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左が施術前の乳房、右は豊胸手術を施した乳房
豊胸手術(ほうきょうしゅじゅつ)とは、乳房を大きくする手術を指す。主に外観上の美容目的の手術にこの名称が使われる。乳がんなどの切除後に行われる手術は乳房再建術と呼ばれる。
外見的な魅力を高めようと手術を受ける女性が多くいる一方で、こぶや痛みといった健康被害も起きている[1]。日本の厚生労働省は、その他いずれの乳房インプラントも薬事承認しておらず、安全性に関して保証していない。 豊胸術の歴史はほぼ乳房再建の歴史とリンクしている。健常な乳房に美容目的での豊胸術が施されたのは1950年代で、パラフィンやシリコンジェルを皮下に直接注入する方法であったが、組織の壊死など合併症・後遺症が多く発生した。その後、1963年に米国・ダウコーニング社がシリコン製の袋(バッグ)にシリコンジェルを詰めた乳房インプラントを開発。1965年にフランス・パリで生理食塩水入りのバッグが誕生し、美容目的で胸部に挿入する豊胸術が広く行われるようになる。 1990年代になると、ダウコーニング社などインプラント・メーカー数社が訴訟され、破損による変形や漏出した場合の健康被害などの問題が表面化した。1992年にはFDAがシリコンジェルバッグの使用を一時停止するよう命じた(臨床試験の目的に限り許可された)[2]。その後はシリコンジェルバッグに代わって、生理食塩水バッグが広く普及した。1995年、生理食塩水に高分子ポリマーを加えたハイドロジェルバッグが誕生したが、仏・英両国で長期使用による安全性が問題視され、使用が禁止となる。 2000年、FDAは米国内においての生理食塩水バッグの使用を許可した。その後、コヒーシブシリコンなど粘度が高く漏出時の危険が少ない素材の登場などで、2006年にはシリコンジェルバッグの使用も許可された。ただしアラガン社とメンター社
歴史
米国においては美容整形手術の件数で一番多いのは豊胸手術であり、一大産業となっている。米連邦政府美容整形学会によるとアメリカでは年間22万5000人が豊胸手術を受けているとし、現在ではさらに増え、米国では年間40万人、ブラジルでは年間15万人(中南米全体では20?30万件)、中国(年間10万人)となっている[6]。一方、乳房への脂肪移植(脂肪注入)は1980年代初頭から行われていたが、バストアップ効果が不十分なことや、石灰化した場合に乳がんの診断の妨げになるなど、否定的な意見が多く、米国形成外科学会は1992年に豊胸目的の脂肪移植を非難するに至った。