出演者などによる解説をする音声トラックについては「オーディオコメンタリー」をご覧ください。
解説放送(かいせつほうそう)は、主に視覚障害者向けにテレビジョンの音声多重放送を使って場面の解説を放送するテレビ番組のことである。 日本では、1983年3月1日に日本テレビ放送網『火曜サスペンス劇場 狙われた美人キャスター』[1]で試験的に開始されたのが最初の事例である。1990年にNHKでも総合テレビの「連続テレビ小説」から、段階を追って開始された。 アナログ放送末期は、前述の番組以外では主に視覚障害者や身体障害者を取り上げた番組に特化していたが、2000年に衛星放送で始まったデジタルテレビ放送では、これまで技術的に不可能であったステレオ音声での2重音声放送が可能となったことや、バリアフリー推進の観点から、ドラマやトーク番組を中心にデジタル放送のみでの解説放送を開始する番組が増えた。特にNHKは総合テレビで放送するドラマ番組の大半は解説入りとなった[2](海外作品系は除く)。 ほぼすべてが収録番組で実施されるが、NHKのパラリンピックの生放送やEテレの一部の生放送番組(福祉番組)では解説放送(「リアルタイム解説放送」)が実施される[3]。 主に視覚障害者を支援するためのものであるが、その他にも家事などのためにテレビの近くにいることができないときや、カーナビのテレビ機能で運転のため画面を注視できないときにも解説放送があれば状況を知ることができる手段といえる[4]。 新聞のテレビ欄では、東京ニュース通信社配信の物は番組タイトル前に「解」(解説放送の略)、日刊編集センター配信の物は番組タイトル前に「多」(音声多重放送の略)と表記される。ただしアナログ放送時代は一律「多」のみで、新聞社により「目の不自由な方のための解説」と入れていた(特に日テレの2時間番組が多かった)。 2010年代後半から日本でもサービスを開始している定額制動画配信サービスでも順次導入されており、解説放送に対応している映画やテレビ番組などには「AD」(Audio Descriptionの略)が表示される[5]。2021年からは日本の民放局などが運営するテレビ番組無料動画配信サービス「TVer」でも導入しており、こちらでは単に「解説放送版」と表示されている。 ▽上記の番組ともNHKワールド・プレミアム(海外向けテレビ番組配信)を除く ▽上記の番組ともNHKワールド・プレミアム(海外向けテレビ番組配信)を除く
概要
現在実施されている主要番組
以下に挙げる番組以外でも視覚障害者・身体障害者を題材にした番組などで解説放送を加える場合がある。
日本放送協会(NHK)
総合テレビ・衛星放送(衛星第2・衛星ハイビジョン放送→BSプレミアム)
連続テレビ小説(『凛凛と』より(デジタル放送は「オードリー」[6] の途中より)、衛星ハイビジョン、デジタル衛星第2テレビ、デジタルBSプレミアム、デジタル総合テレビはステレオ2音声での放送 2011年度からのダイジェスト版の放送には解説放送がない)
NHK大河ドラマ(『葵 徳川三代』[6] の途中より、ステレオ2音声で、衛星ハイビジョン、デジタル衛星第2テレビ、デジタルBSプレミアム、デジタル総合テレビのみ)
みんなの体操(総合、平日9:55)
先どり きょうの健康
ドラマ10(2011年度より デジタル総合のみ)
土曜時代ドラマ(前身の金曜・(第一次)土曜・(第一次・第二次)木曜時代劇も含む。デジタル総合のみ)
土曜ドラマ(デジタル総合のみ。一部の視覚障害者を扱った作品はアナログもモノラル副音声で解説放送をした)
よるドラ
BS時代劇(BSプレミアム)
鶴瓶の家族に乾杯(2011年4月より。ステレオ2音声での放送)
プロフェッショナル 仕事の流儀(2013年10月より。ステレオ2音声での放送)
歴史秘話ヒストリア(2013年4月より。ステレオ2音声での放送。以前も2012年2月29日放送で実施)
COOL JAPAN?発掘!かっこいいニッポン?(BS1)
新・プロジェクトX 挑戦者たち(2024年度より。ステレオ2音声での放送)
グッと!スポーツ(2016年5月までは不定期、翌6月より毎回実施)
ドキュメント72時間(2017年度より)
ファミリーヒストリー(2017年度(10月5日放送)より)
もふもふモフモフ
サラメシ(2018年度より)
小さな旅(2019年4月7日より)
ダーウィンが来た!(2019年4月7日より)
ザ・プロファイラー ?夢と野望の人生?(BSプレミアム、2019年10月3日より)
ニッポンぶらり鉄道旅(BSプレミアム、2020年4月より)
千鳥のスポーツ立志伝(BS1、2020年10月より)
あしたが変わるトリセツショー
探検ファクトリー
教育テレビ
きょうの健康(きょうの健康Q&A(2010年度終了)は生放送で行っていない)
チョイス@病気になったとき
日曜美術館
NHK人間講座→知るを楽しむ
学校放送番組(大半)
日本の話芸
ろうを生きる 難聴を生きる(以前は盲ろう者を扱った回のみで実施していたが、2014年より毎回実施)
ハートネットTV(2012年4月の放送開始より不定期で実施。2015年頃より生放送でも随時実施)
バリバラ?障害者情報バラエティー?(2012年4月の放送開始より。2016年度より生放送でも実施)
団塊スタイル→あしたも晴れ!人生レシピ(2012年4月の放送開始より)
趣味Do楽→趣味どきっ!
