調子の良い鍛冶屋
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ニコラ・ド・ラルメサン(フランス語版) (1684-1755) 筆「ゆかいな鍛冶屋」.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}.mw-parser-output .listen .side-box-text{line-height:1.1em}.mw-parser-output .listen-plain{border:none;background:transparent}.mw-parser-output .listen-embedded{width:100%;margin:0;border-width:1px 0 0 0;background:transparent}.mw-parser-output .listen-header{padding:2px}.mw-parser-output .listen-embedded .listen-header{padding:2px 0}.mw-parser-output .listen-file-header{padding:4px 0}.mw-parser-output .listen .description{padding-top:2px}.mw-parser-output .listen .mw-tmh-player{max-width:100%}@media(max-width:719px){.mw-parser-output .listen{clear:both}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .listen:not(.listen-noimage){width:320px}.mw-parser-output .listen-left{overflow:visible;float:left}.mw-parser-output .listen-center{float:none;margin-left:auto;margin-right:auto}}調子の良い鍛冶屋 (5:00)Musopenよりこの音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。ポータル クラシック音楽

『調子の良い鍛冶屋』(ちょうしのよいかじや、英語:The Harmonious Blacksmith)は、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルの『ハープシコード組曲第1集』第5番 ホ長調 HWV.430 の終曲「エア変奏」に付けられた通称。楽曲は、イングランド伝統のディヴィジョン様式で構成され、エアに続いて5つのドゥーブルが連なり、変奏の度ごとに旋律もしくは伴奏の音価が細分化されてゆく。すなわち、右手に16分音符が連鎖する第1変奏、16分音符の動きが左手に移る第2変奏、16分音符の三連符が右手に現れる第3変奏(第4変奏は同じ音型が左手に移動)、32分音符が両手に交互に現れる最終変奏、といった工合である。

日本では、「調子の良い鍛冶屋」という訳語が定着しているが、「調子の良い」はHarmoniousを翻訳したもので「音が調和している」の意味であり、リズミカルに調子がいいという意味ではない(ここでの「調子」は音調の意味)。別邦題として「愉快な鍛冶屋」と呼ばれるが勘違いの産物であろう。

また、鍛冶屋のハンマーの音はしばしばよく響くところから、軽快にハンマーを叩く「よく響く鍛冶屋」とも解釈できる。
『ハープシコード組曲第1集』第5番 ホ長調 HWV.430

ハープシコード組曲第1集(出版1720年)の8曲中の第5曲。下記の4楽章からなる。
Praeludium(前奏曲

Allemande(アルマンド

Courante(クーラント

Air with 5 variations(エア変奏)?通称「調子の良い鍛冶屋」

1720年の「8つの組曲」

ヘンデルは、1720年に、8曲からなる最初のハープシコード組曲を出版し、次のような序文を寄せた。以下の「レッスン」を出版することができたのは、それらの不正な海賊出版が横行したお蔭である。この曲集がもっと重宝して、好ましい反応を得られるように、新たな版ではいくつかの新曲を付け加えた。今後とも版を重ねて参りたい。寛大な庇護を与えてくださる皆さんのお役に立てることこそが、非才なる小生の務めと観ぜられた次第である。 ?  1720年版へのヘンデルの緒言[1]
通称

なぜ「調子の良い鍛冶屋」という通称が付いたのか、また誰がそう呼び始めたのかに関しては、数々の説明がなされてきた。この呼び名は、ヘンデルが付けたのではないし、この変奏曲が単独で有名になる19世紀初頭までは、記録にも現れない(死後もイングランドではヘンデルの作品がずっと有名だったとしても、この曲だけはとびぬけて有名だったということは特筆すべきであろう)。
偽りの由来ウィリアム・パウエルの人騒がせな記念碑

ヘンデルが、1717年から1718年までキャノンズのシャンドス公爵に仕えていた頃、鍛冶屋の軒下で雨宿りをしていたところ、ハンマー金床を撃つ音に霊感を受け、旋律を思い付いて書き留めたとする逸話がある。第1変奏において規則的に反復される保続音(右手のロ音)が、鍛冶職人鉄鎚の音を連想させうるからである。この話の変形に、ヘンデルは鍛冶屋が口ずさんだ旋律を耳にして、その後「エア(旋律主題)」にしたというものがある。この説明は、旋律を借用するというヘンデルにはよくある手法と見事に合致する。

だが、どちらの話も真実ではない。この手の伝説は、ヘンデルの死後75年を経て現れた、リチャード・クラーク(Richard Clark)の著書『ヘンデルの回想(Reminiscences of Handel)』(1836年)が出所なのである。当時ヘンリ・ワイルド(Henry Wylde)とクラークは、ウィットチャーチ近隣の鍛冶屋の工房で古びた金床を見つけると、ウィリアム・パウエルこそが件の「鍛冶屋」であるとのデマをでっち上げた。だが、実のところパウエルは、教会牧師だったのだ。ワイルドとクラークは、寄付を募ってパウエルの木製の記念碑さえ建てた。1868年には、今度はウィットチャーチの住民が壮大な墓碑を建てた。これは今も存在しており、碑文には次のようにある。調子の良い鍛冶屋ことウィリアム・パウエルを偲んで。1780年2月27日埋葬、78歳。不滅のヘンデルが当教会のオルガニストであった頃、(パウエルは)牧師だった。

ヘンデルは、セント・ローレンス教会のオルガン奏者だったためしはなく、1720年にチェンバロ組曲を作曲した頃は、まだキャノンズにはおらず、チェシャー州のアドリントン・ホールにいたのである。
真説「調子の良い鍛冶屋」


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