角度
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直交座標系で2つの赤い線によって形成される緑の角度

角度(かくど、: measure of angle, angle, plane angle )とは、角(かく、: angle)の大きさを表す測度のことである。

国際単位系におけるSI単位SI組立単位)はラジアンであり、計量法ではラジアン度 (角度)分 (角度)秒 (角度)の5つが法定計量単位となっている。

なお、平面角(en:plane angle)とならんで、これを3次元に拡張した立体角(en:solid angle)もある。

平面角(ラジアン)
radian
記号rad
国際単位系 (SI)
種類組立単位
平面角
組立m/m
定義円の半径に等しい長さの弧の中心に対する角度[1]
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度 (角度)
degree
記号°
非SI単位
種類SI併用単位
平面角、位相角[2]
定義円周を360等分した弧の中心に対する角度[3]
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概要

一般の平面角の大きさは、単位となる角の大きさの実数倍で表しうる[4]。角およびその角度を表す記号としては ∠ がある。これは角記号(かくきごう、: angle symbol)と呼ばれる(角度を表す単位記号ではない)。頂点 (Vertex) とそこから伸びる半直線 (Ray1, Ray2)。頂点周りの角度は、2つの半直線に挟まれる領域の大きさに対応する。

単に角という場合、多くは平面上の図形に対して定義された平面角(へいめんかく、: plane angle)を指し、さらに狭義にはあるから伸びる2つの半直線(はんちょくせん、: ray)によりできる図形を指す。平面角の角度は、同じ端点を持つ2つの半直線の間の隔たりを表すといえる。2つの半直線が共有する端点は角の頂点(かくのちょうてん、: vertex of angle)と呼ばれ、頂点を挟む半直線は角の辺(かくのへん、: side of angle)と呼ばれる[5][6][7]。また、直線以外の曲線などの図形がなす角の角度も、何らかの2つの直線のなす角の角度として定義される。より広義には、角は線や面が2つ交わって、その交点や交線の周りにできる図形を指す。線や面が2つ交わって角を作ることを角をなすという。ここでいう面は通常の2次元の面に限らず、一般には超平面である。

角が現れる基本的な図形としては、たとえば三角形四角形のような多角形(たかくけい、: polygon)がある。特に三角形は平面図形における最も基本的な図形であり、すべての多角形は三角形の組み合わせによって表現することができる。また、他にも単純な性質を多く持っているため、様々な場面で応用される。有名なものは余弦定理(よげんていり、: law of cosines)や、三角形のを通じて定義される三角関数(さんかくかんすう、: trigonometric function)などがある。余弦定理と三角関数は、三角形の角と辺の間に成り立つ関係を示したもので、これらの関係を利用して、三角形の辺の長さからある角の大きさを求めたり、大きさが既知の角から辺の長さや長さのを求めることができる。このことはしばしば三角形の合同条件(さんかっけいのごうどうじょうけん、: congruence condition of triangles)としても言及される。

角度に関連する物理学の概念として、位相(いそう、: phase)がある。位相はのような周期的運動を記述するパラメーターであり、その幾何学的な表現が角度に対応している。位相も角度と同様にラジアンが単位に用いられる。

立体的な角として立体角(りったいかく、: solid angle)も定義されるが、これは上記の定義には当てはまらない。その大きさは単に立体角と呼ばれることが多く、角度と呼ばれることはほとんどない。

以下、本項目においては平面角を扱う。
定義
直線のなす角

1つの定まった値の角度を伴う角とは、平面 α 上の 1 点 O とそれから出る2つの半直線とそれらにより平面 α が分割されて生じる2つの領域の一方 α1 からなる図形と定義できる。ただし後述のように、この定義は数学における主要な定義とは微妙に異なる。

2つの半直線が共有する端点 O を角の頂点、ある角の頂点から出る2つの半直線を角の辺という[5][6][7]

