親権を行う者
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親権を含めた条約上の概念または親権に対応する各国の国内法上の概念(parental responsibility)については「親責任」をご覧ください。

親権(しんけん)とは、成年に達しない父母のもつその子に対する身分上および財産上の権利義務の総称[1]。未成年の子に対し親権を行う者を親権者という。

子どもに対する法律関係の概念は国によって異なり、法律上、「親からの配慮」へと変更することで「親の権力(elterliche Gewalt)の意味での親権概念が廃止された国(ドイツ(1979年)[2]・イタリア(2013年)[3]など)や親権概念が用いられていない国(中国など[4])もある。

1984年のヨーロッパ評議会閣僚委員会で採択された概念に「親責任」(parental responsibility)があり、イギリスやイタリアなどで採用されている[3][5]。1996年の親責任及び子の保護措置に関する管轄権、準拠法、承認、執行及び協力に関する条約(1996年ハーグ条約)1条2項も「親責任」の概念を用いており「親権又はそれと類似の権利義務関係であって、子の身上又は財産に関する親、後見人他の法定代理人、の権利義務を決定するものをいう」と定義している[6]
概説
歴史

親権(父権)は歴史的には支配権的性質を有するものであったが、その後、子の保護という保護的性格の観点から捉えられるようになり、子の保護の観点から親権は権利であると同時に義務でもあると理解されるに至った(820条参照)[7]。さらに子どもの権利条約が締結された現在、子どもは単なる保護の対象としてではなく人権の享有・行使の主体として捉えるべきとされる[7]。他方、親権の概念には子の親に他者の介入を排除しつつ子育ての自律性を認めるという側面もある[8]
親権・監護権の見直し

世界的には親権や監護権の概念に関して子の保護という観点から見直しが進んでいる。

日本における親権にあたるものは、アメリカ合衆国ではcustody、イギリス、シンガポールではparental responsibility、ドイツではelterliche Sorgeなどと表現される[9]

ただ、英語のcustodyは広義の監護権のことであり、イギリスでは1989年児童法(1989年法)で廃止されているほか[5]、アメリカ合衆国でもこの概念を廃止した州がある(2008年フロリダ州など)[10]。parental responsibilityの制度は先述の「親責任」と呼ばれる制度で、イギリス法では1989年児童法(1989年法)で従来の監護権(custody)を親責任(parental responsibility)と改めるに至った[11][5]。親責任の概念はアメリカ合衆国のフロリダ州などでも採用されている[10]

また、ドイツでは1979年7月18日の「親の監護の権利の新たな規制に関する法律」によって従来の親権の概念を廃止するとともに親の子に対する保護義務を強調し[12]、親の権力(elterliche Gewalt)を親の配慮(elterliche Sorge)と改めるに至っている[11][2]

なお、日本では親権と後見とを子の保護における公的コントロールの強化という点から制度的に統一すべきとする見解もあり「親権後見統一論」と呼ばれる[13]
日本の国内私法(民法)における親権.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

日本の民法について以下では、条名のみ記載する。
親権に服する子

親権に服する子は成年に達しない子である(818条第1項)[7]

なお、戦前の民法によれば未成年に限らず「独立ノ生計ヲ立ツル成年者」以外の者は父の親権に服するものとされていたが(旧877条第1項の反対解釈)、現行法では親権に服する子は未成年者に限られる(818条第1項)[13]
親権者
共同親権の原則

親権は父母の婚姻中は父母が共同して行う(共同親権の原則、818条第3項本文)。通常、子にとって父母双方と密接な関係を維持することが最善の利益につながるとみるもので、また、父母双方が対等に子の養育の責任を負うべきとの趣旨である[14]

明治民法では「子ハ其家ニ在ル父ノ親権ニ服ス」とされ(旧877条第1項)、「父カ知レサルトキ、死亡シタルトキ、家ヲ去リタルトキ又ハ親権ヲ行フコト能ハサルトキハ家ニ在ル母之ヲ行フ」とされており(旧877条第2項)、父を第一順位の親権者・母を第二順位の親権者としていた[15]

父母の意見が一致しない場合につき日本の民法は規定を置いていないが、ドイツ民法にはこのような場合に備えて父母の一方に決定権限を与える場合について定めた条文がある(ドイツ民法第162条)[14]。日本では819条第5項の規定を類推適用して解決すべきとの見解がある[14]

実親子関係の場合
子の実父母が共同して親権を行使する(818条第3項本文)。ただし、後述のように一方が親権を行使できないときや両親が離婚したときには単独親権となる。

養親子関係の場合

子が養子であるときは、養親の親権に服する(818条第2項)。したがって、実親の親権からは離脱する[15]。通常、養子は養親と共同生活しており、実親とは生活の本拠を異にするため、子の親権についても養親が責任を持って行うべきとされるためである[16]。普通養子縁組が成立した場合の親権の法的構成については、実親の親権は消滅するとみる説が多数説であるが、実親の親権は消滅せず行使することができない状態になるにすぎないとする説もあり学説は分かれる(なお、特別養子縁組の場合には実親子関係は切断されるので実親の親権は消滅する)[17]。なお、転縁組の場合には養子は第一の養親の親権を離脱して第二の養親の親権に服することになる[17]

現在の法制では養子縁組について夫婦による共同縁組を原則としており(795条本文)、親権についても原則として養父母による共同親権となる(818条第3項本文、昭24・2・12民事甲194号回答[17]。養親が養子の実親の配偶者である場合には実親と養親の夫婦での共同親権となる(実務。夫婦の一方が配偶者の親権に服する子と養子縁組した場合につき昭23・3・16民事甲149号回答、単独親権であった養親が実親と婚姻した場合につき昭25・9・22民事甲2573号通達)[18][16]。解釈上、婚姻により夫婦となった者の一方が他方の嫡出子と養子縁組した場合(養親となった場合)にも養親と実親との共同親権となる[19]。なお、特別養子縁組の場合には明文規定がある(817条の9但書)。

養親との離縁の場合
養子と養父母の双方と離縁となった場合には実父母の親権が回復するのであり後見は開始しない[20]。811条2項から4項、818条第2項及び第3項は離縁の場合に実親の親権が回復することを前提としている[19]


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