解熱鎮痛薬
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鎮痛剤(ちんつうざい、: Analgesic)とは、痛みに対する鎮痛作用を有する医薬品の総称。口語で痛み止め。感覚をなくす麻酔薬とは区別される。

鎮痛剤は、中枢神経系末梢神経に対し様々な機序で作用する。鎮痛剤の主なものに、アセトアミノフェン(国際一般名パラセタモール)や、サリチル酸アセチルサリチル酸(アスピリン)、イブプロフェンロキソプロフェンのような非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、モルヒネトラマドールのようなオピオイドが含まれる。

鎮痛剤は痛みの種類によって選択され、神経因性疼痛では、三環系抗うつ薬抗てんかん薬など、鎮痛薬に分類されていないものが使用されることがある。セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬I(SNRI)として知られるデュロキセチン(サインバルタ)は、疼痛の適応が承認されている。目次

1 用語

2 主な鎮痛剤

2.1 アセトアミノフェンとNSAIDs系薬剤

2.2 COX-2抑制剤

2.3 オピオイド

2.4 特異的な薬剤


3 剤型と用途

3.1 併用

3.2 局所か全身か

3.3 向精神薬

3.4 非定型、鎮痛薬の補助や増強


4 依存

5 研究中の鎮痛剤

6 鎮痛補助薬

7 出典

8 脚注

9 関連項目

10 外部リンク

用語

鎮痛剤を意味する英語 analgesic は、ギリシャ語で「?無しで」を意味する an- と、「痛み」を意味する -algia の合成語である。あるいは、英語圏では口語的に痛み止め(painkiller)と呼ばれる。
主な鎮痛剤
アセトアミノフェンとNSAIDs系薬剤詳細は「非ステロイド性抗炎症薬」を参照

アセトアミノフェン(国際一般名パラセタモール)の正確な作用機序は分かっていない。しかし、中枢神経に働きかけているということはうかがえる。アセチルサリチル酸など非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、シクロオキシゲナーゼの作用を阻害し、炎症のメディエーターであるプロスタグランジンの生成量を減少させる。アセトアミノフェンとオピオイドとは対照的に、この作用が痛み、更には炎症を抑える。

アセトアミノフェンは、低頻度で低用量であれば安全とみなされるが、そうでない場合、致命的な肝機能障害を引き起こす可能性がある。

NSAIDsには、ジクロフェナクロキソプロフェンフェルビナクフルルビプロフェンも挙げられる。NSAIDsは、消化性潰瘍腎不全アレルギー反応、また高用量で耳鳴りを引き起こすことがある。また、血小板の機能にも影響を与えるので出血の危険性が増す可能性がある。ウイルス性疾患にかかった16歳以下の子どもに対するNSAIDsの使用は、ライ症候群を引き起こすことがある。
COX-2抑制剤

COX-2阻害剤はNSAIDから派生している。1990年代以降注目を集めた。NSAIDsはシクロオキシゲナーゼという酵素の、少なくとも2つのアイソザイムを阻害することが分かっており、それはCOX-1、COX-2である。研究によって、NSAIDsの副作用のほとんどはCOX-1を遮断することによって起きており、COX-2は炎症作用にかかわっていることがわかった。NSAIDsは、一般的にCOX-1とCOX-2の両方の働きを阻害する。このためCOX-2のみを選択的に阻害する薬剤を創れば、胃痛などの副作用のない優れた消炎鎮痛剤になると考えられた。

ロフェコキシブセレコキシブなど、これに分類される薬品は、NSAIDsと等しい鎮痛効果を持ちながら消化管の出血が起こりにくいとされ、ベストセラーとなった。しかし発売後のデータ分析によって、消化管出血は起こりにくいものの心疾患の確率が上昇することがわかり、ロフェコキシブは市場から回収された。これがロフェコキシブのみのことなのか、それともCOX-2阻害剤全体に共通する副作用であるのかについて、現在議論されている最中である。
オピオイド詳細は「オピオイド」および「麻薬#オピオイド危機」を参照

モルヒネは典型的なオピオイドであり、ほかに様々な薬物(コデインオキシコドンヒドロコドンペチジン)は全て、脳のオピオイド受容体に同じように影響を及ぼす。


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