角換わり
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角換わり(かくがわり、: Bishop Exchange[1])は、将棋の代表的な戦法の一つ。序盤でを交換した後に駒組みを進める指し方であり、互いに角を打ち込まれないよう気を配る相居飛車の戦法。腰掛け銀棒銀早繰り銀など様々な仕掛けがある。プロ間においては腰掛け銀の採用率が高いが、近年ではソフトによる研究の進展により駒組みや仕掛けの主流に著しい変化が見られている。
戦法の概要

多くの場合、右銀の使い方により急戦持久戦かが決まる。棒銀や早繰り銀などの駒組みは急戦志向、腰掛け銀や右玉などは持久戦志向となる。但し腰掛け銀の中にも専守防衛型やバランス型など様々な形があり、一概に急戦・持久戦を区別しにくい。.mw-parser-output .shogi-diagram{padding:0.5em;width:240px;margin:0.25em;text-align:center;background-color:#f9f9f9;border:#b0b0b0 1px solid}.mw-parser-output .shogi-diagram-left{float:left;margin-right:1em;clear:left}.mw-parser-output .shogi-diagram-right{float:right;margin-left:1em;clear:right}.mw-parser-output .shogi-diagram-center{margin-left:auto;margin-right:auto;clear:both}.mw-parser-output .shogiboard-wrapper{padding-left:4px;padding-bottom:2px}.mw-parser-output .shogiboard-header,.mw-parser-output .shogiboard-footer{font-weight:bold;font-size:14px}.mw-parser-output .shogiboard-table{border-collapse:collapse;border:#f9f9f9 1px solid;margin:0 auto 0.5em auto;background-color:white}.mw-parser-output .shogiboard-table .shogi-piece{width:22px;height:22px;padding:0;line-height:0;vertical-align:middle;border:black 1px solid;font-size:18px;font-family:"Hiragino Mincho ProN",serif}.mw-parser-output .shogiboard-table .shogiboard-collabel,.mw-parser-output .shogiboard-table .shogiboard-rowlabel{width:22px;height:22px;background-color:#f9f9f9;font-size:11px}.mw-parser-output .shogiboard-table .piece-gote{transform:rotate(180deg)}.mw-parser-output .shogiboard-table .piece-promoted{color:#E00303}.mw-parser-output .shogiboard-table .piece-bold{font-weight:bolder;font-family:"HiraginoSans-W5",sans-serif}△持駒 角

987654321 
香桂 金王  桂香一
 飛    金  二
歩 銀歩歩歩銀歩 三
  歩   歩 歩四
 歩     歩 五
  歩    銀歩六
歩歩銀歩歩歩歩  七
  金    飛 八
香桂  玉金 桂香九
▲持駒 角
先手棒銀 対 後手早繰り銀△持駒 角

987654321 
香飛     桂香一
   王金 金  二
  桂銀 歩 歩 三
歩 歩歩歩銀歩 歩四
 歩     歩 五
歩 歩歩銀歩歩 歩六
 歩銀 歩 桂  七
  金玉 金   八
香桂     飛香九
▲持駒 角
先手腰掛け銀 対 後手右玉

一般的には先手から仕掛け、後手はカウンターを狙う。千日手に至れば先後交替で指し直しになるが、厳密には先手であること自体が僅かながら有利とされているため、後手は千日手に持ち込めば成功とみなされる。したがって「カウンター狙いの後手に対して先手が攻め切れるのか」が長年研究され続けている角換わりのテーマである。先手の勝率が比較的高い戦法の一つであり、この戦法を得意とする代表的なプロ棋士として、谷川浩司丸山忠久などが挙げられる。

角換わりにおいて5筋の歩を突くと、△3九角(後手なら▲7一角)から馬を作られるなど自陣に隙が生じやすい。そのため「角換わりには5筋を突くな」という格言がある。
出だしの手順

