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貧困線(ひんこんせん、英: poverty line、poverty threshold)は、統計上、生活に必要な物を購入できる最低限の収入を表す指標。
イギリスのシーボーム・ラウントリーによって導き出された。
それ以下の収入では、一家の生活が支えられないことを意味する。貧困線上にある世帯や個人は、娯楽や嗜好品に振り分けられる収入が存在しない。 貧困線[3]は、社会学や経済学の指標であり、貧困状態にある住民を減らすため、必要な社会政策を決定するのに有効である。貧困線以下にある住民が多い社会は、最低限の生活を送る必要があるため、経済発展が阻害される。このため、近代的な国家の目標は、社会の全ての構成員を貧困線を上回る収入を生活保障
概要
貧困線を計算する基本の手法は、1人の成人が1年間に最低限必要な物の購入費用を積み立てていく方法がとられる。「住環境に費やす費用が収入のもっとも大きな割合を占めることが多い」ことから、歴史的に経済学者は、物件価格や賃貸費用の変動に注目してきた。個人の年齢や家族構成により貧困線は上下する。多くの先進国では、娯楽や嗜好品なども貧困線を算出する際に加算している。これは「単に衣食住が満たされる状況は、貧困状態未満である」という認識を持つため。
ただ、貧困線は、厳密な指標ではなく、国や機関によって異なる。そのため、貧困線を若干上回る収入の層とやや下回る収入の層の間に、実際には大きな生活水準の差はない場合もある。世界貧困線[4]は、現在は「2017年の購買力平価(PPP)が1人当たり1日2.15$以下の層」と設定されている[5]。また、最初に世界貧困線を定めたのは、1990年の時である。世界銀行の研究者グループは、世界の貧困層の数を把握するため、世界最貧国の基準を用いた測定法を提案した。彼らは、当時の最貧国数カ国の国別貧困ラインを検証し、購買力平価(PPP)を用いてそれらを米ドルに換算し、その平均値を算出した結果、1人当たり約1ドル/日という数値を出した。[6][7]2005年、当時の世界最貧国のうち15カ国の国別貧困ラインの平均を用いて国際貧困ラインの改定が行われ、この改定後の貧困ラインが、1人当たり1.25ドル/日という数値となった。[7]そして2015年10月、国際貧困ラインを1.25ドル/日から1.90ドル/日に改定した。この改定は、物価の変動を反映させることで、より正確に貧困層の数を把握する目的で行われ、2011年に世界各国から新たに集められた物価データに基づいて設定された[8]。更に、2022年9月に物価の変動を反映して、1.90ドル/日(2011年アメリカドルPPPベース)[9]から2.15ドル/日(2017年アメリカドルPPPベース)に改定した[5]。 ロバート・アレンにより算出された最低限必要な年間生活費を
絶対的貧困
基準
2017年アメリカドルPPPベースに換算した年間生活費の内訳
と貧困線(2017年アメリカドルPPPベース)[10]及び絶対貧困率[11][注 1]国名食費非食費
(住居費除く)住居費貧困線
(PPPドル/日)絶対貧困率
(%)統計年
アフリカ
ニジェール505217442.1048.812021
ジンバブエ496172521.9736.082019
ガンビア366180551.658.762020
リベリア904346713.6260.592016
エジプト9003151143.6417.622019
アルジェリア9543231103.804.842011
中国及び東南アジア
中華人民共和国5654221012.980.552020
タイ9093393334.331.602021
インドネシア8403401763.7219.472023
ミャンマー728578603.7421.342017
ベトナム9703091974.045.852022
南アジア
インド527251682.3216.852021
バングラデシュ497235382.115.012022
スリランカ816163332.773.792019
中東
トルコ5132891472.600.692021
北米大陸
アメリカ合衆国4324568054.640.752021
メキシコ4311683112.491.802022
ヨーロッパ
リトアニア7041323735.751.022021
イギリス2625347914.350.502021
フランス4224669385.000.362021
国名食費非食費
(住居費除く)住居費貧困線
(PPPドル/日)絶対貧困率
(%)統計年
食費:1日当たり2100カロリーで50gのタンパク質、34gの脂肪に加えて、鉄分・葉酸・チアミン・ナイアシン・ビタミンCとB12を十分に摂取した食事の場合を想定した費用
非食費(住居費以外):気候や気温によって異なる衣料や光熱費は、寒冷地(サンクトペテルブルク,1907-1908年時の支出調査)と熱帯(ボンベイ,1921-1922年の支出調査)で最低限必要な数量を調査し、気温差に比例して最低限必要な数量を算出した費用である[注 2]。
住居費は1人当たり3m2の狭さを基準とした家賃額
食費・非食費(住居費除く)・住居費は、ロバート・アレンにより算出された費用(2011年アメリカドルPPPベース)をそれぞれ2017年アメリカドルPPPベースに換算している。換算の際、OECDの「ODA受け取り国リスト」(2018-2020年)[12]で後発開発途上国(Least Developed Country)に分類される国々[注 3]は約1.13倍[注 4]に、低中所得国(Lower Middle Income Country)に分類される国々[注 5]は約1.14倍[注 6]、高中所得国(Upper Middle Income Country)及び記載されていない国々[注 7]は約1.25倍[注 8]で換算している。