東北発☆未来塾(2012年4月の放送開始より)
100分de名著(2012年4月の放送開始より)
先人たちの底力 知恵泉(2013年4月の放送開始より)
なりきり!むーにゃん生きもの学園 (レギュラー放送より)
ミミクリーズ (2016年度より)
オイコノミア(2016年度より)
ふるカフェ系 ハルさんの休日(2016年4月の放送開始より)
猫のしっぽ カエルの手(2017年度より)
やまと尼寺 精進日記(2017年度の放送開始より)
オドモTV
又吉直樹のヘウレーカ!
ねほりんぱほりん(2019年10月より)
グレーテルのかまど(2020年4月より)
ふるカフェ系 ハルさんの休日(2020年4月より)
サイエンスZERO(2020年4月より)
民間放送
特記のないものは地上波のみの実施で、系列のBSデジタル放送では実施していない。
日本テレビ系列
24時間テレビスペシャルドラマ(毎年8月後半の年1回=初日・土曜日の21時台から約2時間程度。ステレオ2音声)
それいけ!アンパンマン(2008年4月4日放送の第933回より実施。ステレオ2音声。レギュラーのアニメ番組では初の解説放送番組)
笑点(2009年10月4日放送の第2184回より実施。ステレオ2音声)
金曜ロードショー(2013年夏ジブリ特集以降より実施。スペシャルドラマ・邦画のみ。洋画などの海外映画は2か国語放送を実施するため実施なし。)
水曜ドラマ→土ドラ9(2017年10月期放送の『奥様は、取り扱い注意』から実施)
土ドラ10(2004年4月期放送の『仔犬のワルツ』と2017年10月期放送の『先に生まれただけの僕』から実施。前者は21時時代、後者は22時移動後。)
日曜ドラマ(2017年10月期放送の『今からあなたを脅迫します』から実施)
名探偵コナン(読売テレビ制作、2013年8月24日放送のデジタルリマスター版『テレビ局殺人事件』より実施。デジタルリマスター版(事実上再放送)の放送回のみ)
遠くへ行きたい(2014年度より不定期で実施、2015年度より毎回実施。読売テレビ制作、ステレオ2音声。一部の遅れネット局は除く。当初は先行ネット局の日本テレビと読売テレビ同時ネット局のみ実施)
キユーピー3分クッキング(2015年9月2日放送分より実施)
ぶらり途中下車の旅(2015年10月3日放送より実施。ステレオ2音声)
東野・岡村の旅猿 プライベートでごめんなさい…
グッと!地球便(読売テレビ制作、2016年11月20日放送より不定期で実施。一部の遅れネット局は除く)
NNNドキュメント(2017年10月8日放送より実施。2023年10月からはBS日テレでも実施)
日テレアップDate!(2017年10月8日放送より実施)
こどもちょうせんバラエティ いろりろ
PS純金(中京テレビ制作、2023年4月7日放送より実施)※全国28局ネットで放送中「ヒューマングルメンタリー オモウマい店」の基になった番組
満天☆青空レストラン
▽日本テレビ系列の複数社提供番組では、提供クレジットにおいては第1音声と第2音声とのアナウンサーの提供読みが分かれており、2017年9月までは第1音声では通常通り「この番組(放送)はご覧のスポンサーの提供でお送りします(しました)」もしくは「○○(読み上げ社名)とご覧のスポンサーの提供でお送りします(しました)」となっていても、第2音声では全てのスポンサー名が読み上げられていた。翌10月以降は、第2音声では第1音声をベースとした読み上げで「この番組(放送)は各社の提供でお送りします(しました)」もしくは「○○(読み上げ社名)ほか各社の提供でお送りします(しました)」を適用している。それ以外の番組では実施されない。
テレビ朝日系列
徹子の部屋(不定期。地上波ではステレオ2音声。過去に放送された回の再放送を行うテレ朝チャンネルと朝日ニュースターではモノラル二重音声。初放送は加山雄三をゲストに迎えた2008年7月7日。民放BS初の解説放送番組(なおBS朝日では2012年の打ち切りまでは実施していたが、2015年の再開では実施せず))