資源
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「資源」のその他の用法については「資源 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

資源(しげん)は、人間生活産業等の諸活動の為に利用可能なものをいう。

広義には人間が利用可能な領域全てであり、狭義には諸活動に利用される原材料である。
概要

その語源は、英語の resource (リソース)に当てた中国語 「資源」である[1]

各種天然資源観光資源のような物的資源と、人的資源とがある。さらに、経済上投入可能な資源として経済的資源という区分もある。

人間の活動に利用可能なものが資源とされるため、何が資源と認識されるかはその時代社会によって異なり、これまでは単なるゴミなどとされていたものでも技術の発達に伴い資源とされたり、逆にこれまで利用され資源と認識されたものでも、社会の変化と共に資源でなくなったりする[2]
天然資源

自然を構成し利用可能な資源を天然資源という。天然資源は地球誕生以来存在し、膨大な量になるが決して無尽蔵ではなく、更に、容易に採取、採掘利用可能なものは限られている。産業革命以降、人類はあらゆる資源を搾り取って活用することで産業を成り立たせてきたが、その資源も近い将来枯渇するといわれている。今後、海底資源や未開発地の資源の捜索など、多大な困難が伴い、経済的に非効率となることも予測される。このため、「捨てればごみ、分ければ資源」といったキャッチフレーズが示すように、資源の再生利用を積極的に進めようとする動きがある。

また、各種の資源は人間の生活や産業などにとって必要不可欠であるものの、それらは地球上に均等に存在するのではなく、ある地域に偏在しており、水や石油、希少金属などの限られた資源をめぐって戦争紛争が起こった例も多い。

以下、天然資源の種類とそれを取り巻く問題などを紹介する。
水資源詳細は「水資源」を参照

は人間の生活や産業にとって最も密接な関係をもつ資源である[3]。水それ自体は地球上に14億立方キロメートルが存在する[4]ものの、その97 %は海水であり、さらに残りの3 %の淡水のうちのおよそ70 %は極地などの氷山氷河であり[5]、実際に通常利用可能な淡水は河川地下水など、全体の1 %程に過ぎない。さらに、水は世界的に見ても存在量の地域間での偏りが大きい資源であり、河川の分布や流量が大きく異なる[6]

世界の水資源量の評価において、水循環によって更新可能である淡水の資源量を明らかにすることが重要である[6]

また、水は野生の動植物にとっても不可欠なものであり、水の減少によって生態系の破壊も起こっている。例えば、アラル海では流入河川での大幅な取水によって面積が急激に縮小し、塩分濃度が上昇して魚など大半の動物が死滅した[7]
生活用水

人が一日に必要とする水の摂取量は2.0 Lから3.0 L(すべてを飲料として摂取する必要はない)と言われているが、実際の生活では洗濯炊事などの生活用水として多くの水が必要であり、最低限一日一人20.0 L程度の清潔な水は必要と言われる。なお、一例として、2021年令和3年)の東京都では、家庭で一日に一人が使う水の量は平均221 Lであった[8]。十分な水の確保は都市の形成に不可欠であり、古来より水の得られる場所に都市が形成され、水の安定した確保のために様々な努力が払われてきた。古代ローマ上水道網や、水道橋などはその例である。現在多くの国で水道網が整備されており、河川や湖の水、地下水などが、浄水場において濾過、消毒などの処理をされた上で供給されている。

しかし、いまだ十分な水が確保されていない地域も多い。それらの地域は、中東地域や北アフリカなど、元々乾燥した地域である場合が多いが、加えて砂漠化の進行や人口増加によって一人当たりの水資源量が減少している。その場合には、水などの清潔でない水も利用せざるを得ず、あるいは十分に食材、食器や衣服などの洗浄が行われない、といったことが病気の原因ともなっている。また、水源までが遠く、日々多くの時間を水の取得や運搬に費やさなければならないことなども、貧困の要因となっている。
農業用水センターピボット式のスプリンクラーが水をまく様子

