議長
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議長(ぎちょう、: chairperson)は、会議を代表し、会議の運営を統括する役職である。類似する役職に「座長」がある。
概要

組織によっては議事運営以外の執行権限を付与されることもあり、最高決議機関の議長を組織全体の代表とする組織もある。英語表記の翻訳でSpeaker、Chairman、Presidentなどに対する訳語として用いられる。英語圏でChairmanと言った場合は強い実権を伴う代表者であることが多く、代表取締役の肩書きとして用いられる場合もある。日本の国家機関における「議長」の肩書きは、1869年明治2年)に設けられた各など代表による議会である公議所の議長までさかのぼる。

同様の役職が委員長主席といった職名であることもある。たとえば、中華人民共和国における全国人民代表大会の議長役の職名は「常務委員長」、中国人民政治協商会議においては「主席」である。
議会における議長
各国の議長

議会の議長は議会内の秩序維持、議事整理、議会の事務処理などに責任を負うが、アメリカの下院議長大統領継承順位第2位)、ドイツ連邦参議院議長(基本法第57条の規定により、連邦大統領が欠けた際の職務代行者[注 1])などのように国家元首が何らかの理由で欠けた場合にその継承者あるいは職務代行者となると定められている場合もある。

国及び地域一院制両院制
議会下院上院
日本衆議院議長参議院議長
アメリカ合衆国下院議長[注 2]上院議長[注 3]
イギリス庶民院議長貴族院議長
フランス国民議会議長元老院議長
ドイツドイツ連邦議会議長連邦参議院議長(ドイツ語版)
イタリア代議院議長元老院議長
カナダ庶民院議長(英語版)元老院議長(英語版)
オーストラリア代議院議長(英語版)元老院議長(英語版)
アルゼンチン下院議長上院議長[注 4]
 チリ代議院議長元老院議長
ロシア国家会議議長連邦会議議長
中国全国人民代表大会常務委員会委員長(非会議中)/全国人民代表大会主席団(会議中)
台湾立法院長
香港香港特別行政区立法会主席
韓国国会議長
ニュージーランド代議院議長
シンガポール国会議長
イスラエルクネセト議長
 ウクライナ最高議会議長
北朝鮮最高人民会議常任委員会委員長(非会議中)/最高人民会議議長(会議中)
 ベトナム国会議長
^ ドイツ連邦共和国基本法第57条 連邦大統領の権限は、連邦大統領が職務遂行不能となった場合又は任期満了前に空席となった場合には、連邦参議院議長によって代理行使される(Art 57 Die Befugnisse des Bundesprasidenten werden im Falle seiner Verhinderung oder bei vorzeitiger Erledigung des Amtes durch den Prasidenten des Bundesrates wahrgenommen. ドイツ連邦法務省のサイトより)
^ ただし日常の議事進行は下院臨時議長が行う。
^ ただし副大統領が兼務する。副大統領は可否同数の場合のみ均衡を破る議長決裁票の投票と、儀礼的に重要な場面での議事進行を行う。
上院議長の実務の大半は年功で選出された仮議長が管轄し、日常の議事進行は仮議長から指名された仮議長代行が行う。
^ アメリカと同じく、副大統領が兼務する。副大統領は可否同数の場合のみ均衡を破る議長決裁票を投じる。
日常の議事進行は上院仮議長が行う。


日本

国会及び地方議会の代表者で会議主宰者である。議長席は議場内中央最上段に設けられる。
国会の議長

両議院の議長は国会法上の役員である(国会法第16条第1号)。
選任

議長は各院それぞれ議員の中から単記無記名投票で互選で選ばれ、最多得票者が議長となる(国会法第23条、衆議院規則第3条、参議院規則第4条)。内閣総理大臣指名選挙が記名投票であるのに対して議長選挙は無記名投票である[1]。議長の進退は国事行為の対象ではないが、慣例として議長は就任時と辞任時に皇居へ参内し、就任時には天皇に面会し挨拶を、辞任時は天皇への挨拶の記帳を行う[2][3]

一般的に議院第一会派の長老格の政治家が選出される例が多く、「あがりポスト」と目されている。1973年から両議院議長は、公平さを期す為に自分が所属する会派を離脱して、無所属活動が慣例である。以前は重宗雄三など所属政党の人事に影響力を行使した例もあったが、衆議院で以前に正副議長の離党が申し合わせた時期もあった[注 1][注 2]。党籍は維持する例と離党する例が混在する。任期満了直後の選挙に出馬する場合、衆議院は所属政党の公認で立候補することが通例[注 3]で、参議院は選挙区(旧地方区)で立候補をする場合は非公認で立候補をすることが通例である。イギリス下院議長のような、完全に党を離れ選挙では主要政党が対抗候補を出さないといった徹底した中立性はない。

日本国憲法下では議長選挙ではほぼ全会一致で選出される例が多いが、1955年3月の衆議院議長選挙で益谷秀次三木武吉と争う例、1971年7月の参議院議長選挙で河野謙三木内四郎と争う例、1993年8月の衆議院議長選挙で土井たか子奥野誠亮と争う例もあった。


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