様々な手順が存在するが、▲7六歩△8四歩▲2六歩△3二金▲2五歩△8五歩▲7七角△3四歩▲6八銀△7七角成▲同銀△2二銀と進むのが一般的。従来は9手目で▲8八銀としていたが、近年では指し手の選択肢を増やす▲6八銀が多くなっている。

先手が飛車先を保留する場合は、5手目で▲7八金と指す。後手が10手目で△4二銀と変化することもできるが、その場合は先手から▲2二角成と角交換をおこなう。△同金の一手に▲7七銀と進み、いずれ後手は壁金を解消する△3二金を指さなければならず、上述の手順と同型になる。

途中で先手が角を7七に動かした一手に対して、後手が角交換をおこない一手を無駄にしているので、双方に手損はない。なお、後手のほうから手損をおこなう後手番一手損角換わりといった戦法も存在する。
角換わり▲4五桂急戦△持駒 角

987654321 
香桂 金   桂香一
 飛 銀 王金  二
歩歩 歩歩歩銀歩歩三
  歩   歩  四
     桂 歩 五
  歩   歩  六
歩歩銀歩歩歩  歩七
     銀 飛 八
香桂 金玉金  香九
▲持駒 角
4五桂急戦の一例

2010年代に普及した新たな急戦策であり、先手がいきなり右桂を4五に跳ねて速攻を狙う指し方。「角換わりポンポン桂」「桂ポン」などとも呼ばれる。一見すると先手の攻めが単純そうに思えるが、後手も正しく受けるのは容易ではない。特に右図は△7四歩型であるため、下記の▲5五角が飛車取りになるのも大きい。

図から△4四銀ならば、先手は▲4六歩の他に▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲3四飛△4五銀▲3二飛成△同玉▲5五角の強襲も考えられる。よって△2二銀と引くが、▲2四歩△同歩▲同飛△7三銀▲5五角△2三歩▲3四飛という実戦例があり、結果も先手が勝利している。いまや角換わりは、ここまで早い段階で警戒が必要になっている。
戦法の歴史

角換わりの中でも、半世紀以上の研究が続けられているのが、先後同型の角換わり腰掛け銀である。この戦法の研究を軸として、角換わり棒銀などを含めた他の戦法の歴史も推移していった。

したがって以下、角換わり腰掛け銀の歴史を中心に述べる。
木村定跡詳細は「木村定跡」を参照

プロの角換わりは指し手が限定されるため、両者が慎重に駒組みを進めていく。その結果、40手目△2二玉までに駒組みが限界にまで達して手詰まりになる。ここで先手が攻めなければ膠着状態に陥り千日手なので、41手目に先手が攻撃開始を余儀なくされる。この攻めが成立するかが角換わり戦法の焦点となった。昭和30年代、この形に結論を出したのが木村義雄であった。現在では41手目から▲4五歩以下の先手の攻めは、後手の投了近くまで研究がなされている。この41手目からの一連の指し手は木村定跡と称される。第1図 角換わり相腰掛け銀の先後同形
△持駒 角

987654321 
香     王桂香一
 飛  金 金  二
  桂 歩 銀歩 三
歩 歩歩銀歩歩 歩四
 歩     歩 五
歩 歩歩銀歩歩 歩六
 歩銀 歩 桂  七
  金 金  飛 八
香桂玉     香九
▲持駒 角
38手目△7三桂まで第2図 待機策
△持駒 角

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香桂    王桂香一
 飛   金金  二
    歩 銀歩 三
歩 歩歩銀歩歩 歩四
 歩     歩 五
歩 歩歩銀歩歩 歩六
 歩銀 歩 桂  七
  金 金  飛 八
香桂玉     香九
▲持駒 角
38手目△4二金まで

