誘導馬
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園田競馬場の名物誘導馬として知られたマコーリー

誘導馬(ゆうどうば)とは、競馬場において競走が行われる際に、パドックや馬場において競走馬を先導する馬のことである。主に芦毛白毛の馬が用いられる事が多い。
概要
日本における誘導馬

日本においては、パドックから本馬場まで出走馬を先導する役割が与えられ、誘導馬は多くの場合、隊列の先頭と最後尾を歩く。通常先導役は1頭であるが、中央競馬のGI競走においては3頭の誘導馬が先導を担う。また、国際競走で外国馬が出走する場合には、先導役とは別に、出走する競走馬の調教国の国旗を携えた誘導馬も合わせて入場する。競走馬以外にもイベントとして馬場で行われるパレード楽隊などの先導や、レース開始前に観客を入場ゲートで出迎えるグリーディング役を務めることもある。

また、日常的に馬場管理のために巡回する職員が乗用し、放馬などのアクシデントが発生した場合は当該の馬をなだめて落ち着かせる役も担う場合があるなど、その任務は単なる先導役にとどまらず、非常に幅広いものがある。

戦後の日本の競馬において、最初に誘導馬による先導を行ったのが大井競馬場である[1]

担当馬にはかつて競走馬だった馬のうち、性格的に温和で毛色が芦毛黒鹿毛尾花栗毛白毛など見栄えのするものが選ばれることが多い(トウショウファルコホワイトベッセル、シロニイなど)。また、重賞競走の優勝馬・入着馬など優秀な成績を残しながらも種牡馬にならなかった馬や現役時代に話題性があった馬(ヨシオ、ショーグンなど)の様に、その知名度も勘案して選ぶこともある。近年では平地GI(JpnI)競走優勝馬でも種牡馬の余剰傾向から種牡馬入りが叶わなかったことで、誘導馬に転向するケースも多い。このケースでは2006年にNHKマイルカップを制したロジックが初の事例[2]であり、その後はマイネルホウオウビートブラックサクセスブロッケンローマンレジェンドペルシアンナイトフィールドルージュカゼノコミツバボンネビルレコード(大井)、ミューチャリー(船橋)などが誘導馬としてデビューしている。

なお、地方競馬の競馬場では競走馬経験のない馬が誘導馬を務めるケースや、元競走馬ではなく当初から誘導馬として導入されたクォーターホース種などが用いられている場合もあるが、2007年以降は経営状況の悪化に伴い、誘導馬の起用をやめたり、出番を減らしたりする競馬場も増えた[3] [4]

誘導馬に騎乗するのは競馬場の職員や乗馬クラブの所属者[5]で、また、川崎や浦和の様にトレーニングセンターが別にあり普段馬がいない競馬場では開催日の必要に応じて周辺地域の乗馬クラブから人馬をまとめて用立てるケースもある。川崎競馬場では誘導馬に着物を着せるなど、季節やイベントに合わせて様々なコスプレを纏って先導する「コスプレ誘導馬」も名物となっている(騎乗者も季節・イベントに応じた衣装で騎乗する)[6][7]。近年の中央競馬ではGIレース時にゲストとして招かれた芸能人が騎乗することもあるほか、重賞で競馬関係者が騎乗する例もある。2011年新潟記念では新潟馬主協会会長の飯塚知一が、また2023年チューリップ賞では同日に引退式を執り行う福永祐一がかつて騎乗経験のあるミツバに、同年の京都ジャンプステークスでは同日に引退式を執り行う熊沢重文がシベリアンスパーブにそれぞれ騎乗し、地方競馬でも同年3月3日の川崎競馬「酒井忍引退記念」では同日引退セレモニーを執り行う当人が、それぞれ誘導馬として騎乗した[8][9][10][11]

なお、中央競馬の誘導馬が在厩中に死亡した場合、そのことを公表することは少ないが、人気の高かった馬の場合、例外として公表される場合がある(ホワイトベッセル[12]トウカイトリック[13][注 1]、ヨシオ[14]など)。
海外における誘導馬

隊列の先導よりも、出走馬の精神を落ち着かせたり、アクシデントに備える目的で存在する。ことにアメリカでは本馬場入場時に「リードポニー」と呼ばれる馬たち(慣例的にポニーと呼ばれているが、ポニー以外の馬も務める)が、出走馬の所有者が希望した馬すべてに同行し、個別にその脇に付くことによって馬の興奮を和らげる役目を担っている。また、放馬などの際にその捕獲に当たったり、大レースのあとに勝利騎手に行われる馬上インタビューに駆り出されたりと、「飾り」の印象が強い日本の誘導馬に比べてその任務は非常に多岐に渡っている。競馬評論家の須田鷹雄は、大学時代にJRAの馬場保守員のアルバイトをしていた経験を踏まえ、日本競馬へのリードポニーの導入を主張し続けている。
主な現役誘導馬

2024年5月現在の現役誘導馬で、Wikipediaに項目がある馬、競走馬時代に重賞レース勝利や上位入線経験がある馬、特筆すべき経歴を持つ馬について記載。JRAの競馬場における現役の全ての誘導馬については、外部リンクの各競馬場の誘導馬紹介を参照されたい。
札幌競馬場

トウカイパラダイス(2012年
目黒記念2着、2014年産経大阪杯2着)

マイネルレーニア(2006年京王杯2歳ステークス、2008年スワンステークス

モンストール(2011年新潟2歳ステークス

ライトオンキュー(2019年京阪杯

函館競馬場

ガンコ(2018年日経賞

クリンチャー(2018年京都記念、2020年みやこステークスなど)

サイモントルナーレ(2013年丹頂ステークス)

ショウリュウイクゾ(2021年日経新春杯

福島競馬場

エアアンセム(2018年函館記念

クレッシェンドラヴ(2019年福島記念、2020年七夕賞

ショウナンアンセム(2019年高松宮記念3着)

ショウナンワダチ(2014年ニュージーランドトロフィー2着)

トーラスジェミニ(2021年七夕賞)

新潟競馬場

オースミムーン(2013年東京ハイジャンプなど障害重賞6勝)

ダークシャドウ(2011年毎日王冠エプソムカップ

ユールシンギング(2013年セントライト記念、2014年新潟大賞典

クルーク(ノームコアクロノジェネシスの弟)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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