調査隊_(陸上自衛隊)
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陸上自衛隊調査隊(ちょうさたい、JGSDF Security Intelligence Corps)とは、陸上自衛隊に編制されていた組織の一つ。
目次

1 概要

2 任務

3 沿革

4 廃止時の編制

5 脚注

6 関連項目

7 参考文献

概要「情報保全隊#陸上自衛隊情報保全隊」および「自衛隊情報保全隊」も参照

防諜活動を主任務としており、防衛庁長官直轄の中央調査隊と各方面直轄の方面調査隊が編制されていた。しかしながら旧調査隊組織は指揮系統と業務系統が混在しており、2000年代初頭のボガチョンコフ事件や海幕3等海佐リスト事件などの秘密保全に関する事故の続発により、既存の態勢では十分な保全が確保できないことから中央に情報保全隊を編制し、これに各方面隊の調査隊を隷属させることで秘密保全の強化を図ることとした(隷下部隊に「方面」と冠しながら方面の直轄ではない、同様の編制は陸上自衛隊警務隊会計監査隊などがある)。

中央調査隊長は1等陸佐(一)、方面調査隊長は1等陸佐(二)が充てられ、調査派遣隊長は3等陸佐から1等陸尉が充てられていた。
任務

陸上幕僚監部1960年昭和35年)11月に作成した『治安行動(草案)』によると、「a.調査隊は、主として対情報活動を行い出動部隊の行動を支援する。b.調査隊員の派遣を受けた部隊は、対情報活動等について密に連絡するとともに、専門技術を必要とする事項に関して積極的にこれを活用する。」とある[1]。また、『治安行動(草案)』第三章には、情報収集活動や対情報活動における留意事項や注意事項が多数挙げられている[2]

調査隊は警察の協力を得て、『警備地誌』の作成を行っていた[3]。『警備地誌』は、陸幕が全国単位で作成した「陸幕地誌」、各方面隊が作成した「方面地誌」、各方面隊の中で幾つかの区域に分けて作成した「要域地誌」に分けられ、この三者によって『警備地誌』が作成される[4]。『警備地誌』は、防衛出動災害出動などの自衛隊の行動に際して重要と判断される地域の地理上の特性及びそれに軍事的な観察を加えたデータを収録しており[4]、第一部が地形、交通、航空、都市、通信。第二部が天候、気象、第三部が政治、経済、資源、社会、人文、第四部が警察、消防、重要施設というように詳細に分けられていた[5]。『警備地誌』は、自衛隊が戦闘作戦や治安出動をした際に国民を「敵」と「味方」に区別するための人別帳であり、全国の警備地域ごとに、日本共産党労働組合地方議会における議員の発言や、在日朝鮮人の思想や行動など、敵性分子を細かく調べ上げて作成された「危険人物リスト」だという[3]。『警備地誌』は戦前、旧陸軍憲兵隊が作成していた[3]

『警備地誌』作成などの情報収集活動の「着意すべき事項」として『治安行動教範』では、
「(a)地域の特性―政治・社会・交通・通信等を重視し、特に地域内の政党・組織団体、外国人等の組織、勢力、従来及び現在の活動状況、世論、社会情勢、経済上の特性等を考慮する。」

「(b)暴徒の状況―勢力配置はできるかぎり中核勢力、同調勢力等に区分し、更に将来新たに暴徒を増援すると思われる勢力について考慮する。また、首謀者、指導者等暴徒の主要人物の氏名、経歴、現在の地位等を明らかにする。」

「(c)住民等の状況―われ、あるいは暴徒に好意を有するか、又は中立的立場にあるか、その程度・規模はどうか、また指導的立場にある者は誰か、それはいかなる考えをもっているか等について明らかにする。」

と指示していた[5]

『警備地誌』の作成は、自衛隊法施行令(昭和二十九年政令第百七十九号)第十四条に「陸上自衛隊の方面隊の警備区域は、当該方面隊が警備実施計画の作成、警備地誌の調査及び作成若しくは警備情報の収集又はこれらの事項についての関係機関との連絡に関する事項を担当すべき区域とし、その名称、責任者及び区域は、別表第二のとおりとする。」と明記されている[6]

1954年(昭和29年)9月20日の朝日新聞に、自衛隊秋田駐在部隊調査班に所属する自衛官2人が秋田県庁労政課を訪れ、「治安維持上必要だから」と前置きして、各労組の今までの闘争状況と左翼系、右翼系の区別を問い質したことについて、秋田県の自衛隊調査班長は「上から命じられた調査項目に入っているから調べたまでで特別の理由はない。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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