木村定跡で先手が優勢以上になるため、絶対に後手はこの形にできない。そのため39手目の▲8八玉の後、後手から攻め込まざるを得えない。40手目に△6五歩とすると、木村定跡の応用で後手が指せることが分かった。つまりこの定跡は、▲8八玉の疑問手に後手が△2二玉の大悪手で返す形が前提であった。よって双方が矢倉囲いの中に玉を動かす前である39手目(第1図)に先手が攻め込んだらどうなるかが課題となった。1960年代にはまだ精緻な研究が成されていなかったものの、当時から若干先手が指せるという見解が強かった。そのため、後手はひたすら千日手を狙う専守防衛の構えをとった。様々な待機策が検討された結果、38手目で△4二金(第2図)とするのが最も千日手になりやすいことが分かった。以下は▲8八玉△2二玉▲4八飛△6五歩が進行の一例。この後手陣の撃破が困難であり、第1図の局面は見られなくなった。

どうしても先手が攻めて後手が受けに回るという展開がはっきりしていることもあり、先手の作戦に対してすべて対応する必要があるが、過去にある重要手順や定跡は一通り後手の受けが確立し研究も進んでおり、新たな手順がなければ先手をもって確実には攻めきれないことも分かっている。このため数十年以上長きにわたり指されているということで、それだけ難しい戦法とされている。藤井猛は「この将棋は何か1手新手が発見されるとがらりと評価が変わるため、後手も5割勝てると思わなければこの局面を避ける、棋士全員でこの局面を指せば先手の勝率は6割はいく、素人同士で指せば間違いなく先に攻めた方が有利となる」としている。
飛車先保留

角換わりの歴史に大きな影響を与えた新手が、昭和60年代に発見された5手目の▲7八金であった。歩を突かないことで、▲2五桂と跳ねる余地を作ったのである。後手が右桂を跳ねてきたら、▲2五歩△3三銀で第1図の局面に合流する。この手の発見によって、専守防衛を狙った陣形でも先手から打開することが可能になったため、よりカウンターの攻撃力が高い局面の戦型に回帰することになった。

一方的に攻められる上に主導権も握れない後手は、角換わりを採用する魅力を感じなくなった(佐藤康光のように、極力後手番でも角換わりを受けて立ち、なおかつカウンター狙いでなく攻撃姿勢をとっていた棋士もいるが、プロのなかでは少数派である)。後述する丸山新手が一時期先手必勝だと思われていたこと、さらに1990年代末に出現した横歩取り8五飛戦法が高い後手勝率を誇ったため、後手がわざわざ角換わりを受けて立つ必要もなく、角換わりの採用率は低下していた。この飛車先の歩突き保留は、後の一手損角換わりにも通じる発想であった。
丸山新手第3図 角換わり相腰掛け銀の先手の仕掛け
△持駒 角歩四

987654321 
香     王桂香一
 飛  金 金  二
  桂 歩    三
歩  歩銀銀歩歩 四
 歩歩  歩歩 歩五
歩  歩銀    六
 歩銀 歩 桂  七
  金 金  飛 八
香桂玉     香九
▲持駒 角

1992年度第34期王位戦予選▲丸山忠久 対 △米長邦雄で初めて指された。第1図から▲4五歩△同歩▲3五歩△4四銀▲1五歩△同歩▲2四歩△同歩▲7五歩△同歩と歩を突き捨てる。▲3五歩に△同歩と取ってしまうと後手にとって思わしくない展開になるため△4四銀とかわすのが定跡。この結果が第3図となる。以下▲2四飛△2三歩▲2九飛と進む。歩の突く順番は違えど、後述する富岡流(ヨニイナサン定跡)と同じ局面となる。後手は桂頭を受けるために△6三金は必然。ここで▲1二歩△同香▲1一角と打ち込むのが丸山新手である。△2二角には▲同角成△同玉で戦場に近付いてしまう。米長は△3五銀とかわしたものの結局丸山が快勝し、一気に研究が進んだ。その結果、▲1一角には△2二角しかない、それでも先手必勝だと考えられ、角換わりの先後同形は姿を消した。

それに待ったをかけたのが佐藤康光で、2001年度第27期棋王戦第4局▲羽生善治 対 △佐藤康光で▲1一角に△3五銀▲4五銀の交換を入れてから△2二角と打つ新手を披露した。


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