論理和
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P ∨ Q のベン図による表現

数理論理学において論理和(ろんりわ、: logical disjunction)とは、与えられた複数の命題のいずれか少なくとも一つが真であることを示す命題を作る論理演算である。離接(りせつ)、選言(せんげん)とも呼ぶ。

二つの命題 P, Q に対する論理和は記号 ∨ を用いて P ∨ Q と表せる。この記号はラテン語で(非排他的)論理和を意味する vel の頭文字に由来する[1]。また P ∨ Q の形をした命題を選言命題(disjunctive proposition)、その中に現れる命題 P や Q を選言肢(disjunct)という[2]


「私の身長は 160 cm 以上である」

「私の体重は 50 kg 以上である」

の二つの命題の論理和は、

「私の身長は 160 cm 以上か、または、私の体重は 50 kg 以上である」

となる。この論理和が真となるのは

「私」の身長は 160 cm 以上で、体重は 50 kg 以上

「私」の身長は 160 cm 以上で、体重は 50 kg より軽い

「私」の身長は 160 cm より低く、体重は 50 kg 以上

のいずれかである。論理和が偽となるのは以下の場合である。

「私」の身長は 160 cm より低く、体重は 50 kg より軽い

性質

P ∨ Q は否定論理積を用いた ¬(¬P ∧ ¬Q) と同じである。従って、論理和は否定と論理積で表せる。P ∨ Q ⇔ ¬(¬P ∧ ¬Q)

また、論理積は論理和と否定で表せる。P ∧ Q ⇔ ¬(¬P ∨ ¬Q)

この二つをド・モルガンの法則という。
真理値表

論理和の真理値表

命題 P命題 QP ∨ Q
真真真
真偽真
偽真真
偽偽偽

一般語との乖離

命題 P ∨ Q はしばしば「P または Q」と読まれる。この用語「または」は一般語としての用法より意味が限定的である。

日常会話において「または」と言った場合、例えば P と Q のいずれか一方のみが成り立つことを意味することがある(排他的論理和)。具体例として、レストランにおいて「コーヒーまたは紅茶が付きます」と言えばコーヒーと紅茶のどちらか一方のみが付くことを意味し、両方が付くことは含意しない。

排他的論理和と明確に区別するために、通常の論理和を「包含的論理和」(inclusive OR)と呼ぶこともある。
表記法

論理和(OR) は、中置記法により表記される。
論理学

∨ {\displaystyle \lor } を使用して P ∨ Q {\displaystyle P\lor Q} と書く。
電子工学

 + 記号を使用して A + B {\displaystyle A+B} と書く。「論理回路」も参照
プログラミング言語

C言語などでは、単なる論理和は||、ビット単位の論理和は|で表され、z = x 。y;

のように使用される。(注:2|4 の値は 6 である一方、2||4 の値は 1 である。)

Perlでも、単なる論理和は||、ビット単位の論理和は|で表され、$z = $x 。$y;

のように使用される。(注: 2|4 の値は 6 である一方、 2||4 の値は C言語の場合とは異なり 2 である。)

VBScriptでは、「Or」で表され、z = x Or y

のように使用される。

各プログラミング言語における論理和の表記と意味は、短絡評価と密接な関係がある。
符号位置

記号UnicodeJIS X 0213文字参照名称
∨U+2228-∨
∨
∨論理和

注釈^ 山下正男『論理学史』岩波書店岩波全書〉、1983年、69頁。 
^ 近藤洋逸、好並英司『論理学概論』岩波書店、1964年、32頁。NDLJP:2969913。 

関連項目

論理積

ORゲート

否定論理和 (NOR)

真理値

真理値表

ブール代数

ブール論理

ブール関数

ベン図

選言標準形

論理回路

加算器

選言三段論法

選言肯定

マスク (情報工学)










論理演算


恒真式 ( ⊤ {\displaystyle \top } )



NAND ( ↑ {\displaystyle \uparrow } )

逆含意 ( ← {\displaystyle \leftarrow } )

IMP ( → {\displaystyle \rightarrow } )

OR ( ∨ {\displaystyle \lor } )



否定 ( ¬ {\displaystyle \neg } )

XOR ( ⊕ {\displaystyle \oplus } )

同値 ( ↔ {\displaystyle \leftrightarrow } )

命題



NOR ( ↓ {\displaystyle \downarrow } )

非含意 ( ↛ {\displaystyle \nrightarrow } )

逆非含意 ( ↚ {\displaystyle \nleftarrow } )

AND ( ∧ {\displaystyle \land } )



矛盾 ( ⊥ {\displaystyle \bot } )










論理記号

 or & 論理積
AND
論理和
OR¬ or ~ 否定
NOT
含意
implies
上位集合
superset
同値
iff
| 否定論理積
NAND
全称量化
for all
存在量化
exists
? 恒真式
tautology
偽 false
/ 矛盾? 証明可能
proves? 論理的帰結
entails
従って
therefore
なぜならば
because


典拠管理データベース: 国立図書館

ドイツ

イスラエル

アメリカ


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