警察
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この項目では、広く警察に関する事項について説明しています。特に日本における警察については「日本の警察」をご覧ください。

警察(けいさつ、, : police、: Polizei)とは、権力行使をもって国家の治安を維持する行政作用、およびその主体をいい、社会安全秩序を守る責任を課された行政機関である。軍隊と並ぶ国家実力組織である。
語源

「警察」という名称は、日本固有の語ではなく、フランス語のpolice(: police、: Polizei)を翻訳したものである[1]法律上初めて「警察」という語が現れたのは、司法警察規則(明治7年太政官達第14号)[2]及び行政警察規則(明治8年太政官達第29号)[3]であるとされる[1]

policeの語は、フランスから出たものであって、その語源は、ギリシャ語のΠολιτε?αがラテン語化したpolitiaから出たものである[1]。politiaは、本来、「憲法」という意味(または、憲法から転化した「政治」もしくは「行政」の意味)であったが、一転してPoliceの語となり、その原語とは全く異なる意義に用いられるに至った[1]。その理由は、これとは全く別の語であるpolitesse(polirから来る語であり、「清浄整備な」という意味)の意義と混同されたためであるとされている[1]

「ポリス」という語がフランスで初めて用いられたのは、14世紀ころであったが、その語の意義は、それ以来、しばしば変遷している[1]。当初は、「社会の秩序があって幸福である状態」を意味していたが、後にまもなく、「このような状態を目的とする国家の作用」を意味するに至った[1]18世紀ころになると、いわゆる「内務行政」と同義に用いられ、司法軍事財政及び外交のほか、国家の全ての作用は全て「ポリス」の観念に包含されることとなった[1]。しかし、個人の自由を尊重し、国家の権力を制限しようとする自然法学説の発達とともに、警察権の観念についても、18世紀末から次第にこれを制限するようになり、従前よりも狭い意義に解そうとする傾向が生じた[1]。この変遷は、フランスにおいてもドイツにおいてもほぼ同一であり、「警察」は、内務行政の全部を意味するものではなく、内務行政のうち、国家的権力をもって国民の自由を制限し、もって公共の秩序を維持する作用のみを意味するものと解されるに至った[4]
歴史「軍隊#軍隊と警察・消防」も参照.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節の加筆が望まれています。 (2021年3月)

古代、治安維持の多くに責任を持っていたのは軍隊であった[5]。ただし、古代ローマでは、ローマに軍事目的で使用されない警察「ウィギレス(Vigiles)」が設置されていた[6]。そのほかの諸都市は治安が悪かったといわれる[7]ノルマン・コンクエスト以降のイングランドでは、公共秩序を担う制度として、constable に指揮される tishing が存在したが、多くの場合は、地方の領主や貴族が自分の領地の秩序維持に責任を負うことで、警察活動を担う(しばしば無給の)constable を任命した。

近代になり、軍事、治安維持(警察)ともに専門性が高まってくると、軍が軍事、警察を共管することは効率的でないと判断されるようになり、軍事と治安維持を分離する傾向が見られ始めた。

警察は軍から分化した組織であるが、現代において警察と軍とが分化していない例は、国家憲兵制度などに見られている。

社会学的には暴力装置に該当し、他者に対する物理的な破壊力である暴力を国家が独占して国内を統制することで、万人の万人に対する闘争を回避する目的で置かれる[8][9][10][11][12][13]
警察権

警察権は社会や公共の秩序を維持するために国民に対し命令や強制を加える公権力のことである[14]。国家における警察権とは一般にはドイツにおいて18世紀および19世紀前半にあらわれた権力形態を指し、非立憲的かつ前産業的な国家形態のうち、その行政部分を取り上げてとくに警察国家と呼ばれる。警察国家法治国家対語として用いられ、内容的に不確定な「警察権(ius politiae)」に基礎をおいた行政執行が、合目的性には従うものの格別法的な形式や法的原則に服していなかったことに特徴がある。国家を統治するための高権と人民との間には事実的な権力関係が存在し、司法や行政の名目上の区別にもかかわらず法学上の根拠をもたないため行政法や行政法学ではなく、法学上の分野としては成立しえない「警察学」により統治される。19世紀の中葉にはドイツ社会や政治理念、憲法構造の革命により警察は行政法に、警察学は行政法学にとって換わられた[15]。警察権の行使については警察公共の原則、警察責任の原則、警察比例の原則、警察消極の原則の4原則があるとされる[14]
警察公共の原則
警察権は公共の秩序と安寧を維持するという消極目的のためのみに発動することができる。私生活不可侵、私住所不可侵、民事不介入を原則とする。
警察責任の原則
警察権は警察違反の状態にあるとき、警察責任を有する者に対してのみ発動することができる。
警察比例の原則
警察権の発動は、除去すべき障害に対比して社会通念上相当であるということができる範囲でのみ発動することができる。
警察消極の原則
警察権は、公共の秩序と安寧の維持、これらに対する障害の未然防止および既然の鎮圧といった消極的な目的のみ発動されるのであり、その限界を踰越した積極的作用は違法である。

美濃部達吉によれば、警察権は、「社会的ノ利益ヲ保持スルコトヲ其ノ目的トシ、臣民ニ命令シ、強制スルコトヲ其ノ手段ト為スモノ[16]」と定義される。
機能

警察の機能には三つの基本的な部門に分類することが考えられる。第一に犯罪の予防や治安の維持などの行政警察活動: police administrative、: Verwaltungspolizei)を行う一般予防部門であり、第二に既に起こった犯罪の捜査や犯人逮捕などの司法警察活動: police judiciaire、: Justizpolizei)を行う犯罪捜査部門である。日本の警察活動ではこの両者が区別されている。第三に反政府活動暴動騒擾の調査や警戒、防諜などの公安警察活動を行う特別部門がある[17]

また警察の機能には通常の警察力で対処が困難な暴動や騒擾などを鎮圧することを目的とする治安警察活動を行うものもある(例:日本の機動隊)が、これは行政警察活動に含まれる。

行政警察と司法警察の区別は、フランスの1795年の罪刑法典(フランス語版)に淵源を発するものであり、19世紀に入ってから、この区別が多くの学説によって採用され、その後、裁判所によっても用いられるようになったことから、一般に定着したとされている[18]


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