春子:春川ますみ
笛吹事務官:森田健作
歌田部長刑事:山村弘三
裁判長:永田光男
松崎刑事:田中弘史
中尾刑事:安部潮
寺内弓枝(笛吹事務官の恋人:バスガイド):高野洋子
泉弥生:高橋芙美子
泉弁護士:荻島眞一
葉子:和泉雅子
スタッフ
プロデューサー:奥田哲雄(朝日放送)、桜井洋三(松竹)
脚本:吉田剛、鴨井達比古、篠崎好、保利吉紀、石森史郎
音楽:渡辺岳夫
監督:田中徳三、井上梅次、黒田義之、津島勝、八木美津雄
製作協力:京都映画株式会社
制作:朝日放送、松竹株式会社
話放送日サブタイトル原作脚本監督ゲスト
第1話1983年1月7日「赤かぶ 萩へ転勤す」「赤かぶ検事転勤す」吉田剛田中徳三本阿弥周子、芝本正、細川純一
第2話1983年1月14日「犯人は夫か妻か?」鴨井達比古片桐夕子、藤木敬士、南条好輝、村田みゆき
第3話1983年1月21日「シェパード殺人の女」「赤かぶ検事転勤す」所収
「海峡の狐」篠崎好井上梅次大信田礼子、片桐竜次、朝比奈潔子、笹木俊志
第4話1983年1月28日「父に犯された娘?」「死者への審判」所収
「嘘の壁」西崎みどり、京春上、中村孝雄
第5話1983年2月4日「閃光殺人のツケ」「死者への審判」鴨井達比古田中徳三清水めぐみ、荒木雅子