ある程度生産物による差はあるものの、一般に農業には多くの水が必要となり、多くの地域で河川の水や地下水が利用されている。しかし、乾燥地域では旱魃になりやすく、あるいは不適切な灌漑によって土壌の塩類が地表近くに吸い上げられ、塩類集積が発生して耕作不能となった例も見られる。

また、農地の開墾による河川上流での大幅な取水は、下流へと流れる水量を減少させており、例えば中国黄河では、乾期には河川下流域での断流も見られるようになっている。多数の国家を流れる河川では、水をめぐって上流に位置する国と下流に位置する国の利害が対立するため、ダムの建設や取水を巡って争われる例も多い。ユーフラテス川の取水をめぐるシリアイラクの対立や、ナイル川の取水をめぐるエチオピアスーダンエジプトの対立などがある[9]

地下水の利用では、アメリカグレートプレーンズセンターピボット方式による灌漑や、イランカナートを用いた地下水利用などが著名であるが、地下水の過剰な取水によって地下水位の低下や枯渇が見られたり、あるいは農薬や化学肥料によって地下水が汚染されるなどの問題も発生している。
工業用水

工業用水としては、酒や飲料、氷などを製造する際の原材料として水が利用されるものもあるが、製品の生産過程において洗浄などに用いられるものも多く、あらゆる産業で水が用いられている。染色業や製紙業は、多くの水を必要とする産業として知られている。工場では、水道水を利用すると高価なものとなるため、あるいは水道水に含まれる塩素などを避けるため、地下水を利用する場合が多く、工場の集中する地域では過剰な地下水のくみ上げによって、地盤沈下が発生したり、排水や工業廃棄物による水質汚染、悪臭などの公害が広く見られた。

これらの公害を受けて、多くの先進国(とりわけ都市部)では地下水の取水制限や水質汚染に関する規制が強められ、ある程度問題の解決を見たものの、規制の少ない発展途上国に工場が移転し、また途上国が環境よりも開発を優先させることで規制が十分なされずに、河川や湖沼が汚染される例も増加しており、途上国での生活や農業、あるいは経済の発展に関して大きな不安要因となっている。
水不足への取り組み

これらの水にまつわる問題に対して、問題解決に向けた努力も行われている。

国際紛争の処理については、関係国が何らかの協定を結んで取水量について取り決めを行ったり、国際機関の利用も行われている。また、技術開発によって、各種の節水機器が開発されたり、農業において点滴灌漑が行われたり、あるいは規制が強化されより高度な排水処理が行われたりしている。また、不足する水を作り出すものとして海水の利用も行われており、サウジアラビアなどの石油の豊富な国家では、石油の燃焼により海水を蒸留して水を生産している。あるいは逆浸透膜を利用した海水淡水化も実用化されている。また、世界の各国で節水運動なども行われており、節水意識の高まりもあって、節水を謳う商品も数多い。しかし、いずれにせよコストの問題や経済開発との兼ね合いもあって、十分な解決は困難な状況である。水不足にまつわる問題については「水の危機」を参照
鉱産資源

鉱産資源はボーキサイトウラン鉱・石油石炭などの有効利用が可能な鉱物を採掘して得られる資源である。世界各地に鉱脈があり、様々な手法で採掘されている。地下資源とも言う。産出量が少ないが有用な鉱産資源は、レアメタルと呼ばれている。石油・石炭・天然ガス等は化石燃料とも呼ばれている。

また、鉄や銅・アルミニウムなどの、大量に生産・消費される、基礎となる金属は、ベースメタルと呼ばれ、などは貴金属ニッケルクロムなどはレアメタルと呼ばれる。
金属資源

鉄・アルミニウムなどの金属のほとんどは、広く地殻に存在しており、ある意味ではどこにでもあるといえる。例えば金を海水から抽出することも不可能ではない。


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