数学において、調和平均(ちょうわへいきん、英: harmonic mean, subcontrary mean)とは、いくつかある広義の平均のうちの一つである。典型的には、率(割合・比率)の平均が望まれているような状況で調和平均が適切である。
正の実数について、調和平均は逆数の算術平均の逆数として定義される。例えば、3つの数 1, 2, 4 の調和平均は次のようになる: 3 1 1 + 1 2 + 1 4 = 1 1 3 ( 1 1 + 1 2 + 1 4 ) = 12 7 . {\displaystyle {\frac {3}{{\frac {1}{1}}+{\frac {1}{2}}+{\frac {1}{4}}}}={\frac {1}{{\frac {1}{3}}({\frac {1}{1}}+{\frac {1}{2}}+{\frac {1}{4}})}}={\frac {12}{7}}.} 正の実数 x1, x2, …, xn について、調和平均 H は H = n 1 x 1 + 1 x 2 + ⋯ + 1 x n = n ∑ i = 1 n 1 x i = n ∏ j = 1 n x j ∑ i = 1 n ∏ j = 1 n x j x i {\displaystyle H={\frac {n}{{\frac {1}{x_{1}}}+{\frac {1}{x_{2}}}+\cdots +{\frac {1}{x_{n}}}}}={\frac {n}{\sum \limits _{i=1}^{n}{\frac {1}{x_{i}}}}}={\frac {n\prod \limits _{j=1}^{n}x_{j}}{\sum \limits _{i=1}^{n}{\frac {\prod \limits _{j=1}^{n}x_{j}}{x_{i}}}}}} と定義される。これは逆数の算術平均の逆数であり、 n H = ∑ i = 1 n 1 x i = 1 x 1 + 1 x 2 + ⋯ + 1 x n {\displaystyle {\frac {n}{H}}=\textstyle \sum \limits _{i=1}^{n}\displaystyle {\frac {1}{x_{i}}}={\frac {1}{x_{1}}}+{\frac {1}{x_{2}}}+\cdots +{\frac {1}{x_{n}}}} と書ける。 重み
定義
重み付き調和平均
重み付き調和平均で重みがすべて 1 の特別な場合が、上で定義した(通常用いられる)調和平均である。重みがすべて等しい任意の集合に対する重み付き調和平均は、調和平均に等しい。 調和平均は一般化平均(英語版
位置付け
調和平均は、典型的には率や比に対する平均を考える場合に適切である。例えば速度の平均を計算することを考えると、乗り物がある距離を時速 60 km で走りそれから同じ距離を時速 40 km で走った場合、全体の走行時間と走行距離から求められる平均速度は調和平均の値である時速 48 km であって、算術平均によって求められる時速 50 km を平均とするのは適切ではない。もっとも、調和平均が適切な場合でもしばしば誤って算術平均が用いられる[1]。
他の平均との関係2数 a, b の3種のピタゴラス平均の幾何学的構成。H によって示されている紫色の線が調和平均を表す。A, G はそれぞれ算術平均、幾何平均を表す。また、Q は二乗平均平方根を表す。
正の実数の集合に対して、調和平均を H, 算術平均を A, 幾何平均を G とすると、3つの平均の間には関係 H ? G ? A が成り立つ。平均を取る数の値がすべて等しいとき、かつそのときに限り、3つの平均は等しくなる。
また、2数 x1, x2 について考えると、調和平均は H = 2 x 1 x 2 x 1 + x 2 {\displaystyle H={\frac {2x_{1}x_{2}}{x_{1}+x_{2}}}}