頂点 O から出る2つの半直線のなす領域 α1 上の、頂点との距離が r 以下の点のみを含む領域を取り出すと、この領域は頂点 O を中心とする半径 r の扇形となる。この扇形の大きさは有限であり、相似な図形の性質から、扇形の弧の長さは半径 r に比例することが知られている。従って、扇形は半径と弧の長さを特定できれば形を完全に特徴づけられるから、半径と弧長を利用して、半径 r を一定に保って弧長を変えた場合に、弧長に比例する量として角度を定義することができる。この場合、弧の長さと半径は比例関係にあるから、単純にその比例係数として角度を定義することができる。すなわち、半径 r, 角度 φ の扇形の弧長が半径 r と角度 φ の積 rφ に等しくなるように角度を定義する。角度 × 半径 = 弧長

この角度の定義は、直接的に半径と弧長の比を用いて表すこともできる。角度 ? .mw-parser-output .sfrac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .sfrac.tion,.mw-parser-output .sfrac .tion{display:inline-block;vertical-align:-0.5em;font-size:85%;text-align:center}.mw-parser-output .sfrac .num,.mw-parser-output .sfrac .den{display:block;line-height:1em;margin:0 0.1em}.mw-parser-output .sfrac .den{border-top:1px solid}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}弧長/半径

または角度 : 1 = 弧長 : 半径

角度を固定すれば、半径と弧長の比は一定であり、同じ角度を持つ扇形はすべて互いに相似である。従って、はじめに与えた頂点 O を挟む2つの半直線がなす領域 α1 に対しても扇形と同様に角度を与えることができる。すなわち、半直線のなす領域 α1 に対する角度は、その領域に含まれる、頂点 O を共有する扇形の角度に等しい。

上述のように決まった図形に対する角度を定義すれば、図形の変形を特徴づける量としても角度を用いることができる。はじめ、頂点 O を共有する2つの半直線が同じ場所に重なっている状態から、一方の半直線を、その端点を点 O から動かさずにその向きを変えるように動かすと、2つの半直線がなす領域 α1 は半直線の運動に応じて変形される。このとき、領域 α1 の角度の変化量として、動かした半直線の回転角を定義することができる。言い換えると、ある1つの半直線の向きを変えた場合に、変える前と変えた後の位置にある半直線のなす角がその半直線の回転角である。この観点からは角度は2つの半直線の開き具合を示す量ともいえる。実際、このような回転から角および角度を定義している事典もある[8]

上記の点 O と2つの半直線が定まると、それらにより平面 α が分割されて生じる2つの領域 α1, α2 にそれぞれ対応して2つの角が生じる。この2つの角のうち角度が大きいほうを優角[9][10][11][7][12]、小さいほうを劣角[11][7][13]と呼ぶ。明らかにどんな一組の頂点と2辺についても、その優角と劣角との角度の和は、2π で一定である。

平面 α 上の1点で交わる2つの直線は平面 α を4つの領域に分け、それぞれの領域に対応する4つの角が生じる。これら4つの角を、この2つの直線のなす角という。1点で交わる2つの直線は同一平面上にあるので、"平面上の"という条件は実は必要がない。

ダフィット・ヒルベルトがその著書の『幾何学基礎論』において示した公理系(英語版)[5]では、「端点を共有する 2つの半直線の組」(引用文献のままの表現ではない)として角を定義しており、日本でもこの主旨の定義を採用している数学辞典[9][6]や国語辞典[11][7][14]が多く、最も受け入れられた数学的定義と見なせる。

この定義の前記定義との違いは 2つの半直線が挟む領域を含めていないことである。ヒルベルトの公理系ではそのかわり、平面 α が角(2つの半直線)により分割されて生じる 2つの領域の一方を角の内部、他方を角の外部として区別している。角度の小さい領域が内部になるのだが、この段階では角度はまだ定義されていないため、別の方法での定義をしている。そして定理20で角の大小関係を定義している。すなわち、1辺を共有する2つの角のうち一方の角 θ1 の辺が他方の角 θ2 の内部にあれば、θ1 < θ2 であると定義する。すなわち、角の大小関係として劣角の角度の大小関係を採用したことになる。

ユークリッドの著作『原論』[15][16][17]では第1巻の定義8において、「互いに交わる2つの線 (line) の傾き (inclination)」(引用文献のままの表現ではない)と定義されている。"傾き" (inclination) という語の解釈次第では2つの直線で分割された領域のいずれかを含むと解釈することも可能であり、そう解釈している辞典もある[18]。またこの定義と同じように「傾きである」という定義を採用している国語辞典もある[19]。またこの定義での2つの線は線(原論では定義2)であって直線(原論では定義4)ではないので、曲線も含まれる[15][20]。2つの半直線の傾きとしての角、つまりヒルベルトの定義による角は、定義9で直線角 (rectilinear) という名称で定義されている。

英英辞典には、2つの半直線の間の領域 (space) が角であるとするものもある[21]
曲線のなす角

2つの滑らかな曲線が交わるとき、その交点におけるそれぞれの接線同士がなす角を、これらの曲線のなす角という。
平面のなす角

1つの直線 l で交わる2つの平面 α, β を考える。l 上の任意の1点 A を通り、l に垂直で、それぞれ平面 α および β 上にある直線を考え、この2直線のなす角を、平面 α と β のなす角という。この2直線は点 A で交わるので、角をなし、その角度は点 A を l 上のどこに取っても等しい。平面同士のなす角を二面角 (dihedral angle) ともいう。
角度の計量単位

角度は、計量法における物象の状態の量の一つである。国際単位系国際文書においては、角度の計量単位であるラジアン固有の名称と記号を持つ22個のSI単位の一つとなっている。

物理学など自然科学においては、量の次元が重要な役割を果たす。例えば、辺の長さや弧の長さは物理量として「長さ」の次元を持っているが、角度は国際量体系において、辺の長さの比などを通じて定義される無次元量であると位置づけられている。角度が無次元であることは、角度が単位を持たないことを意味しない。

平面上の角度の表し方とその計量単位には、次のものがある。これらは計量法における法定計量単位であり、その定義は、以下のようになっている[22][23]。国際単位系における定義(点 (角度)を除く。)も表現は異なるが、数学的には同じ定義である。

ラジアン: 円の半径に等しい長さの弧の中心に対する角度

:円周を360等分した弧の中心に対する角度

:度の3600分の1

:度の60分の1

:度の11.25倍(用途は「航海又は航空に係る角度の計量」に限定される。)

上記のうち、ラジアンのみがSI単位であり、度、秒、分の3つは、非SI単位であるが、SI併用単位である。

法定計量単位ではない計量単位(非法定計量単位)としては、次のものがある。これらを取引・証明に用いることは計量法で禁止されている。

十進法(10 の累乗数)の角度単位のグラード — 円周を 400 等分(直角を 100 等分)

軍用に使われる mil(ミル)— 円周を 6400 等分

ターン — 円周を 1 等分

上記の3つの単位は、以下に記する度数法の変種である。
弧度法1 rad は、弧と半径の長さが等しい場合の扇形の角度に等しい。「ラジアン」も参照

弧度法は扇形に対して、その弧の半径の長さに対する比を以って角の大きさを測る尺度とする。すなわち、の長さが半径と等しくなるときの中心角(扇形の要が2つの半径となす劣角)を 1 ラジアン (rad) とする。(radian の訳語として弧度も用いられるが、ラジアンと呼ぶほうが一般的である)。全方位角は 2π ラジアンである。

弧度法は単位円上の弧長で角度の大きさを表したものとも表現できる。あるいは、三角比を含む極限 lim h → 0 sin ⁡ h h = 1 {\displaystyle \lim _{h\to 0}{\frac {\sin h}{h}}=1}

が成り立つような角度の単位系であると言ってもよい。

度数法の表示と比較して、円周率 π を含むため初学者には親しみにくいが、微分積分などの解析的操作を行うとき直接扱うことができるという大きな利点があり頻用される。ラジアンは便宜的な単位であり、いつでも外すことができる。すなわち、ラジアンで表された量は換算なしに単位なしの無次元量に置き換えられる。


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